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2012/9 塾ジャーナルより一部抜粋

日能研進学情報センター センター長 市川理香氏に聞く
進学実績のみならず6年間の
物語(ストーリー)を紡げる私学が生き残る

     
 今年3月、日能研本部進学情報室と、日能研関東 関東広報センターが一体化して設立された「日能研進学情報センター」。社会情勢不安に揺れる日本の教育界に向け、中高一貫教育の価値を知り尽くす生粋の「応援団」として、私学情報を発信している。このたびセンター長に就任した市川理香氏に、保護者の厳しい選択眼にかなう私立中学校のあるべき姿・募集戦略を語ってもらった。

「進学実績」が語る未来
保護者の目はさらにその先へ

── 社会情勢不安を伴い、明るい見通しが立たない中学受験界ですが、受験者数は今後どのように推移としていくと思われますか。

市川 小学校卒業生数は30万人台をキープしていますが、私立中学受験率はリーマンショック以降、緩やかに下がり続けて、昨年から2割を切っています。ただ、学費に見合う教育内容を備えているならば、私学には大いに魅力がある、と考える保護者の関心は依然高い。親自身が私学で育った層が増えてきますし、この先、中学受験生がいきなり減るということはないと考えられます。

── 今の保護者は、私学のどこに「魅力」を感じているのでしょう。

市川 我が子の教育環境を選べること、自己実現の多様性にあると思います。日能研で行う「志望校調査」では、志望理由約30項目を2008年から変更せず、男女別アンケートを取っています。男子では5年前に6位だった志望理由「進学実績が良い」が今夏の調査で3位。女子では「進学実績が良い」が「大学付属校だから」(8位)を今夏初めて抜いて6位に上昇。「交通の便・校風の良さ」の上位は不動ですが、男女ともに「大学進学実績」への関心の強さが、今年はハッキリ表れました。

── 「進学実績」で言うなら、大学付属校は強みを発揮できると思いますが。

市川 ブランドの強みは依然あるものの、早慶でも待っていれば人が来る時代ではありません。慶應3校、早稲田実業・早稲田高等学院などは、出願者数が前年より減っています。学費の高い学校は軒並み応募者減少傾向にありますが、なかでも早稲田高等学院は首都圏で学費が最も高い。また、中学の段階から出口を早稲田か慶應に限定しなくても、と考える向きもあります。早稲田には医学部がありません。進学校なら6年後に国公立大学やMARCHまで大学・学部選択の幅が広がります。今は海外の大学も選択のひとつに入る時代ですから。志望理由でも“実績”の背景にある進路指導、キャリア教育、外国語教育や理系対応などに以前より関心が高まっていることがはっきりとうかがえます。

── 最近は、国公立大進学を目標とする上位コースを設定する学校も増えていますね。

市川 淑徳中学校が「東大セレクト」を始動、栄東も「東大クラス」を増員しました。学校と生徒がともに高い志を掲げることで、学校全体が伸びていくものだと思います。どの科目もバランス良く勉強する必要があり、東大に限らず、目標を高く持って頑張れば、進路の幅はより広がりますよね。

── ただ、「進学実績」ばかりが注目されるのも、私学の本質と違う気もしますが。

市川 そうですね。例えば、海城のグローバル人材育成の考え方がわかりやすいと思いますが、今という時代、そして将来、どのような人材が必要とされているかを考え、推進する教育が、私学にこそ求められているのではないでしょうか。多くの保護者は、大学卒業後のさらに先、社会に出たときに「どういう人間に育っているか」というところまで考えて、学校を選び始めています。多分、受験生自身も「大学がゴールではない」という意識が、より高まってきている。学校側も「これからの社会で必要とされている力を育てるために、こんなことをしています」という取り組みを、いろんな学歴、経済環境の保護者に向けて、提供していかなくていけませんし、そこは塾側も努力していきたいところです。

公立と私立に差がない?!
原点の違いに立ち戻る時期

── 保護者も選択する広い視野、先々まで見通す目を持ち始めたということですね。

市川 保護者が私学を選ぶ志望理由あるいは条件が、細かく、深くなってきているような傾向は感じますね。学費にしても、高いなら高いなりの納得できる理由がほしい、と。

── 公立中高一貫校の動向はいかがでしょう。

市川 昨年は白鴎高等学校・附属中学校が、東大5人の他、一期生の実績で大いに注目を集めました。今年は小石川と両国の一期生が卒業とあって、期待も大きく寄せられていましたが、進学実績のインパクトはさほど大きくありませんでした。でも今や、保護者の公立に対するイメージは、私学とはあまり変わらない。面倒見の良さや国際教育は、公立でも取り組んでいますし、学費がやはり安い。私学と形の上では遜色のない教育をしているイメージが高まれば、私学には大いなる脅威になると思います。

