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中学・高校受験:学びネット

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2011/1 塾ジャーナルより一部抜粋

セミナーレポート ほんのき塾から学べ!
「勉強は楽しい」実感を体得させるために
ナチュラルな自立学習を身に付けさせる

 

ほんのき塾(神奈川県横浜市)
塾長 梶葉 幸子さん

関西大学大学院で宗教人類学を専攻。20代半ばまで、アジアを中心に比較宗教の観点からフィールドワークを行う。帰国後、広告代理店で海外広報を3年間担当。ロンドン留学中に結婚、育児と並行して、人間能力開発研究所で学ぶ。その後、モンテッソーリ・メソッドを実践する幼稚園経営に携わる。幼稚園を閉園後、2008年「ほんのきの森プロジェクト」に着手し、塾・図書文庫・カフェ・絵画教室などのフリースペースを併せ持つ「ほんのきの森」を開校。現在はNPO法人ほんのきの森代表。

 
 2008年春に開校した塾は、カフェやフリースペースを併設する「ほんのきの森」が提供する“学ぶ空間”として、2009年春に拡張。同12月にNPO法人として法人化される。「どの子も勉強したいと思っている」梶葉幸子塾長の考えの下、「何回でも、わかるまで」自分のペースで自由に学習できる温かい環境を作り上げた。目指すのは、単なる学習塾を越えて、子どもも大人も自分の能力を最大限に引き出せる場所。

「学習」は人間の本能的欲求
すべての人が学べる場所を

 梶葉塾長は「作りたいのは大きな家庭。温かくて食べるものもあって、勉強できる。もともと家庭にある機能を実現しました」と語る。レストランを改装した学舎の窓の向こうには緑豊かな公園が広がる。立地条件は素晴らしく、地域の人々が集うセンター的な存在を目指している。生徒たちの机が並ぶ部屋の壁一面は3,000冊の本が並ぶ文庫「ほんのき図書」。横浜市立図書館の団体貸し出し制度を利用し、すべて無料だ。

 梶葉塾長が2年前に企画立案したときのプロジェクトテーマは、子どもだけでなく、運営する大人たち、ここに集う人々すべてが学べる「School of lifework」。人々が連帯感を培い、生きる意義を見出し、社会とかかわるトレーニングができる場所として発足した。

 「勉強が難しくてわからない子、嫌になった子、悩んでいる子は『ほんのき塾』においで。逆に高いところを目指している子も一緒に勉強しようよ、と呼びかけたい。勉強は楽しいということをわかってほしいという思いが、私の根幹にあります。人間には生まれながらにして『学ぶ』ことがプログラミングされていると、私は考えています」と梶葉塾長は微笑む。

 独特な個別対応学習システムを確立している。「理解してくれる人々がいることがすべて」と梶葉塾長は言う。

 「独りよがりにならないことが大事ですね。『これは良さそう』ではなく、本当に良いものを提供すれば結果が出て、お母さん方は信頼して、ついてきてくれます」
現在の中3生の偏差値は、ここ数年で皆が一気に10〜20ポイント上がり、平均60に手が届くところまできている。

●運営のポイント
1) 生徒一人ひとりに合わせたものを提供しながら、学校教育に適応できるような形にする。
2) 独りよがりな理念ではなく、ニーズに応えれば、社会に受け入れられて、利潤も自然についてくる。

自学自習と一斉授業
上手く絡めて、より豊かに

 現在の塾生は小・中・高校生約50人。個人用ブースは24席。一斉授業ができるスペースもある。
ほんのき塾のスタイルは、生徒1〜2人に講師がつく一般的な個別指導ではなく、自分のペースで自律的に勉強する「自学自習」。講師は生徒が理解につまずいたときに「あの本の何ページを見なさい」とサポートをする程度。「教えない」指導を徹底している。計算ミスが多い子を治療するなら、どの教材を使うか、東大医学部を目指すなら、どの単元をいつやれば良いかなど、学習内容の指針や長・短期のカリキュラムづくりが、講師のメインの仕事だ。

 「どの講師も授業中に『君たちは何になりたいのか』、『何を思い、勉強しているのか』と常日頃、生徒に問いかけます。モチベーションや学習ペースの管理こそ、講師の役割です」と梶葉塾長は語る。講師には、研究職・教職・カウンセラーなどを目指す人も多く、給与には「研究費」を上乗せしている。雇われる側であっても“学び”の機会であることを意識させる仕掛けだ。

 現場の講師たちの希望で、システムも臨機応変に変える。実験的試みには積極的だ。
今年の中3生には「サポート授業」として一斉授業を導入している。が、一方的な講義ではなく、例えば、国語ではディベート形式で討論をしたり、読解の解釈について、友達同士で話し合うことで、思考力やコミュニケーション力向上にもなっている。英語では「『ハリー・ポッター』を英語で読む日」や「『ヒカルの碁』の英語版を読む日」などを生徒は選択受講できる。1日4時間の中で、講師が工夫を凝らした企画が、さまざまに展開されている。一斉授業と個別学習がリンクされている場合は、一斉授業の説明の後、生徒のレベルに応じて「eトレ」・「天神」などのパソコン学習教材やテキストへと、講師が生徒を振り分けていく。

やる気を引き出すのではなく、
やる気は元々ある

 ほんのき塾の指導は「自学自習」。講師は基本的に教えず、「この教材を使いなさい」と指示を出す。そこで「天神」の登場だ。1年前に導入し、主に中学生以上を対象に活用している。
「『天神』の良さは、生徒たちが勉強しやすい効率の良さ。ビデオで説明してくれて、一問一答で問題がどんどん出てくる。プリントアウトもできる。全教科・幼児教育も網羅されていて非常に良くできた教材です。生徒のレベルとペース、長期目標に合わせて、進度をコントロールできる自由さが良いですね」と梶葉塾長が語るように、「生徒に合わせる」ほんのき塾の指導スタイルに実にマッチしている。

 「勉強自体が嫌になっているお子さんには、パソコンを使った学習方法が合っています。解説を自分で読むこと自体が苦痛の場合は、『天神』から入り、徐々に文字情報から吸収できるようにしていきます」と梶葉塾長。

 また、定期テスト対策にも「天神」は大活躍だ。「一問一答をプリントアウトし、手のひらサイズに縮小コピーして、カード化します。答えを隠して、暗記帳代わりに使う。市販テキストだとこれはできない。一問一答式だからこそ作れるカードです」。生徒個人の整理ボックスには、束になった暗記カードが詰まっていた。

 ほんのき塾では、機械と人間の役割分担を明確にしている。「生徒個人の弱点を発見することは、人を介さないとできない。でも、一通りの説明をするのは『天神』のビデオで充分対応できます。細かい疑問点は講師がフォローし、全体的な理解を要するなら『天神』を使うなど、上手く両立することで、よりスムーズなアプローチ、豊かな学習が行えると思います」。

●指導のポイント
1) 機械でできることと、人にしかできないことを役割分担する。
2) 生徒の学習姿勢の成熟度によって「天神」やテキスト、一斉授業を使い分ける。

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