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中学・高校受験:学びネット

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2008/1 塾ジャーナルより一部抜粋

8人の多角的提言

  教育改革が叫ばれている中で、民間教育機関としての学習塾が何をなすべきか。
学習塾と学校の“共存”というより“競争”でしかないのか!
8人のプロフェッショナルが提言する。
 
 
 

“ 新学習指導要領実施後の中学入試はどのように変わるか ”

樋口 義人
中学受験界に足を踏み入れて30年余、日能研常務取締役・東京本部長・公開模試事務局長などの役職を歴任し、日能研の経営戦略を責任者として指揮する。私立中学受験の大衆化に尽力し、日能研を四谷大塚と並び凌駕するまでに牽引した。日能研退社後、ENA副学院長を経て、現在首都圏模試センター代表取締役。

アップする中学受験熱

昨春の中学入試が、史上最高を記録したのは周知の通りである。

「受験者数」・「受験率」・「延べの応募者数」・「併願校数」など、すべてのデータでそれが言える。

首都圏(東京・千葉・埼玉・神奈川の1都3県)では、5万5百人(昨年比5.6%アップ)の受験生が、4万4千人の総定員の枠をめぐって、激しい戦いを繰り広げた。

小学校の卒業生は30万7千人であったから、その受験率は16.45%にもなった。このところ、それも10年間上昇が続いている。併願校も一人当たり平均6.7校になった。従って、延べの総応募者が33万7千人を数えて、平均倍率(表面倍率)も7.7倍の高倍率になった。

今春の首都圏の中学入試は、昨春と横バイか、微増で推移するのではないかと予測されている。

昨秋10月度の首都圏の3大模試(首都圏・四谷大塚・日能研)に参加した受験生数が、昨年比0.8%アップしていたからである。例年、この3大模試の受験生数で、その年の受験動向を占っている。

小学校の卒業生数が、昨年より1万1千名減少するにもかかわらず、中学受験生の頭数が横バイになりそうなのである。これは卒業生数に対する受験生数比、すなわち「受験率」がさらにアップするので、中学受験熱が上昇しているものと考えてよい。

具体的には、一挙に17%の大台に乗る。参考までに、これらのデータは、公立の中高一貫校の受験生数には算入していない。この人数を含めれば20%にまでアップし、5人に1人が中学入試をするという、ものすごい過熱ぶりが見て取れる。

私立中学校の生き残りをかけた開校的改革が、より私立中・高校を魅力あるものにしている。

2002年の早稲田実業の国分寺への移転と共学化は、耳目を集めた。2003年には市川中が新校地へ移転、共学化。2006年に法政大付属(前法政一中)がやはり新校地へ移転し、共学化した。

今春も、明治大明治中学校がお茶の水から調布へ移転し、共学になる。そして、この後も続々と中学校の改革、新設が検討されており、早晩実現されると伝えられている。

早稲田高等学院(練馬区)、中央大附属(小金井市)などが中学校を新設することを決定していると聞く。他にも、都立一貫校の新設、私立高校の中学校を新設するという計画があるようであり、当分この新設ブームが続きそうである。

中学入試の受験生事情

昨秋、中央教育審議会(文部科学省の諮問機関)がまとめた中間報告、「審議のまとめ」が発表された。

それによると、30年間続いた“ゆとり教育”路線から一転して、理・算(数)を中心に、授業時間を増やすことにするとした。つまり、今までのゆとり教育を前面に出した指導要領は、「授業時間を減らし過ぎた」と異例の反省が盛り込まれていたのである。

今回の改訂の方向は、勉強の量の増加ということで、基本的には歓迎されていいと考える。しかし、現場のわれわれにとって、さまざまな問題点を含んでおり、特に、中学入試にどのような影響を及ぼすのかを見てみたい。

そのために、まず、現在の中学入試の現況を報告したい。どのような状況下で、小学生が中学入試に挑んでいっているかである。

実際は、過酷な条件のもとで日々受験勉強にいそしみ、そして模擬テストを受けているのである。つまり、それこそ学習内容の大きな矛盾を体で受け止め、応えているのである。
ここで、その矛盾の大きさを知らない大人たちがあまりにも多いということを報告しておきたい。特に保護者の中で、志望校の偏差値に到達していない子どもに対してとる態度にそれが著れていることが多い。最近、小学生の中に円形脱毛症が発症しているという話を聞く。これこそ日本の教育、中学入試の特殊性の矛盾の間で起こっている一つの現象と見ていいと思う。

