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2015/3 塾ジャーナルより一部抜粋

Special 学習塾が変わります!
短期間で生徒数100人から1,000人へ
その知りたいノウハウをシステム化

  個別指導塾 同立有志会 代表 中村 尊裕さん(33歳)  
     
 本誌2012年11月に登場した中村尊裕代表が運営する同立有志会。当時、生徒数は100人前後であったが、14年12月末には1,000人を超えた。家庭教師事業を含めば1,700人の生徒数になる。驚くのはそれだけではない。ITシステム戦略で、パイロット校として開校した法隆寺校はたった1年で生徒150人が通う教室となった。ドラスティックに伸びる同立有志会に何が起きているのか。中村代表が考える学習塾とは、そして今後の事業展開を密着取材した。

7坪の広さの法隆寺校
パイロット1年で150人に

 昨年開校した同立有志会の法隆寺校は入塾待ちが出るほどの人気校。教室では1対2の個別で学ぶ生徒や自立学習システムでプリント問題を解く生徒もいる。実力ある若手の教室長(専任)が指導をし、運営をしているのだ。今日の授業は数学。テスト対策や苦手単元を克服するといった、生徒に応じたカリキュラムとなっている。

 そこに中3生が「こんにちは!」と教室に入ってきた。「サッカー部に入っているので、部活を終えてから直接来た」という。通塾時間が1時間は優にかかる遠方からだ。なぜ入塾したのかと聞くと、「チラシに書かれていた“苦手単元の克服”に期待して入塾しました」。

 法隆寺校は車の往来が激しい道路沿いに立つ。JR最寄り駅から教室までは徒歩15分はかかる(地域ごとにバスの送迎あり)。広さは7坪と極端に狭く、10人ほどでいっぱいだが、元ケーキ屋さんという外観や内装を逆手に取り、おしゃれでかわいい雰囲気が好評だ。くまのキャラクターがあちこちにあり、学習塾という固さを和らげている。

 立地といい環境といい、決して良い条件とはいえない法隆寺校だが、開校からたった1年で生徒数が150人という躍進振りを見せた。学力層は上は偏差値70から下は40ぐらいまでとさまざまで、現在まで退塾者はゼロというのも注目。なぜ、それほど短期間で生徒が集まったのか。

 「しっかりとしたシステムがあれば、どんな悪条件の地域でも生徒は集まるということです。パイロットの法隆寺校がそれを証明してくれました。ここはすでに満杯なので、近くに新たな教室をオープンします」と自信を持って中村代表は話す。

 さて、「しっかりとしたシステム」とは後ほど紹介するとして、そもそも同立有志会の中村代表とはどういう人物か気になるところだろう。振り返ってみることにする。

大手よりも独自の路線で開塾
コモディティ化に目からウロコ

 同立有志会を最初に訪れたのは2012年の秋だった。奈良県のJR大和小泉駅から徒歩5分の本部校と近隣に2教室を展開。いわゆる学力格差が大きく、塾が根付かない場所だった。だが、持ち前のバイタリティーで生徒や保護者にも教育への意識向上を繰り返し訴え続けた。そのかいあって、同志社や立命館などの合格率が奈良県でトップに躍り出、同時に生徒数は100人を超えた。

 開塾前の中村代表は、大学在学中に中学受験で多くの実績を出す大手進学塾の講師として活躍していた。大学卒業後もその実力を買われ、正規講師として続けていたが、一方で、同志社大学工学部卒業後、法科大学院を経て、立命館大学MOT大学院テクノロジー・マネージメント研究科修士課程を修了、同志社大学大学院総合政策科学研究科博士課程修了(政策科学博士)といったように勉学にも励んでいたという。このときの幅広い人脈が現在の事業につながり、日本語学校とのタイアップや大阪府大東市の市立人権文化センターの指定管理事業であるNPO法人大東野崎人権協会が運営する個別指導塾をプロデュース、海外進出にも広がっている。

 ところが、実力を遺憾なく発揮し、将来を嘱望される人材までになっていた中村代表は、きっぱりと大手塾を退職した。詰め込み式の勉強法に違和感を覚えたからだ。その後は先述のように、自分が考える塾を展開していく。

 中村代表が目標とする塾(理念)とは、「本当の学ぶ楽しさを知り、努力することで達成感を得られる塾」。この明確な理念を打ち出していたことが差別化となり、入塾につながったという事例は少なくない。

 保護者面談のとき、「塾は外から見れば、全部同じに見える。それならば授業料の安いところを選ぶ」と言われ、選んだのが同立有志会と他社の2校で授業料はほぼ同じ。決定打は「教育理念が明確だったから」と語ったそうだ。

 「目からうろこで、意識が変わりましたよ。塾もティッシュペーパーのようにコモディティ化されている。もっと独自の特徴を出していくべきだとね」

こだわりは、アナログと
デジタルの使いわけ

@デジタルな部分とは

 教材にも力を入れ、自立学習「Iシステム」(問題は18万データベース)を開発した。小・中学生対応で、学校の授業に合わせて自由にプリントが選べる。また生徒一人ひとりの能力に応じて勉強する内容やプリントの種類も設定できるという優れものだ。