── 適性検査の受験対策や傾向分析にも、ある一定の目処がついてきましたね。

市川 小石川や両国、桜修館といった中学受験生に人気の学校は、やはりある程度の学力層の生徒を集めています。「あの優秀な○○君が行っている学校」という情報も積み重なって、保護者や受験生の公立への評価も定着していくでしょう。でも私学は、「なぜその学校が創られたか」という建学の精神と創立者の理念があります。その想いを同じくする教員が集まっている。原点が明らかに違うんですね。教育理念や使命があるからこそ私学。「私学の良さ」というところを本当に理解していただく努力を、学校も塾ももっとしていかなくてはいけないと感じます。

── 保護者が学校選びで留意することは何でしょう。

市川 10年後、20年後の社会、世界を生きる力を育む教育環境を選んでほしいと思います。学校の数だけ個性があるので、お子さまに合った学校を選んでいただきたい。私学を経験している保護者が増えると、10〜20年前の序列のイメージに固執して、いま伸びている学校を選択肢から外してしまったり、「この偏差値以上の学校しか行かせない」という偏った選び方をするケースも多い。「この学校しか見ない」ではなく、なるべく早いうちに学校説明会などに多く足を運び、我が家の教育方針と合致する学校に出会ってほしいです。最近の説明会では、平日にもかかわらず、父親の姿も多く、また母親もフルタイムで働く家庭も多い。学校側は説明会を開催する曜日や時間にぜひ工夫をしていただきたいですね。

「点」ではなく「線」で
学校の魅力を自然に伝える

── 日能研進学情報センターでは、日能研生の約83%が、2月3日までの入試で進学先を決定している、とデータを出されていますね。

市川 はい。2月1日〜3日にある志望順位の高い学校に合格して、進学できたという満足度の高い入試結果につながっているということを示しています。ただし、忘れてほしくないのは、前半ですべてが収まるわけではないということです。2月7日のカリタス3回が実質倍率8.8倍の結果だったのも記憶に新しいところです。もうひとつは、学校側の戦略としては、前半のチャレンジ志向を読んで、午後入試を増やしていく傾向も背景にあります。上位校はほぼ4科受験ですが、学校によっては、午後に2科の日程を設けるのは有効だと思います。逆に、後半日程にシフトする学校のねらいとしては、「上位クラス」とか「特待生枠」など、チャレンジしたくなるような付加価値のある入試が展開されると思います。後半に受験機会を求める人もあることは、先ほど申し上げたとおりです。

── 保護者の選択眼の厳しさに呼応して、入試の形態や選択肢が広がっている。中学受験界としては望ましい方向に進化していると。

市川 保護者の方々も「将来」まで見通して、慎重に学校選びをなさっているとは思いますが、でもやはり「進学実績」の「数字」に過剰に反応しているようにも思えます。ただ「東大に○人」という数値が、主たる選択基準になってしまう傾向にはやはりブレーキをかけたい。

── それは学校・塾側の姿勢にもかかわる問題ですね。では、保護者にはどのような情報提供が必要なのでしょう。

市川 実績とともに、「その先」までつながる中高6年間を、どう育ててくれる学校なのか。子どもが育つ「6年間の流れ」を思い描けるような教育内容を提示していただけると良いと思います。学校説明会でも、「英語に力を入れています」、「文武両道です」、「国際教育が充実しています」と、バラバラに「点」で説明するのではなく、それがつながってどんな「線」になるのか。「1年生ではこういう行事があり、それが2年生の海外研修でこう生かされ、その経験がキャリア教育と教科にこのようにフィードバックされます。だから進学実績がこう出るのです」というところまで思い描ける6年間のビジョンは、公立や他の私学との差別化にもなり得ます。特に女子校であれば、「キャリア教育」を6年間のつながりの中で、深く広く取り組んでいることを示す必要があると思います。それがひいては中高6年、その次の大学、さらにその先の社会でいかに生きるかを伝えることになるのではないでしょうか。

 アイテムがあふれている今、「線のつなぎ方」で各学校の魅力を伝えていくのは、学校のみならず、私たちの課題でもあると思っています。私学の理念と6年間を紡ぐストーリーが明確に伝わるように、受験生と学校をつなぐ役割が、塾にとっても大きな使命だと思っています。

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