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中学・高校受験:学びネット

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2013/1 塾ジャーナルより一部抜粋

ズームアップインタビュー この人に聞く108
それぞれの「受験」に対する想い
一大グループが可能にする多様性

     

サピックス代ゼミグループ
共同代表 宮 敏郎さん

 昭和32年創業の代々木ゼミナールは、生徒が講師と授業を選べる、当時としては斬新なゼミナール方式を導入し、大学受験界の最高峰に君臨。一方のサピックスは首都圏を中心に難関私立中学の驚異的合格実績を誇る中学受験界の雄。2009年から段階的に「サピックス代ゼミグループ」の拡大を推進してきた株式会社日本入試センター・代表取締役副社長の宮敏郎氏は、両者を炎の色に例えて、「熱くなさそうに見えて、触ると非常に熱いサピックスの『青』。代ゼミは『赤』。また違う熱さ」と評する。それぞれのスタイルを尊重し、磨き合いつつ、一つのグループとなって3年余り。学童保育事業にも参入し、幅広い年齢層に訴求する多様な教育システムを展開中だ。

2011年3月
Y‐SAPIX開校
震災で試されたグループ力

── グループ化で生まれた難関大学現役合格塾「Y‐SAPIX」は、中高一貫・中学部コースが23校、高校部コース28校と、順調に全国展開していますね。

 2009年にサピックス中学部、翌年に小学部と同じグループとなり、同年秋、「Y‐SAPIX東大館」を東京に開校。2011年3月にはY-SAPIXを全国展開し、東北では、仙台広瀬通校が開校しましたが、4日目に東日本大震災が起こりました。

── 大変な門出となりました。

 幸い、人的被害はなかったですが、建物が少々被害を受けました。一時的な避難の間、関西地区の校舎を受講したり、代ゼミの学生寮をご利用いただいたり、私たちもグループの総力を挙げてサポートしました。たくさんのご支援・ご声援を頂戴し、仙台ではGW明けから本格的な授業を再開することができました。

── グループの底力が試される局面にいきなり立たされましたね。

 当時はただ一生懸命でしたが、振り返るとグループ一丸となって乗り越えることができたと感じます。例えば、教材用の紙も市場全体で不足し、サピックス小学部だけでは確保できなかったところを、代ゼミがお付き合いしている業者さんから在庫を融通していただきました。

── 普段は非公開のサピックス小学部の授業が、震災による休講期間に限り、映像配信されたことは、保護者にとっても嬉しい驚きだったのでは。

 サピックスの授業は生徒との「双方向授業」。子どもたちの集中力を維持するため、保護者も見学をお断りしています。基本的に映像化には向かない。でも、校舎で授業が行えない状況で、私たちにできることは何かを考えました。代ゼミは1989年から衛星授業「代ゼミサテライン予備校」を全国の校舎・塾・高校に配信していますので、インフラは整っている。朝から晩までフル回転で授業を撮影し続けて、ネット配信しました。結果として、お子様が見るというよりは、保護者の方々のほうが熱心にご覧になったようです。あと、双方向授業が上手な先生は、映像画面でもいいパフォーマンスができるんですね。違う才能を講師自他共に見出す機会にもなりました。

学童保育から大学受験まで
一大グループならではの
新規事業展開のスピード

── 震災後の適切かつ速やかな対応に、保護者の支持も高まったのでは。

 塾と予備校はカルチャーが違うということを、グループ化によって、実感することが多々あります。そのひとつが「保護者との接し方」ですね。予備校と塾では、対象となる生徒の年齢層が違う。大学受験は自己責任の部分が大きいですが、受験も学年が下がるほど、家族のチームプレーになります。サピックスという「塾」と一緒に仕事をしていく中で、講師や家族が小学生・中学生を育てる一言の重みを踏まえた上で、18、19歳になった子どもたちを受け入れる使命が、より意識できるようになりました。代ゼミもここ10年ほど、保護者への対応の仕方も随分変わりましたが、グループ化して改めて、教育のより深いところで仕事ができるようになりました。非常に良かったですし、日々勉強になっています。

── 新しいスタイルの学童保育として、滞在型学習教室「ピグマキッズ」を2011年から2校(荻窪・白金高輪)、開校していますね。

 3年生までの過ごし方によって、4年生での受験準備の入り方に差が出ているのではないかという議論があったんです。サピックスでは、低学年向け通信教材「ピグマキッズくらぶ」があり、これは保護者の方と一緒に勉強する教材なんです。しかし、女性の社会進出が進み、仕事を続けるお母様方は子どもの勉強を見る時間が取りにくい。「ピグマキッズ」では、通常の保育サービスに加えて、トレーニングを受けた専門指導員「シーダー(「種をまく人」の意)」が、保護者の代わりに一緒に学習するシステムを充実させています。

