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2020/5 塾ジャーナルより一部抜粋

大学入試改革の実行から始まる
中学入試の変化

岩佐教育研究所 代表 岩佐 桂一

     

序 令和3年度より、これまでのセンター試験重視の大学入試から、新たな学力観を重視した新制度に移行されます。英語のスピーキングを重視したことから民間の検定試験の採用・不採用でもめたり、国語・数学の論述問題を取りやめたりしました。

 しかし、改革は断行されますし、新しい学力観の基、令和2年度から暫時(2年度小学校、3年度中学校、4年度高等学校)施行される学習指導要領によって、確実に変わっていきます。

 民間の英語検定試験の延期を発表した文部科学大臣のコメントに「新学習指導要領が適用される令和6年度から実施」とされていますが、これは、現在の中学2年生が、高等学校の新学習指導要領で3年間を学んだ時を指しています。

 新しい学力観につきましては、いろいろな場面で話題になっている通り、知識・理解に加え思考力・判断力・表現力を重視し、主体性・多様性・協働性を持った子どもたちを育むということです。今後の世の中の変化に柔軟に対応できる人材の育成を主眼としていると見られます。

 社会の変化に合わせ教育を変えるというこが、今回の学習導要領改の大きなコンセプトだと認識しています。

 今年から第5世代移動通信システムが解禁となりSociety 5.0の社会が展望されるようになってきました。
https://www8.cao.go.jp/cstp/society5_0/内閣府のホームページ

 Society 5.0の基となる第5世代通信機器(5G)では、での4Gより速度が100倍に、記憶容量が1000倍になると言われています。機器だけでなく、いろいろな分野の発達が進むことが予想されています。

 具体的には、オリンピックの実行に向けて、自動運転システムの検証が始まるなどAI(人工知能)の画期的な進歩が見え始めています。

 令和6年の大学入試までには、入試そのものもC B T 方式(ComputerBased Testing の略。紙を使わずすべてコンピュータを利用したシステム)が可能になると想定されています。

 これらの社会の変化を想定しつつ、その社会の中で活躍できる子どもたちの育成のために、教育の在り方や求める生徒像を模索し始めていることが、中学入試の変化の根底にあると考えられます。

 文部科学省が発表した高等学校の無償化に向けての取り組みが一歩進み、授業料については、各都道府県の取り組みと連動して、私立高校に通う生徒の過半数は無償の時代に入ってきました。

 一方で、私立の小・中学校へ通う子どもたちは、公立が無償を横目に見て、高い入学金、毎年の授業料・施設費を支払っています。高校に入るとこの部分に大幅な助成が入るという不思議な制度があることになります。私学は、公立の無償化の中で、それでも選んでもらえる政策、教育を創る必要があることになります。

 日本国憲法の26条に義務教育の条文があり、『義務教育はこれを無償とする』と謳われています。現在、私立の小学校・中学校へ通う生徒は、有償で、学校法人が定める入学金・授業料・施設費などを納めることになっています。では、私立の小・中学校は義務教育ではないのかということになります。

 ただし、教科書は無償となっているなど、矛盾を抱えている訳です。

 現在、国では、令和3年までの実証期間となっていて、年収目安400万円未満の世帯は年額10万円の助成金対象となっています。

 令和5年には無償化政策も含め、大幅な助成金システムが発表されることになると思われます。

大学入試改革と
学習指導要領の施行

 前述の通り、令和3年度の大学入試から入試改革が断行されるのと同時に、令和2年度から小学校の学習指導要領が施行されます。

 同時に、学習指導要録の各教科の評定が、知識・理解に加え思考力・判断力・表現力、主体的に学ぶ態度を観点とした観点別評価により評価されるように変わってきます。

 これに伴って、通知表や調査書の評定などにも変化があると考えられます。

 新しい学習指導要領の施行と同時に、初等中等教育全般の教育の評価が思考力・判断力・表現力の、いわゆる学力の3要素が中心になってくることになります。

 さらに、英語では小学校3年生から英語の授業が開始されています。5年生からは正規の教科になります。英語の評価には、読む、聞く、書くに加え「話す」が加わります。I O T(internet of things)で世界の共通言語が英語になるという見方や、少子化の中で日本の産業を維持継続させるための人材を広く世界に求めるという考えから、日本が単一民族の国ではいられないという流れがその背景にありそうです。(【表1】)

公立と私立中学校の違い

 令和3年の4月から中学校の学習指令和3年の4月から中学校の学習指導要領が改訂されます。これまでとの大きな違いは、

●授業にアクティブラーニングを積極的に取り入れること
●グローバル化、ICTの急速な進展に備えること

 などを前提にしています。グローバル化では、英語4技能重視、ICT教育では、プログラミング学習の導入などとなっています。

 一方で、こらを実行するための学習時間は【表2】のようになってます。

 中学校の時間割では、1コマは50分の授業と10分の休みということになっており、コマは年間35時間の授業を行うことになっていますので、140時間は、週4コマの授業を行うという意味です。

 1週間の総授業時数は29コマということになります。学習指導要領では、「28コマの授業、校長裁量で29コマまで認める」となっています。公立の中学校では、これに従って年間の時間割を作成しています。

 これに対して、私立の中学校の多くは土曜日の授業を実施しています。これは、学習指導要領の内容・授業時数は最低基準という考えによるものです。

 土曜日4時間、他の曜日に6時間の授業を組めば、計34コマとなります。

 公立と私立の一番の違いは、この授業時間の差だと思います。さらに、英語での外国人ネイティブ教員の専任化、海外研修の積極的活用、ICT教育のための構内LANの設置、同タブレット端末の配備と授業での活用など、いわば、遅れている公立に対して先んじている私立といったところでしょうか。

