期待のスーパー理進コース1期生
難関国立大二桁合格へ
―― 来春スーパー理進コースの1期生が卒業を迎えます。開設から6年、生徒さんの成長の様子を聞かせてください。
田 まず学力に関しては、これまでを振り返ってみても最高レベルの力をつけてきました。例えば、全統模試の理系偏差値60以上の人数を目安にすると、昨年の中高一貫コース生の約3倍、偏差値70以上は5倍の生徒が在籍しています。また、「本物」を見分けられる人間に成長してくれていると思います。勉強だけでなく、芸術鑑賞会や著名人の講演会など、本校では生徒が「本物」に触れられる機会を多く設けています。大阪大学の物理学の教授や、和歌山県立医科大学の学長、「五体不満足」の著者である乙武洋匡氏の講演もありましたが、そのような場面でも彼らは臆さず、学年と氏名、講演の感想を述べてから、堂々と質問をします。礼儀をわきまえた振る舞いが自然にできているのを見ると、自信と成長の証だと感じますし、人間的な成長が結果として学力にも表れてきているのだと思いますね。
中村 普段から生徒に対して1人の人間として向き合うという姿勢が、私たちの指導の根底にあります。「子どもだからこれでいいだろう」という線引きをせず向き合うことで、彼らも信頼されていることを感じ、信頼に応えようとしてくれます。
―― 生徒も先生も高い意識を持って取り組んでいることが感じられるエピソードですね。
田 1期生だということもあり、自分たちが道をつけるのだから「やらなくては!」という気概はありますね。特進の生徒もそういう雰囲気に引っ張られて、学年全体が活性化しています。
中村 開智では外にどんどん出て行く行事も数多く用意しています。オーストラリア、イギリス、韓国の学校との国際交流や、「日本の次世代リーダー養成塾」に参加するなど、生徒たちは社会的な視野を広げています。勉強ばかりでなく、いきいきと学校生活を送ってくれていますね。
―― 気になる来春の大学進学についての展望は。
田 スーパー理進コースでは国公立大に全員合格する力がついているのは当然として、東大、京大、阪大をはじめとする難関大にも、全員受験すれば二桁は合格するでしょう。実際は医学部医学科志望が多いので、そこにどれだけ合格させられるかが、今後指導していく上での1つのポイントになると思います。
―― 高等部から見た中等部の印象はどうでしょう。
早野 雰囲気は抜群にいいですね。服装の着こなしや振る舞いもきっちりしています。この雰囲気が崩れることはまずない。
亀井 勉強に対する意識づけがしっかりとされていますし、難関国公立大への志望者が多いので、今まで以上の結果を出すのではと期待しています。第一志望を諦めず、合格できるようにサポートしていきたいですね。
生徒の選択肢がひろがる
高等部のコース改編
―― 平成26年度入試よりコースを改編されますが、改編に至った経緯やねらい、またその内容を教えてください。
松 経緯から申し上げますと、これまで和歌山の私立は3教科型の入試で統一されていましたが、本校では昨年度の入試から5教科型入試を追加導入しました。その結果、これまでとは若干タイプの違う生徒さんが数多く入学してくれ、校内に多様性が生まれて活気が増してきました。
―― 教科が増え、難しくなった。
松 そういう誤解をされる懸念もありましたが、5教科型受験生は3教科の素点と5教科の傾斜配点の点数の高い方で合否が決まるので、デメリットは全くないです。むしろ公立高校が5教科型なので、今まで3教科型だった本校の受験に踏み切れなかった受験生が、併願校として積極的に受験してくれました。
―― その入試改革の成功が今回のコース改編につながったと。
松 すべては生徒の現状、受験生の現状に見合った仕組み作りの一環です。コース改編についていうと、現行のT類コースは国公立型、U類は私立文系型という位置づけでしたが、実際はコースにとらわれず国公立大を志望する生徒が圧倒的に増えてきました。そのためU類の募集を停止し、難関国公立大を目指すST類コース(約40名)の新設と、現行通り和歌山大など国公立大をめざすT類コース(約80名)の両コースに改編することを決断しました。 |
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―― 国公立型の勉強をしておけば、私立文系への受験にも十分対応できますし、生徒の選択肢が広がりますね。
早野 そうですね。これまでもT類コースでは伝統的に7限授業を週に数回行ってきましたし、U類コースでも私立文系をうたいながら、実際には理系クラスを設置していました。ST類では7限授業を正規のカリキュラムとして実施しますので、そういう意味ではこれまでやってきたことを踏襲しながら仕組みとして整えるというのが、今回のコース改編の考え方です。
―― ST類コースができたことで入試の難易度は上がりますか。
小笠原 本校を受験する生徒層が大きく変わることは考えにくいですね。しかしST類コースは約40名の募集なので、昨年度のT類コースと比べるとボーダーラインは上がると思います。コースの改編にともなう入試形式の変更はありません。昨年度と同様理科、社会は大阪府、和歌山県の公立高校の入試問題に準じて作成しているので、公立トップ校を第一志望と考えている生徒も受験しやすいと思います。
序列化や輪切りの
中から脱却し
独自の道を
―― 今後も新しい取り組みは続くのでしょうか。
松 いわゆる偏差値での学校の序列化は必ずついて回るものなので、もちろん結果はシビアに追い求めていきます。ただ、偏差値だけで判断される学校になってはいけないという意味で、単純な序列化や輪切りの中から脱却していきたいという考えがあります。既存の価値観だけに縛られずに、開智独自の道を歩むために、新しいアイディアは常に持ち続けたいですね。
―― 大阪府下からも進学してくる生徒が増えているということですが、要因は。
田 開智生としてのプライドを持った生徒が増えてきて、前向きな気持ちが周りに伝わっている結果だと思います。
中村 兄弟姉妹で本校に通っていただいている家庭も100近くあります。「姉が楽しく学校に行っているから」とか「兄が開智に行って志望校に合格できたので」等の声を聞くと、本校の教育が生徒や保護者の方にも認められているのだと感じますね。
亀井 兄弟関係以外でも、やはり口コミの力は大きいですね。また、生徒と先生の距離が近く、勉強や生活面についても親身になってアドバイスする先生の存在も大きいと思います。基本は、一人ひとりの生徒とどれだけ関わっていけるか、です。
早野 先輩の存在も大きいと思いますね。自習室のアカデミックラボは学年に関係なく利用できますので、中6・高3生の必死な背中を後輩たちが見ながら勉強しています。そういう伝統的な縦のつながりも連綿と受け継がれています。それは大阪も和歌山も関係ありません。
―― 大阪府の高等学校授業料無償化の影響はありますか。
小笠原 ないと言っては嘘になります。しかし、今年度は大阪方面への広報活動にも力を入れており、もっと大阪で説明会をしてほしいという声も複数いただいています。本校の教育や、意外と知られていない通学の利便性や立地のよさもきちんとお伝えして、開智に興味を持っていただき、ファンを増やしていきたいですね。
―― 最後に松教頭に今日のまとめをお願いします。
松 本校も開校二十一年目を迎え、生徒を育てるノウハウは高いレベルで確立されつつあります。私は長年進路畑でやってきましたが、入学時の学力と進学実績を客観的に見ても開智の生徒たちはよく伸びているし、先生方も生徒たちをよく伸ばしていると思います。来春のスーパー理進コースの進学実績やST類コースのスタートを含め、今後の開智中学校・高等学校に引き続きご期待ください。
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