ともに学び、ともに歩む
今年度の学校案内パンフレットやポスターには「ともに学び、ともに歩む」と記されている。これは本庄第一高等学校の学園理念「響生」をよりわかりやすく、より具体的に示したものである。互いに影響を受け、互いに影響を与え、柔軟さと豊かさを育む、という学園理念のもと、生徒たちはいい意味での競争心をもって、学習に部活動に励んでいる。自由で明るい校風は何より生徒たちの笑顔に見てとれる学校だ。
地道な積み重ね
S特進の誕生
十数年前から特進コースを中心に、早稲田や慶應などの最難関私立大学へ多くの合格者を出してきた同校が、飛躍的に発展するに至ったのは「S特別進学コース」の開設を契機としてである。現役で東大、京大へ合格したいという生徒たちの思いをかなえるために、平成19年に新設された「S特進」は、第一期生から東大への合格者を出し、翌年、京大へ2人、そして、本年の東大合格へと続いていく。3年連続の合格は、同校にそれだけのノウハウと実力があることの証明でもある。さらに驚かされるのは、難関大合格者の高校入学時の学力がさほど高くないことだ。「偏差値60台前半だった生徒が、校内で実力を伸ばし、東大へ合格しました」と語るのは山城寿男生徒募集本部長。「面倒見が良く、高校の3年間で大きく学力を伸ばす本校の教育は、各方面から高い評価を得ています」と学内の指導体制に確かな自信を見せる。
S特進、特進、進学α、進学βの4つで編成されるコース制は、いずれも「入口の偏差値よりも出口の偏差値」をモットーに運営されており、すべての生徒の現役合格を最大の目標としている。現役合格率99.6%というのはまさに驚異の数値だ。
全国レベルの部活動
本庄第一高等学校の部活動の活躍は凄まじい。何しろ、日本一に3度輝いている。女子サッカーが2度(昭和62年、平成5年)、そして、本年の男子剣道部である。女子サッカー部の卒業生には、昨年のW杯優勝メンバーの一人、山郷のぞみ(浦和レディース)、なでしこジャパン アテネ・北京五輪主将の池田浩美(旧姓磯崎)がいる。平成24年度は女子サッカーがインターハイ種目に加わった記念すべき年であるが、難なく出場を決め、3度目の日本一を目指す。
今春の全国高校剣道選抜大会で初優勝を飾った男子剣道部は、埼玉県勢としても初の全国制覇となる快挙であった。同部もインターハイ出場を決めた。女子剣道部も団体戦出場は逃したが、個人戦での出場は勝ち取った。
早稲田大学時代に強打者として鳴らした須長三郎監督率いる野球部は、平成20年、22年と二度、夏の甲子園に出場し、県内では毎年優勝候補の一つに挙げられるまでに成長した。野球部の甲子園出場は校内だけでなく、本庄市をはじめとして、埼玉県北部地域全体が盛り上がるそうだ。
この他、卓球女子、ソフトボール女子、ソフトテニス女子、バドミントン女子、バレーボール女子、ダンス、スキー、チアリーディング、馬術の9つの部活が、全国大会に出場している。
文化部では7年連続県展出場の書道部、同じく27年連続出場の実績を残す美術部が、全国レベルで活躍している。学校内の各所に掲示されている部員たちの作品の質の高さにも目を奪われる。また地域社会に密着した活動を行っているのも両部の特徴だ。
本年3年連続の西関東大会出場をねらう吹奏楽部が開催した定期演奏会には、多くの市民、卒業生、保護者、中学生が参加してくれた。顧問の金井先生は「西関東にとどまらず、全国を目指します」と力強く抱負を語ってくれた。 |
恵まれた環境と立派な施設
本庄第一高等学校の教育を支えているものに、豊かな自然環境と抜群の教育施設が挙げられる。流域面積日本一の利根川がすぐそばを流れ、裾野の広い雄大な赤城山を仰ぐ自然環境は、心を広く大きくしてくれる。また、広い敷地内に作られた校舎および体育施設には目を見晴らされる。男女サッカー部、ソフトボール部、陸上競技部が同時に練習できる広いグランド。バレーボール部、ダンス部、バスケットボール部が活動する第一体育館。卓球、剣道、バドミントン、チアリーディングの各部が練習する第2体育館。野球部専用となっている第2グランドは、室内練習場の他、サブグランドも完備され、申し分ない環境だ。
もうすぐ90周年
新たなステージへ
大正14年(1925)に創立された本庄第一高等学校は、3年後に90周年を迎える。記念すべき節目の年に中学校を開設すべく、学内には「中等部設置検討委員会」が設けられた。
「女子サッカー部が努力を重ねて、日本一に輝いた。その姿を見た生徒たちが、『自分たちも』と努力して、難関大学に合格。すると、その姿に刺激をうけた野球部が甲子園に出場。初の甲子園出場の翌年に、初の東大合格。初の東大合格の翌年に、2度目の甲子園出場と初の京大合格。そして、剣道部の日本一と2人目の東大合格と、いう良い循環です。これこそが当学園の目指す『響生』です」と語ってくれたのは吉田秀也教頭。
確かな成長を背景に、高崎・藤岡・伊勢崎を中心として、群馬県からの入学者も大幅に増加してきている。
本庄第一の新たな発展に目が離せそうにない。
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