 無論、私学は各学校法人の運営であるため、法人の考え方によって必ずしもこれに合致しない場合があること、公立でも一貫体制の中で、私学と遜色のない教育を実施しているケースがあることを知っておくべきと思います。

近年の中学入試の実情

 首都圏を中心に見てみますと、国立・公立高校に設置された併設型の中学校と中等教育学校、私立に従来からある中高一貫校が存在します。東京都内の私立中学校では、数年前に併設型あるいは中等教育学校として再度、認定を受けた学校が多いようです。現行の学習指導要領の中では、併設型・中等教育学校での教育課程の編成は、より柔軟性が認められています。

 公立では、いわゆる教科による学力検査が認められていないため、適性検査を実施するケースが多くなっています。小学校で記載された所定の報告書(高校入試における調査書)と適性検査の成績を基に選抜が行われています。本人面接や作文を課す場合もあります。

 適性検査も理系型や文系型と分け、教科横断で作問されているようで、知識はもちろんですが、分析力や思考力、課題発見力等が問われる問題が多くなっています。

 これに対して、私立中学では国語と算数の2科または社会と理科を加えた4科の学力検査、面接などにより選抜が行われていました。近年では教科選択を実施する学校が増加し、英語を教科として加える学校が急速に増加してきています。

 令和2年4月から小学校の新学習指導要領が施行されますと、5・6年生の英語は教科になります。教科書ができ、要録や通知表に評価が記載されるようになります。

 私立中学校の入試に英語が加わってきたのは、全国的な傾向のようです。学校では文法は教えませんので、校外での学習活動が必要になることは間違いありません。

 また、都内では都立中学と区立九段中等教育学校の募集人員1540人に対して、実受験者8239人となっており、平均倍率で5・3 倍、実に6600人あまりの不合格者が出ています。

 公立の出願にあたっては、小学校の担任の先生に報告書の作成を求めることが必要になります。

 私立中学を目指す子どもたちが、そうでない子どもたちと異なった生活(通塾)をしているため、地元の公立中学校へは、私立が不合格の場合、戻りづらいという現象があるようですが、公立一貫へ出願する場合も同様のことが言えるようで、併願の私立中学を求めることが多くなっているようです。

 これら公立一貫校を受験する生徒の併願を意識して、適性検査型入試を実施する私立の中学校が増加してきました。適性検査型だけではなく、PISA型、自己表現型、レゴブロックを使用した入試、プログラミング入試など、これまでの生徒募集の観点を変えるような選抜が出現しています。

 さらに、学力検査の中にも適性検査型の中にも、学力の3要素「思考力・判断力・表現力」に拘る出題が散見されるようになってきました。

 開成中学校で出題された社会の問題で「江戸川区ハザードマップを提示し、最大規模の巨大台風や大雨で荒川と江戸川が氾濫したらどうなる?」などは、子どもたちに危機意識を持たせ、推論と検証を求める問題だと思います。

 全国的に公立一貫校の設置は慎重のようですが、授業料支援金の拡大、学習内容の増加、ICT環境のインフラ整備など、公立高校に対して私立一貫校への保護者の期待が高まっています。

 反面で公立高校の入試倍率の低下、欠員校の増加などの減少が起こっています。

 今後、これらに対する対抗措置として、公立の一貫校の開校が増加してくると予想されます。

 全国的にも首都圏と同様の公立併願対策が必要になる可能性があります。

今後の中学入試の変化について

 大学入試の改革は、いくつかの段階に分かれて実施され、さらにその結果を基に改善されていくことになると思われます。英語の民間検定試験の一律に評価する方式は令和6年まで延期すると発表されました。しかし、4技能重視の方針に変更はありません。国語や数学での論述問題も今後は重視されてくると思います。

 また、高校の新学習指導要領に見る歴史などの総合的な観点や教科横断型の学びなど、高校生だけに対応させるのではなく、知識・理解、思考力・判断力・表現力、さらには主体性、多様性、協働性を高めるためには、小学校、中学校時代からの切磋琢磨が必要となります。

 これまで知識・理解を中心に選抜されていた中学校受験は、これに加え、多様な観点で入試が行われるように変化してくると考えられます。

 無論、知識・理解の上にこれらの選抜が存在するわけですが、知識も単に知っているだけではなく、仮説や推論、検証、考察といった部分が求められてくるようになるのではないでしょうか。また、IOTの進歩の中で、携帯電話やモバイル端末を使用可とする入試が登場してもおかしくなくなっています。

 現在、民間の検定や資格試験などでは、CBT方式を使用したものが多くなってきています。令和6年に高等学校の新学習指導要領が完成期を迎えるわけですが、ここから始まる大学入試改革第2期には、大学入学共通テストそのものもCBT方式に一部移管されてくると思われます。

 調査書の代わりにポートフォリオ(自分のスキルを記録したもの)が重要視されると思いますし、スキル自体、中学校時代から意識し、記録しておくべきものと考えるからです。

 ポートフォリオを出願と同時に提出させ、CBT方式を利用した入試、論述形式との真逆の世界も開けてくる可能性も感じています。


●岩佐 桂一氏プロフィール

埼玉県出身。東京理科大学卒。大手企業コンピュータSE、テスト発行会社の取締役を経て平成11年岩佐教育研究所を立ち上げ現在に至る。私立中学高校・塾向け会員制情報レポート「北斗通信」を発行。テレビ埼玉・公立高校入試対策番組コメンテータ。よみうり進学(YS)メディア(埼玉・東京・千葉版)入試情報・執筆、各種高校受験案内(埼玉版)の執筆・監修を行っている。平成12年より首都圏模試会場・講師。高校・塾向けの教員研修、入試関係コンサルタント業務、各種講演会講師などを務める。

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