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2019/5 塾ジャーナルより一部抜粋

センター試験対策と医学部入試で必要な合格力の鍛え方 第12回

 

私立・国公立大学医学部に入ろう.com 平野 晃康

 
     

 少子化に伴う倍率低下や他学部への学生の分散などによりやや頭打ちになったとはいえ、医学部入試はいまだに最難関の1つとされています。

 しかし、最難関というのはどのような意味なのか具体的な説明が少なく、実際に勉強や指導をしようとするとどうしてよいのかわからないということもあります。

 この稿では、センター試験及び医学部受験の問題のトレンドと勉強方法についてまとめ、日々の学習指導や勉強の方針の考え方について示したいと思います。

【センター試験について】

2020年度入試で終了となるセンター試験ですが、近年は難易度が上昇し、特に理系科目に置いて思考力を相当要する問題が増えてきています。加えて、ここ数年は新学力テストを想定したような定理、実験の結果、問題の解法などをきちんと理解しているかを問う出題が増えています。

例えば、2019年度の物理を例とすると、第二問Aはダイオードを使ったクリッパ回路、第三問の問2は屈折による錯覚の問題、第四問は電車内で観測した物体の運動の様子を表すグラフの問題であるなど、それぞれ物理の考え方や解法の理解が問われました。

芸人や元IT企業の社長が東大受験をするという企画など、いわゆる受験に詳しくない人達が見るような番組制作者や近年のセンター試験の問題を研究していない先生の中には、いまだにセンター試験はテクニックを覚えさえすれば何とかなると考えておられる方がいますが、今のセンター試験はテクニックのみで解けるほど単純ではありませんし、広い出題範囲のすべてのテクニックをセンター試験のためだけに学ぶのは合理的ではありません。

逆に、理解がしっかりできていれば満点を取ることも不可能ではありません。

こうしたことから、理系科目のセンター試験においては実験の結果や問題の解法の理解を中心として、二次試験でも通用するような実力を養うことが大切です。

文系科目でも現代文は問題文が難しいことから、しっかりとした読解力を身に着けることが第一で、最初から解法テクニックに走るような学習では高得点は難しいでしょう。

【センター試験の目標得点について】

よく、国立大学医学部に進学するのであればセンター試験は9割以上ないと合格しないとまことしやかに言われます。しかし、これは正しくありません。

確かに、旧帝国大学など受験者の平均レベルの高い大学や、二次試験の問題が簡単な大学ではセンター試験が90%を超えないと合格できませんが、地方国立大学などでは85%程度あれば合格圏内に入ることができます

また、大学によっては傾斜配点のため、粗点の得点率よりも点数が高くなる場合があり、ある科目の得点が著しく低かったような場合にはそうした大学を狙うのも手と言えるでしょう。

例として、過去の生徒の得点とシミュレーション【表①参照】を挙げます。

この生徒は思考力が高く、数学や物理は旧帝大の問題でも相当できる一方で知識記憶が弱く、化学と社会で大きく失敗してしまいました。また、英語も医学部受験生としては物足りない成績でした。合計得点も85%とやや弱く、名古屋大学をはじめとする旧帝大への出願は難しいと判断しました。しかし、この点数を過去の合格者得点と見比べてみると、国公立大学医学部への出願は不可能でないことがわかってきます。

まず、名古屋市立大学でのシミュレーション【表②参照】です。換算得点の合計点は426・0 7 5 点、昨年度合格者平均点が4 4 2点、最低点が4 0 8・3 5点と平均点には達さないものの、合格平均点を超え、二次試験で64%を取れば昨年度合格者最低点を超える状態でした。二次試験の過去問では十分にこの数字を超えていました。

次に、愛媛大学でのシミュレーション【表③参照】です。得点の低かった理科や社会の配点が低く、得点の高かった国語の配点が高いため、換算得点は479・7点、昨年度合格者平均は468・25点と昨年度合格者平均を上回ることができました。このため、二次試験で67%を取れば、昨年度合格者平均点を超える状態でした。

