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2018/3 塾ジャーナルより一部抜粋

未来型中高一貫シンポジウム 2017
私立・公立の枠を超えて
子どもたちが幸せに生きていくための教育を

  2017年12月3日(日) 於 駒込学園勧学ホール
主催 学校法人駒込学園 駒込中学校高等学校
 
     
 開会とともに、進化したAIの代表とも言われる感情認識ヒューマノイドロボット・Pepper 2体があいさつをはじめ、会場が盛り上がりを見せた未来型中高一貫シンポジウム2017のオープニング。「今日は明日に、明日は明るい希望の未来につながる」と、かわいい声で語り、場内の人々の笑顔を誘っていた。

 公立中学校と私立中学校、しかも双方ともに中高一貫型教育を進める有名校の校長のコラボレーションという、全国でも類を見ない未来型セミナーが未来型ロボットにより開幕し、最初に登壇したコーディネーターの若泉敏氏(教育評論家)。未来の学習システムや教育内容がどのように変化するのか。グローバル人材が必要と言われるが、我が子がその求められる人材になるためには、どのような教育を受けさせれば良いのか。その詳細をこのセミナーで把握し、今後の糧として欲しいと語った。

 今回のセミナーには、幼児から小学生の子どもを持つ保護者、教育関係者が多数集っており、誰もが学校改革や大学受験改革などで混迷するこれからの教育に関して、今後いかに子どもたちを指導していくべきかを悩んでいる。その悩みを解決するきっかけとなる最新の教育情報を様々な立場から聞けるとあり、参加者たちは真剣な表情で講演に聴き入っていた。

基調講演
「未来を切り拓く生徒を育てる!〜伝統からグローバルな未来へ〜」

講師
東京都立白鷗高等学校・附属中学校
統括校長 善本久子 氏

未来に必要とされる
競い合いつつ手をつなげる人

 時代の流れや変化が年々早くなっている現代、教育の大地も変化しています。時として家庭の教育力の欠如や青年層のモラルの低下などが指摘されることもありますが、私は必ずしもそうだとは思っていません。例えば現在では多くの場所で禁煙がマナーとなり、老若男女皆が守っていますが、ほんの数十年前まではところ構わずタバコを吸い、吸い殻を駅のホームなどにポイ捨てするのが普通だったこともあるのです。価値観が変化することはあっても、言われているように総体として劣るということはないと思います。そして私は時計の針を反対に回すような取り組みは大抵の場合うまくいかないと考えています。

 教育では、時代の変化に応じて社会で求められる資質・能力を育成する必要があります。今回変更される学習指導要領では、「学びに向かう力・人間性」「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」の3つの柱が、その資質・能力を育成する教育として重視されています。この3つは学校に在学中だけでなく、人が人生を通して考えていかなければいけないものです。この教育を基礎として、自分がどのような人間であり、どんな集団に属しているかを認識し、アイデンティティーとして確立。そして自分の周囲にいる人たちの人種や言語・文化の違い、もしくは障がいのあるなしなどのダイバーシティ(多様性)を尊重する。その上で、国際的な競争を行いながら、ともに協働していけるリーダーとなるよう、子どもたちを育成していきたいと考えております。言葉で表すのは非常に簡単ですが、現在の国際情勢を見ても、自分と異なる文化や考えをリスペクトするのは難しいと分かります。しかし、それでも競い合いながら手を携えることができる人間は、きっと未来に必要とされることでしょう。

公立中高一貫校で
実践される未来型教育

 これまでの教育改革の流れの中で、公立の中高一貫校が新たにできたわけですが、都立の中高一貫校は現在10校、中学と高等学校がそれぞれ3年ずつ併設されている併設型が5校、6年を一貫した中等教育学校型が5校、それぞれに伝統と校風があり、10校が連携した行事も行われています。公立の中高一貫校受験は私立の中学受験と異なり、学力検査ではなく適性検査(受験者の思考力や表現力をチェックし、社会についての関心や問題意識、日常的な感性や観察眼を試す検査)を実施します。受験は高い倍率ですが、入学すれば高校受験が無く、6年を一貫して教員が見ることができるため、細やかな指導や生徒のちょっとした変化に気づけるなど、多くの利点があります。

 一方で、高校受験や高校入学などで得られる成長のステップが体験できない、教員も同じ視点からの指導のために甘くなりがち、という短所も無いとは言えません。そのため、私は、6年間を2年間ごとの3期にわけ、意図的にステップを創ることで変化を体験させ、成長のステップにつないでいくことが重要と考えています。最初の2年は基礎学力をつけ、生活習慣と同時に学習習慣も身につける育成期。3・4年目は基礎学力を定着させて、主体的に学習をすすめる力を付ける養成期。最後の2年は主体性や応用力をさらに養成・定着させる期間となります。
白鷗は東京初の府立高等女学校であり、男女共学実施を経て都立初の中高一貫校になった学校です。そのため、常に時代をリードするパイオニアでもあったと自負しております。

 その中で、今回の学習指導要領に基づいた課題探求型学習とダイバーシティ教育を充実し、さらに東京を中心として日本の伝統・文化理解教育を実践して、世界で活躍できるリーダーを育成することを重視しています。そのためにも、英検や様々な技能やスキルを身につける指導を行い、今後も皆様のご期待に添えるような人材を育成していきたいと考えております。

