相乗効果で実績アップ
高校の「特別選抜αコース」は、高校募集する普通科4コースのうちの一つ。難関国公立大学や難関有名私立大学を目指している。そのため何よりも学習優先。他コースに比べて授業時間数も多い。
αコースを担当する見澤伸幸先生は「3年間厳しい勉強が続きますので、相応の覚悟をもって入学してもらっています」と話す。
それゆえαコースの生徒数は決して多くない。今年3月に卒業した第1期生は全11名。徹底した志望校別対策により東京外大やお茶の水女子大など難関大学に合格した。なかには高校受験のリベンジを果たした生徒もいる。
「3年前、第1志望のICU高校に不合格となり本校に入学しましたが、今春ICUだけでなく東京外大からも合格を勝ち取りました」。
またαコースの存在は他の生徒たちにも良い影響を及ぼしている。αコースは人数が少ないため、「特別選抜コース」の生徒たちと合流してクラスを編成。主要5教科は別々に授業を受けるが、体育やホームルームは合同授業となる。「互いに刺激し合い、相乗効果が生まれています」。
その結果、全体で国公立大学に15名が合格。早慶を始めとする難関有名私大合格者も63名を数えた。
2年前からは中高一貫生の一部もαコースの授業に合流。中学入学時には偏差値が50に満たなかった生徒が、高校2年次の代ゼミ模試では67.4を記録するなど、多くの生徒が成績を大幅に伸ばしている。「来年は今年以上の成果が期待できます」と見澤先生は自信を見せる。
担当者会議で情報を共有
αコースの生徒は、センター試験対策のため2年次まで等しく主要5教科の授業を受ける。3年次からは理系・文系に分かれ本格的な受験勉強へ。コース分けにより、もともと少人数だったαコースがさらに細分化される。
「必要に応じて、たとえ1人でも授業を設定します」と見澤先生。
3年間で難関大学合格の実力を養うために、少人数授業に加えて、緻密で計画的な指導を行っている。
新学期に生徒・保護者のどちらにも主要5教科のシラバスを配布。生徒たちは、いつ何を学ぶかを把握したうえで授業に臨む。教科担当の先生方は毎週「担当者会議」を開き、情報交換や教科間の調整を行う。
「例えば、英語で難解な単元に入ったとすると、しっかり理解させるために宿題量を増やす必要があります。そのときは他教科が宿題量を減らし、生徒に負担がかかり過ぎないようにしています」。
さらに、定期試験や模試の度に設問に対する解答を分析。生徒一人ひとりの弱点を突き止め、効果的な指導方法を検討する。「それぞれ確実に成績がアップしていきます」と見澤先生は胸を張る。
なお、こうしたきめ細かな取り組みは他コースにも広がりつつある。今年度より全クラス対象の「学力検討会」を定期的に開催。クラスごとに弱点を強化していく方針だ。
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成績上位層をセレクト
中学では来年度、新たに「スーパーセレクトクラス」を開設する。
「東大を視野に入れ、難関国公立大と医歯薬理工系を目指すクラスです」と入試広報センター長の本間一行先生。
募集定員は20名。対象とする生徒層も、入学後のカリキュラムも従来とは大きく異なるため、募集要項や願書は別扱いとなる。普通コースへのスライド合格も行わない。試験科目は国算理社の4科目。各科目100点ずつの合計400点満点となる。
「定員数にはこだわらず、学力優先で選抜します。したがって、入学者はわずか数名かもしれません。また逆に、定員を大幅に上回るケースも予想されます」。
いずれの場合でも、教員・施設設備ともに十分なキャパシティを有する同校ゆえ、受け入れ体制に支障はないという。
「学習指導面では、高校のαコースで蓄積したノウハウも活用し、6年間をかけてαコース以上に成績を伸ばしていきます」。そのために主要5教科に関しては週に30時間の授業時間を確保。平日は7ないし8時限目まで授業を設定する。高校2年次で高校の学習内容を終了し、3年次より徹底した志望大学別演習に入る。
クラスは、αコースと同様、ほかのクラスの中からセレクトされた成績優秀者との混成も想定している。主要5教科以外は同じ授業を受ける。そうすることで、他の生徒たちにも良い刺激を与えられるからだ。
「いまも普通コースにおいて成績上位層を対象としたゼミを開いています。今後はさらにその幅が広がり、生徒それぞれに、よりフィットした授業が展開されることになります」と本間先生。
新駅開業を前に
スーパーセレクトクラスの入試日は1月14日(土)を予定している。この日は他校の入試とほとんど重ならない。年を追うごとに進学校としての評価が高まり、受験生の人気を集めている同中学だけに、この入試にも多くの応募が予想される。
本間先生は「栄東中学の『東大クラス』の併願としても適しています」と話す。実際にこれまでの入試においても、栄東中学との併願が多かった。兄弟姉妹が栄東中学と同校の両方にいるケースも目立つ。
「多くのご父母が佐藤栄学園の教育方針を認めてくださり、県内有数の進学校である栄東の併願校に本校を選んでいただいていると思います」。
本間先生は「併願校としての人気」と話す。しかし、今年初めて実施した午後入試で、意外な発見があった。午後入試の受験生297名が、午前中にどの中学を受けたかを調査したところ、最多を占めたのは栄東中学ではなく、同校の午前入試だった。およそ130名の生徒が受験。同校ファンが予想以上に多いことを示した。
2年後の2007年度には、正門から徒歩3分の距離にJR埼京線の「西大宮」駅が誕生する。その時点で同校の応募者がさらに増え、学力も一気にレベルアップするだろうと以前から予想されている。
しかし埼玉栄中学校は、来年度にスーパーセレクトクラスを開設。新駅開業によらず、自らの手でさらなる飛躍への扉を開ける。
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