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中学・高校受験:学びネット

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2014/9 塾ジャーナルより一部抜粋

1教室100名を集める 塾経営の新発想
第2回 サバイバル競争に打ち勝つ 秋から冬の集客作戦

中土井 鉄信(なかどい てつのぶ)
昭和36年、神奈川県横浜市生まれ。大学在学中より、学習塾講師を務め、就職後には、個別指導塾、進学塾、老舗大手学習塾のいずれでも驚異的なペースで生徒数を伸ばし注目を集める。平成13年、教育機関専門の経営コンサルティング会社、合資会社マネジメント・ブレイン・アソシエイツを設立。著書に『《図解&場面でわかる》プロ教師の「超絶」テクニック』(明治図書)など。

1.はじめに

 経済産業省が実施している「特定サービス産業動態統計調査」があります。これは学習塾業界全体の動向を把握する際に、しばしば使われる代表的データなのですが、このデータを見ると2013年は学習塾にとって非常につらい年でした。

 学習塾では2013年3月から2014年5月までの1年以上、受講生数が前年割れを起こしているのです。

 このような現象は、以前はありませんでした。学習塾に関する「特定サービス産業動態統計調査」は2004年からスタートし、10年が経っていますが、受講生数が、前年同月比でマイナスを記録したのは21回しかありません。前年同月比で受講生数が減ったのは、2013年以降を除けば、2009年6月、10月、11月、12月、2010年3月、4月のみです。

 さらに、調査スタート以来、学習塾の事業所の数は、一度も減ったことがありません。事業所数が増加しているにも関わらず、受講生数が前年割れを起こしているということは、端的に1教場あたりの受講生数が減ったことを示しています。

 また、2013年4月に行われた全国学力調査によれば、中学生が塾に通っていない割合は、39.8%で約4割に上っています。これは、07年に次ぐ高い割合です。

 一方、小学生は、2人に1人が、塾に通う時代になりました。小学生は、学習指導要領が難化した結果、通塾率が上がったのですが、これが学習塾の生徒数アップにそのまま繋がるかと言えば、少子化の影響、消費税のアップ、新規参入による競合数の増加など(通信教育やインターネット教材の普及)によって、生徒数増には直結しにくい状況になっているのです。

2.9―12月の集客計画

 こうした学習塾の苦しい状況をふまえたうえで今年度の9−12月の集客計画を考えてみましょう。生徒を集客するということは、近い将来の見込み客である一般生と数多くの接点を持つということです。つまり、集客計画とは、まだ見ぬ顧客と接点を創造することを計画することです。そのための代表的な手段が学習塾が開くイベントです。

 例えば、小学生向けのイベントであれば、理科実験教室や漢字道場や英単語道場などのイベントを何月に実施するか、また中学生も同様に、定期テスト対策イベントである理社マラソン(試験範囲を徹底的に暗記する1日イベント)や英単語暗記会などをどこにおくかを地元の学校の年間予定表と照らし合わせながら配置します。

 そして、イベント実施日が決まったら、次に告知行為をどう行うかを考えます。つまり、集客活動として校門配布やポスティングをどのタイミングでどのくらい行うかといった計画を立てるのです。

 ちなみに校門配布は、2週間以内に300〜500部、同じ中学校に行って配った方が効果があるというデータがあります。

 次に、冬期講習の案内配布や確認書(申込書)の締切期限の設定、生徒面談や保護者面談期間等の設定を行ってください。在籍生の講習準備を早めに済ませるのが大切です。集客の本番である12月に在籍生に関わっているようだと冬期講習の一般生(講習生)の集客は、マイナスになってしまいます。

3.冬期講習の設計

 冬期講習のスケジュールや設計について考えたいと思います。塾のコース設計を考えるときには、市場動向を踏まえ、「利便性」と「効果性」と「投資性」に配慮しなければならないのですが、中でも昨今は「利便性」を重視する傾向が強まっています。「利便性」とは簡単に言うと、「通いやすさ」、「気軽さ」です。近年は経済的・身体的・心理的コストが低い方が、好まれやすくなっています。

 さて、2014年の冬期講習の日程ですが、小中学校の終業式(=12月の最終日)は、12月24日か25日であろうと思います。1月の学校開始が、8日だとすれば、別表1のようなスケジュールが一つの目安になります。(正確な日程は、学校の年間予定表で確認してください)

 別表1を例にすると、講習期間は最大で12月26日から1月7日までで、最大13日間。この期間の中で、それぞれの塾の事情にあった日程を決定します。講習の売上は、講習の日数と講習の1日あたりのコマ数と、集団指導であればクラス数、個別指導であればブース数で決定します。まず、この外枠を決めてください。

 別表1では、講習日程を年内と新年をシンメトリーにして、冬期講習前期が4日間・冬期講習後期が4日間。そして、受験生用に正月特訓3日間を設けました。

 この枠組みを採用するとなると、あとは、集団指導であれば、各学年の日程をどのくらいにするか、1日のコマ数をどのくらいにするかを決めます。その際は、学年ごとの意欲の違いを考慮して、低学年は日程・コマ数を少なく、高学年になればなるほど、全日程で最大のコマ数を設定してください。また、受験生である中学3年生向けの正月特訓をどういう内容にするかもポイントです。

 個別指導は、講習期間内で、コマ数をどう提案するかです。個別指導の場合は正月特訓は選択制にして、講習のコマにプラスするかたちで志望校合格に必要な学習量を確保してあげてください。

4.冬期講習の入り口設定

 講習の枠組みが決定したら、次は、一般生(講習生)を集客するための入り口設定です。

 一般生に学習塾に入ってもらえるように、どう魅力的な特典や学習内容を用意するかです。

 弊社のある神奈川県は、皆さんもご承知の通り、無料講習を徹底的に売って在籍生を増やす戦略をとる大手学習塾がひしめいています。

 その中で、私の顧問先では、入門講座と銘打って、一般生を集客している個別指導の塾があります。たとえば、入門講座の中身は、英数各3コマ、計6コマの授業です。約12,000円前後の料金なのですが、この金額を打ち出し、そして、同時入会してくれれば、この入門講座は、無料にするというオプションを付けて集客をしているのです。当然、入門講座に来た生徒は、プラスαのコマを追加して受講するようにもっていきます。

 個別指導なのに安価で学力向上に必要な授業数が手に入るという講座を設けたことがポイントです。

 ぜひ、来年度に控えている消費税の更なるアップに打ち勝つために、今年の後半戦をしっかり戦って成果を出してください。その最後のチャンスが、冬期講習の集客です。


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