「激動の時代を生きる日本の子どもたちへ」

講師
駒込中学校高等学校   
校長 河合孝允 氏

ITの劇的な進化から
日本の「失われた10年」へ

 1950年代、コンピュータが次々と開発され始めた時代は、コンピュータの性能や機能の充実は大型化することで充実されると信じられていました。さらに機能を充実し、いずれは知能を持つCPを創りあげたいと人工知能の研究が始められたのです。人工知能は何らかの刺激を与えることでその返答を出そうと反射反応をコンピューターが起こすことが基本になります。これは人間も同じ。さらに機能を階層構造として上位層が下位層を抑制するようにし、動物や人間の抑制機能と同じことができるようにしたのです。これをサブサンプション構造といい、人工知能の自律を推進し、進化させることになりました。

 しかし、いかに人工知能が確立したといえど、人間には明日を悩み、将来を考える能力があります。将来人工知能がさらに発達しても、人間が最後まで持つ自己の人生の文脈を編集する能力を兼ね備えません。これが次世代に生きる子どもたちに必要なコンテキスト(物語)を生む力なのです。

 さて、その子どもたちを含む人間はここ数年でICT文化の波に飲み込まれています。今までは、書物や活字を通じて知識や情報を得、言語や倫理・二人称的に情報処理を行ってきました。しかし汎用大型コンピュータが終焉を迎え、スマートフォンや小型PCなどで容易に情報が得られるようになると、デジタル通信産業を中心とした高度情報化時代が幕を切りました。コンピュータはチップ革命を起こし、分散化システムにすることでさらに自由に通信、情報の相互交換が行われるようになりました。このとき、時代の最先端を走るシリコンバレーの創業者には日本人は居らず、長きに渡り日本は低迷の時期を迎え、経済で「失われた10年」と呼ばれる時期を迎えました。

 教育面でも学力の1点差勝負の判定のみを客観的な判断とし、正しくて平等な評価であるという価値観が蔓延。試験の合否が自己人格の優劣まで決定するという意識を助長したのです。その結果、日本では自分に自信を持てる生徒はわずか7・5%、どちらかと言えば持てると答えた青少年は38・3%。この2つを合計した45・8%は、アメリカの86%や英国の83・1%、ドイツの80・9%、韓国の68・5%など、世界と比較してもかなり低い結果となっています。

 なぜこのような状況が起きたのでしょうか。これは産業の中で、従来の経験による管理ではなく、時間や動作を科学的に定めて管理し、生産を計画的に進行させ、その達成に基づく賃金システムを取り入れたテーラーシステムを学校教育に反映したことが原因の一環ではないかと考えられます。生産目標を教育目標、作業ラインをカリキュラム、品質管理をテストとし、賃金を偏差値とした結果、世界で類を見ない「偏差値至上主義社会」となったのです。

 これを解消しようと、文科省では2002年に「自由・自律・自己責任」を主体とした教育改革を行いました。この時に大きく変更された新学習指導要領で新しく作成されたのが知ること・為すこと・ともに生きることなどを重視した総合的学習の時間。小学校では年間430時間が加算され、国算理社の4教科で年間511時間の授業が削減されました。また中学校では総合的学習が210〜335時間加算。国数理社英(外国語)で最大430時間(学校により差がある)が削減されたことになります。さらに週5日制が導入され、これにより学習内容は3割削減、削減分は高校に移行されたのです。これが後に学力低下を問題視されるゆとり教育のはじまりでした。これは2011年からの新学習指導要領で大きく改革されています。

幅広いシステムの学校設置で
未来に生きる人材を育成

 同時に平成13年より中高一貫校の設置が促進されました。平成28年度には600校に迫る勢いであり、29年度以降も続々と設置が予定されています。さらに民間委託方式を実施、公設民営とした上で、世界で戦える人材を育成するグローバルスクールや最先端技術を学ぶサイエンススクール、人造肉研究やドローン管理農園など新たな農業ビジネスにも躍進するアグリビジネススクール、ICTベンチャー企業のノウハウを学ぶベンチャースクール、自宅学習で単位や技術を取得するハイブリッドスクールなど、幅広いシステムの学校設置も進んでいます。

 こういった新しい形の学校設営が進む一方で、今までのゆとり教育の廃止が現在続々と行われています。その代わりに次期指導要領に盛り込まれたのが、理数探究・STEM教育です。理数探究は理数を一体型として学び、相互に伸ばす科目であり、STEM教育はこの理数探究を基本に、化学・技術・工学・数学に重点を置いた理数系人材を育てる指導方法で、高大接続の授業などでハイクオリティな内容を充実します。

 これからのAI時代の中、人工知能が人類の知恵を超える時はそう遠くない未来に訪れます。その時には、自己のライフデザイン能力と能動的知識の学びを併せ持つ人材が求められます。高校時代から自分の将来を計画することで、その人材となる能力は育てることができます。高大連携はそのためにも今後さらに必要となってくるでしょう。

 未来に起こりうる様々な社会の動きや時代の流れの中、教育改革の変化も進みます。これからの日本の未来と、子どもたちのこれからが明るいものであるように祈念しております。本日はありがとうございました。


 基調講演の後、第二部として鼎談シンポジウムが開催された。善本氏・河合氏・若泉氏によるシンポジウムの後、質疑応答も行われ、会場が一体となって未来の教育に熱い意見を交わす時間となった。


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