一方、この生徒が受験するにあたって不利な大学もありました。例えば、理科と社会の配点が高く、国語の配点の低い三重大学【表④参照】です。換算得点は493・2 点で、これは昨年度合格者最低点の505・8点を下回ります。そのため、二次試験で83%を取らないと昨年度合格者最低点を超えることができないと試算されました。

この生徒は結局、名古屋市立大学を受験し、見事合格を勝ち取りました。センター試験の得点率が85%という数字に左右されず、配点と生徒の力を考慮しシミュレーションを重ねることで合格の可能性が見えてきます。このようにセンター試験の得点が80%でも合格しえるのは、近年、センター試験と二次試験の配点比率が二次試験に偏ってきていることも原因の一つです。

【国公立大学医学部と私立大学医学部の問題の違いについて】

次に、二次試験の問題について、国公立大学と私立大学医学部の違いを簡単に解説しようと思います。

まず、私立大学医学部の入試問題は2015年度以降、特に数学、理科で難易度が高くなってきています。それまで基本的?標準的な問題しか出題していなかった岩手医科大学や福岡大学医学部などでも、思考力を問う問題が出題されるようになり、受験者の間には戸惑いが広がっています。

これは、文部科学省が決めた新しい学力の中に「思考力」が含まれているためで、助成金によって成立している私立大学はこの方針に沿って、従来の問題に加えて思考力を問う問題を出題せざるを得なくなったためです。

しかし、それまで思考力を問う問題を出題していなかった私立大学医学部が急に思考力を試す良問をつくることができるわけもなく、受験指導者としてはやや奇抜に思えるような出題も出題されています。

一方、国公立大学医学部の入試問題はほぼ変化していません。もともと、思考力を測る問題や記述式の問題が多い事から、今までの入試問題で十分に思考力を測定できるという事なのでしょう。問題の難易度だけを見ると今は旧帝大など上位校を除く国公立大学医学部よりも私立大学医学部の方が難しい問題を出題するようになってきています。

【どのような学力を目指すべきか】

では、医学部入試を突破するためにはどのような学力を養成するべきなのでしょうか。まず、数学、理科に関しては二次試験で十分通用する力が必要です。しかし、近年、私立大学医学部で出題されるような捻りすぎた問題を解ける必要はありません。標準的と言われる入試問題を解くことができる力と、センター試験のところで説明したような解法や実験結果の理解を徹底すること、そして、理解したことを用いて未知の問題に立ち向かうことができる力です。

また、英語は最重要です。数学が良くできる人と英語が良くできる人では、英語が良くできる人の方が合格しやすいのが医学部受験です。なぜなら、数学は思考力が試されるため、得点に波ができやすい一方、英語は波ができにくいからです。ただし、英語は出題の方式が大学によって異なるので注意してください。センター試験のように英文法や発音アクセントなどを問う大学と、読解や英作文のみの大学があります。

一方で、センター試験の国語や社会は効率の良い得点の仕方が望まれます。

次の2表【表⑤⑥参照】を見てください。

どちらもトータルの得点率です。まんべんなく85%を得点した前者には二次試験での数学や理科に不安が残ります。一方で英語、数学、理科を重点的に学習し、いい方は悪いですが国語や社会で多少手を抜いたと思われる後者は、二次試験に進めば少なくとも前者より善戦することができるはずです。

以上のように、医学部入試を目指す人は英語、数学、理科、特に英語と理科の得点を重視し、センター試験の国語と社会は効率よく点数を取ることを心掛け、いたずらに高得点を求めすぎないことが大切です。


平野 晃康 プロフィール

 名古屋セミナーグループ医進サクセス室長を経て、現在は私立・国公立大学医学部に入ろう.com代表。医学部受験の指導と正しい入試情報の普及に努める。入試情報誌「私大医学部入学試験を斬る2013」(名古屋セミナー出版)を編集・執筆、医療系データブック(大学通信)にコラムを寄稿。

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