その矛盾の一つが、小学校で配布され学習している教科書の内容と、中学入試で要求されている内容の大きな差である。旧課程では、少なくとも小学校の教育課程の中から中学入試問題は作問され、出題されていたのである。

ところが、2002年の現行のゆとりの教育下での指導要領では、従来の内容の30%が削減されてしまい、算数では、実際は6年生の1学年分ほどの内容が中学校課程に移行されてしまった。具体的な1例として、小学校の算数の図形が左下(図1)のように“立方体、直方体”で終わってしまっている。

つまり、この問題が教科書の最終内容であり、最高レベルになっているのである。

回転体、立体図形の切断、角錐・円錐などがすっぽりと削減されている。図形の単元だけで見てもこのような状況である。

ところが、私立の中学入試で出題される範囲とその内容は旧課程であり、ゆとり教育前のカリキュラムである(多くの保護者が習った小学校課程──実は「現代化カリキュラム」と称され、最高レベルであったのである)。

このような状況であることは、ほとんどの保護者はおぼろげながらイメージしているとはいえ、現実問題として、特に、自分の子どもだけは、親たる自分たちが学んだ内容とレベルは当然のように理解し、修得するものとの認識である。わが子がこのようなギャップに戸惑い、思ったように成績が伸びない場合に、その多くの保護者は“モンスター化”するのである。

中学入試の実例として、最もオーソドックスで平均的なレベルと思われる左下(図2)の問題をご参照いただきたい。もちろん、教科書からの出題ではない。そういう意味からは典型的な出題といえる(2003年に中教審の答申を受けて、「歯止め規定」の廃止、指導要領の内容以上は教えないという規定の廃止があったので、逸脱ではない)。

小学生にとって、学校で習っていないことの内容から、また範囲からその大部分が出題されているのが中学入試なのである。

2002年に“ゆとり教育”の新指導要領が始まり、私立中学校の出題傾向がそれに伴って変更があるかどうかが、当時大きな問題であった。しかし、私立中学校は、入試問題も各学校の課程も5日制(一部が導入したが)も、新指導要領に基づかなかった。

新教育課程の中学入試

次期学習指導要領は、2008年に告示され、2011年春から実施される予定で手続きされる。

中学入試に及ぼす影響は、しばらくはごく小さいものと考えられる。

この度の改訂は、公立の小学校の先生方に大きな負担を強いるということ。5日制のままで授業時間を増やし、主要科目に重点が置かれることが、先生方の負担増になる。教員数の増加が一方で叫ばれているが、財政的に容易でない。従って、簡単に小学校の現場で対応できない。

このことから、

  1. 小学生のレベル的な格差は今よりも大きくなる恐れがある。従って、中学入試を対象とした塾は、今後も小学校での学習内容に期待できない上に、格差拡大に対処しなければならなくなる。
  2. 新指導要領の内容がアップするのに伴って、上位生の競争が激しくなり、中学入試問題は当然難化する。(1)で見たように格差拡大は、中学受験生においても例外ではなく、上位校と中堅校の差が今よりも開く。
  3. 新指導要領が期待値以上に成果が出たとしても、その効果が出るのはかなり先になる。特に大学入試での公私間格差が縮まっても、10年以上も先のことになる。
  4. 先に見たように、公立の教育が目覚しく好転するとは思えない。むしろ、世間一般の私立への評価は高まる一方である。

ただ、私立中・高校の一人勝ちの状況が続くことにいささか不健全さを感じる。それだけ保護者の選択の幅を狭めることになり、また、種々負担を強いることになるからである。
このように見てきたとき、塾の今後の役割は重くなっても、軽くなることはない。

進路の選択の幅が広がる方向であることからも、塾の進路についてのアドバイスが、今以上に頼られる。

そこで、生徒の一生を見通した最適の進路についてアドバイスできる塾でありたい。いろいろな意味で見識が問われてくるだろう。

生き残りをかけた競争が展開されるが、その塾の規模の大小が優劣を決めない。的確に情勢を把握し、そして社会のニーズに応えられる塾が将来を担う。

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