── 「小田急こどもみらいクラブsupported by ピグマキッズ」も、小田急沿線に3校を展開されていますが、事業提携の経緯は。

 「子育て世代に優しい街づくりで、沿線に人を引きつけたい」という先方の新規事業の一環として、お声掛けいただきました。今後5年間で10校舎開校を予定しています。一般の学童保育との差別化が課題でしたが、私たちには教育コンテンツと専門指導員のトレーニングシステムがすでに確立していましたから、我ながら目覚ましいスピードで実現しました。

── ここでも、グループの力が功を奏したようですね。

 「ピグマキッズ」立ち上げにあたり、お子様をお預かりする保育の部分と授業指導の部分を融合させるため、専門家の方々にアドバイスをいただきながら、新たにカリキュラムを作りました。でも指導員養成は、グループ化する以前から、サピックスには研修システム・講師管理を専門とするチームがあり、サピックス教材の成り立ちや意味、指導方法などをトレーニングするインフラがすでにありました。またサピックスの教材は、公式を覚えるのではなく、なぜそうなるのかを理解させるプログラム。指導にも独自のメソッドがあります。小田急電鉄さんには教材だけでなく、「シーダー」をご提供することが、ビジネスの肝でした。単に教材を提供するサービスではない、ということですね。

塾と予備校、各々の多様性
尊重し、刺激し合い
己に磨きをかけていく

── 2010年のインタビューでは「次のステージでは、サピックスと代ゼミそれぞれの良さをどう組み合わせて、バランスを取っていくかが課題」と話されていました。

 対保護者の面で、予備校と塾が違うように、高校生対象の代ゼミとY‐SAPIXでは、講師の名前を冠した授業を選べる前者と、カリキュラムに基づき校舎間の授業の質が同じであることが前提の後者では、システムが全然違います。限られた時間の中で、多様な進路に向けて、望む能力を伸ばしたい時に、子どもはどちらも選べることができるし、組み合わせることも可能です。高校生にとって、非常にメリットが高いと思います。

── この先、予備校と塾のシステムを統合し、ひとつの大きな教育システムを作るというお考えは。

 今はそれぞれの良さや価値を、保護者の方々や生徒にキチンとご理解をいただく、ということのほうがメインですね。塾と予備校という括り以外にも、サピックス中学部(高校受験コース)と、Y‐SAPIX中高一貫コースでは、同じ中学生対象でも、高校受験をするかしないかで、勉強の仕方が違ってきます。また中高一貫校に通いつつ、高校受験にチャレンジする生徒も少なくない。

 グループとして、多様なキャリア形成やニーズにお応えできる環境が整いつつあることを実感します。企業としては、ひとつに特化してしまったほうが楽なんです。でも、それぞれの成長段階での「受験」に対する皆さんの想いがある。学校側にしても、例えば開成高校さんは高校入試枠を堅持していて、違うバックグラウンドの同級生がいることがとても大事だ、ということをおっしゃっています。学校が高校入試枠を減らしたくないような魅力的な子どもを送り出したいというのが、高校受験チームの目標ですね。

── 大学側からの要望というのも、意識されることはありますか。

 一昨年の春に東京大学の副学長とお会いする機会があり、「何をグループに求めますか?」と質問したら、「子どもたちを放っておいてほしい」と言われました。大人と子どもとの距離感は重要なテーマだと思います。すべてを教えてしまったら、子どもの考える力が育ちませんし、学年が上がるにつれて、自ら勉強する姿勢も身に付けなければいけない。受験は目標ではあるけれど、人生のゴールではない。また大学も社会も、受験で燃え尽きたような人材は望んでいない。Y‐SAPIXのコンセプトとしては、「受験のその先」、つまり大学や社会で必要とされる能力、学問の基礎体力や高い知的欲求、論理的思考力や表現力を高めることに重きを置いています。

── さまざまなキャリアを歩む生徒、優秀な学生を求める学校側にとって、代ゼミサピックスグループの持つ多様性は、大きな魅力ですね。

 組織の中にも「多様性」はあるべきだと思います。抱える生徒の年齢幅が広いので、学年ごとに指導の醍醐味も違いますし、講師それぞれに教育に対する想いがあり、互いにリスペクトしている。「サピックスってどんな塾?」「代ゼミってどんなところ?」と職員に尋ねても、皆ワンフレーズでは答えません。上が言ったことを一斉復唱する世界ではない。目指すベクトルがほぼ合っていれば、各々の表現は違っても良いと考えています。そこは多分、他社さんとは違うところではないでしょうか。

── グループは今後、どんな形で融合、成長していくと思いますか。

 代ゼミ、サピックス、Y‐SAPIXの枠を超えた先生方の交流が活発になると思います。「こういう指導法なのか」「こんな発想があるんだ」と、相互に情報や人材が行き交うことで、現場はますます面白くなると思いますよ。もちろん「一番大事なのは子どもたち」という根幹は決してブレません。

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