 「個人塾は独自の教材作りといっても、時間がかかり、厳しいものがあります。これならマウスひとつで勝手に選んでくれます。現在Iシステムをクラウド版で、全国に500円で配信しています。800人ほどが利用していますが、これで収益を上げるつもりはないのです。最初に偏差値を入力してもらっているのは、例えば、数学の問題で偏差値50の子はどこを間違えるかということを知りたいからです」

 そういうビッグデータが集まることで、能力に応じた教材開発に生かすことができるのだと、中村代表はいう。反面、間違ったところばかりを抽出することもできるので、間違ったところばかりの問題集も作れるというものだ。

 他にも、テスト対策や講習時の募集をメール配信システムに変更し、予約制にしたところ、定員何名と絞ったら、5分でソールドアウトした。

 「紙媒体で連絡をしていたときは、締め切りギリギリなっても申し込んでこないので、自分たちで『どうですか?』と電話で確認をしていましたね。生徒たちはスマートフォンに送ると、きちっと見ていて申し込んできます」

 チラシにはこだわり続けた。12月にチラシをまく場合は、11月頃からどういう「検索キーワード」が多いかを全部調べて羅列していく。その上位にきたキーワードを入れてチラシを作る。9月頃から上がり始めるキーワードは「高校生のAO入試対策」だった。チラシのタイトルに「AO入試対策しますよ!」と記載し、限られた地域に1,000枚まくと60人が申し込んできた。ただし、地域によっては少し手法を変えている。全く同じやり方では効果が出ないし、チラシのカラーも何パターンかを作成するそうだ。

Aアナログな部分とは

 さらに重要視していることは、「在籍している生徒の退塾率を下げること」だという。アナログ的な部分には時間をかけ、親御さんと頻繁に連絡をとり、子どもの塾での様子を伝え、家庭での状況を確認し、プレミアム度を高めていくことなのだと。

 「成績が上がらないなどの苦情を言う保護者はまだ良いですが、塾にとって一番怖いのは、反対に何も言わないという保護者で、そこが実は一番見逃しているところです。手がかからない子どもほど、塾をやめていきます。塾自体も呼び出したりしないし、お母さんとの面談回数も少ない。そうなるとプレミアム度が下がって、うちの子どもをちゃんと見てくれないとなる。塾に飽きるということもあるので、少し安い塾が出たらそちらに移ってしまう」

 中村代表は成績の変動を見たり、遅刻欠席の状況を確認したりと、生徒の状況を常に把握することを怠らない。指導報告書を保護者に渡す際には意見を聞き、1ヵ月に1回アンケートを実施している。現在、同立有志会全体の退塾率は5%以下となっているから、上々だといえる。中村代表の総括は、親御さんは必ずしも大手志向ではない。子どもが塾に求めているもの、親御さんが塾に求めているものが塾の指導・運営方法に合えば、個人塾にも入塾してくる。裏を返せば、しっかりとした仕組みさえあれば、安心して任せることができる。関西のトップ塾からも移動してくることを鑑みれば、中村代表の言わんとすることが納得できる。

管理と運営、すべてをサポートするシステム
待望の全国にFC展開

 「人はどういうときに満足に思うのか。どういうときに不満を感じるのか。塾を運営していく上では大事だと思うんです。外部募集に傾注しがちですが、内部の生徒さんの満足度が上がれば、必ず口コミが生まれると思います。情報を積み上げビッグデータが集まれば、満足、不満足の要因が自然と見えてきます。次の手段として大事なことは、そのデータの解析なのです」

 当然、学習塾は教室を管理する部分と教室を運営する部分がある。そのどちらにも注力することの難しさは中村代表が一番わかっている。これらの融合したシステムがあれば、鬼に金棒であることも。大手進学塾に勤務していた頃から、独自で開発してきたシステムもあったが、使い勝手も悪く不十分であった。だが、ここにきて教育熱心なシステム会社との出会いがあり、その開発が本格化、中村代表が考える学習塾の管理・運営すべてを盛り込んだシステム「JyukuPlus+」(じゅくプラ)が完成した。

 以前から脳裏にあった、壮大な思いが現実のものとして近づいてきた。教育格差のある地域で開塾した中村代表には、格差を変えたいという思いがあったことは、開塾当初を振り返ればわかる。

 今後は全国、特に地方の塾にとっては厳しい地域にFC展開をし、どのような条件のもとでもこのシステムがあれば開塾が可能であり、既存の塾長には煩雑な部分をすべてサポートしてくれることになる。

 中村代表の言葉は続く。しかし、完成したからといって、「そのシステムがすぐに受け入れられるのか?」という疑問も確かにある。念には念を入れて、実際に自塾で成功するか否かを見極めたうえでのFC展開をするべきだと。

 そのため、まずパイロットとしてシステムを導入した法隆寺校を開校し、微に入り細にわたり、経緯を見守った。結果は重複するが「たった1年で150人の集客」は成功と言えるだろう。

 「今まで、塾はブラックボックス化してきました。これからは外に向かって発信していくべきだと思います。中学受験のやり方も、どんな人がやっても同じだけの効果が出せる仕組みがあるはずです。直営で教室展開をするには限界があります。教育・学力格差を是正するという意味でも、もっとオープンにして、その中で教育業界のイノベーションを起こしたいと思います」

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