教育界の全国動向について
俊英塾代表 鳥枝義則氏
学習塾は現在、地域No.1塾が一人勝ちしている状況です。また、個別指導がバブル期の様相を呈しており、少子化が進む中、塾の数が増えていることを考えても、中堅の塾や個人塾にはかなり厳しい時代であると言えるでしょう。しかし、新指導要領へ対する保護者の不信感が拡大しており、小学校低学年から塾へ通わせたいと考える親が増えているのも事実です。また、中学受験の受験率が全国的に増加している中、駆け込み受験とも言える受験を行う生徒が急激に増えている状況からも目を離してはいけません。小学生対象の塾は、これらに注目し、いかに生徒にとって魅力ある塾とするかが今後の課題となるでしょう。また、中学生は激減が激しいため、増収増益ではなく、減収増益を目標とした塾経営を行うことが望ましいかと思われます。
塾の再生に注目してるのは、教育界だけではありません。経営的に切り離せない金融関係のシンクタンクも各々で調査結果を出しています。しかし、面白いことに、機関によって様々な異なる見解を出しているのです。例えば、静岡銀行ではある期間までは緩やかな拡大を見込んでいるのに反し、信金中央金庫では縮小傾向にあるとしています。また、長崎の18銀行や鳥取銀行ではインターネットの活用に注目しています。ただ、保護者への情報開示が今後は求められるという考えは、どこのシンクタンクにおいても同じです。
さて、これらを踏まえた私の持論としての学習塾の再生は、まず生徒の塾通いによる優越感の再創出が必要であると考えます。学校の先生までもが生徒の学力低下を認めている現在、塾へ行かないと高いレベルの勉強ができないという考えを再構築し、実践するのです。また、生徒を長期的展望で育成し、塾へ長く通うほどに成績が伸びるシステムを確立します。実際に中学入試では塾へ通う子の優位性が不動の地位を保っているのですから、これを全学年に波及させ、長期に通う生徒ほど合格率や学力の伸びが高いことを示します。
また、幼児の読み聞かせ会や読書作文なども行い、塾へ来てから自分が賢くなったと生徒自身に認識させ、周囲に話させることで塾に対する興味を広げるのです。
また、特に若い講師の方々にお願いしたいのが、教科指導も大切だが、子どもへのケアはもっと大切であることの認識です。生徒の心をつかみ、それによって保護者の心をつかむことが、今後の塾の経営を左右する大きな要素であると言えるでしょう。
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