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2005/7 塾ジャーナルより一部抜粋

第16回教育シンポジウム(旧すばるの会)

  2005年6月12日(日) 於 新横浜国際ホテル
主催 社団法人かながわ民間教育協会
 
     
 

  社団法人かながわ民間教育協会は6月12日(日)、「文教行政の現状と今後」をテーマに教育シンポジウムを開催。下村博文・文部科学大臣政務官や教育委員会関係者らを迎え、「バウチャー制度」導入などドラスティックに進行する教育改革について講演会とパネルディスカッションを行った。今回は県内外の私学・学習塾・教育関連企業のほか、神奈川県立高校の校長らも出席。およそ300名の参加者が会場を埋めた。

 今回の教育シンポジウムは、第1部が「基調講演」と「パネルディスカッション」。第2部では「懇親会」が催された。

第1部は、総合司会を務める西崎正博事務局長が開会の辞を述べて始まった。最初に挨拶に立った石川雅章理事長は、同協会が全国に先駆けて3年前に神奈川県教育委員会所管の公益法人として認可を受けたことを紹介。「責任ある団体として、今後も児童生徒や父母に役立つ教育情報の提供や、体験学習支援などの活動を展開していきたいと」語った。続いて5名の来賓より挨拶が述べられ、シンポジウムは「基調講演」へと進んだ。

基調講演 「文教行政の現状と今後」
下村博文(文部科学大臣政務官・衆議院議員) 

 今後わが国の教育は、恐らく皆さんが想像している以上に変わります。

国会では一昨日、構造改革特区法が改正され「公私協力学校法人」が認められました。これは学校の設置主体である市町村が、既存の私学や学習塾・株式会社などの民間に学校経営を委託するものです。千葉県野田市は、廃校となった県立定時制高校の建物を県から譲り受け、民間に経営を委託。新しく全日制高校として再出発させます。

また神奈川県では「特区学校法人」2校がすでにスタートしています。ひとつはNPO法人「ライナスの会」が設立したLD、ADHD、不登校児等のための教育を行う学校。もう1校は、シュタイナー教育を実践する学校です。

このような新しいタイプの学校が今後も誕生していくと思われます。

先日は、小泉総理の諮問機関である「規制改革・民間開放推進会議」のメンバーが経済財政諮問会議において、推進会議側が以前より文部科学省に問題提起してきた事項に関して、その進捗状況を中山文部科学大臣に質しました。すなわち「学区制を廃止し『学校選択の自由』を徹底」「イコールフィッティングの考えに基づき、株式会社立やNPO立の学校にも私学助成する」「バウチャー制度導入」の3点です。

 まず「学区制の廃止」について。これは文部科学省ではなく教育委員会が決定するものです。しかし諮問会議は文部科学省に、各教育委員会に指導・助言し学区制廃止を促進するよう求めました。

 2点目の「私学助成」の問題に関して中山大臣は、株式会社立の学校は特区として位置づけられ、現在はまだ検証段階であるため助成を考える時期ではないと答えています。

 3点目の「バウチャー制度導入」は、私が政務官室に文部科学省の若手メンバーを集めて研究しており、本年度中に一定の結論を出す予定です。

したがって、本日は中間報告的なものとしてご説明します。

バウチャー制度の全国一斉導入にはリスクが伴いますので、まず高校から始めたいと考えています。

いま公立高校には生徒一人当たり年間でおよそ110万円の税金が投入されています。父母負担は平均して10万円ほど。合計するとおよそ120万円です。一方、私立高校への助成金は一人当たり平均35万円。父母負担は平均50万円。合わせて85万円です。同じ高校教育でありながらアンフェアな状態が続いてきました。

バウチャー制度とは、公立・私立ともに同額の税金を、教育クーポンのような形で教育を受ける子ども本人に渡すものです。

しかし、現行予算の上乗せ方式では財政負担が増えますので現実的ではありません。また私学助成を廃止するとなると、私学間でも賛否両論あるでしょう。

そこで私学助成制度を残し、投入する税金の総額を増やさず、しかも公立高校に通う生徒の保護者の負担も増やさない。しかし、できるだけイコールフィッティングに近い形になるように実施したいと考えています。

具体的には、私学に通う子どもに約20万円をバウチャークーポンとして支給する。その分、公立高校に投入する税金を10%程度カット。つまり行財政改革です。その代わり、公立高校の校長に経営権を与える。創意工夫できるよう、人事権や予算権などの権限を委譲するわけです。いまや少子化や通学区域緩和により、公立高校も生徒集めが厳しくなってきています。公立も私学的な経営権をもち、より活性化していく必要があります。

ただし、これはシュミレーションとしての導入ですから、希望する高校に限定します。意欲ある校長に手を上げていただきたいと思います。自治体は結果を検証し、バウチャー制度導入について教育委員会や私立中高協会と話し合って決めればよいわけです。

さて、今後の義務教育の流れについては、今年3月に出版された「サッチャー改革に学ぶ教育正常化への道 英国教育調査報告」(PHP研究所)をご覧いただきたいと思います。これは、昨年イギリスの教育改革現場を視察した自民・民主の議員6名の共著です。今後の義務教育の流れは、基本的にイギリスをモデルとしたものになります。

イギリスはイコールフィッティングを徹底し、中学生一人当たり約100万円を学校に支給。校長は予算内で自校にふさわしい教師を採用し、活性化をはかります。ただし、努力しない学校は廃校。学校に権限を委譲する代わりに、厳しく事後チェックしています。

今後は、わが国においてもイコールフィッティングとしてのバウチャー制度導入により、公立と私立が同じ土俵に乗ります。互いに学校間競争しながら、いかに教育を活性化させていくかが、問われることになります。

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