保護者・在校生が見守る中、本日の主役である卒業生が、盛装した担任教師と一緒に会場に入場。会場となった体育館の空気がピンと張りつめた。
国歌・校歌斉唱に続き、卒業証書授与。各クラスの担任が名前を読み上げ、生徒が順次起立する。その後、代表が檀上にのぼり、橋邦昌校長から卒業証書を手渡される。礼法の教えを受けてきたという生徒の立ち居振る舞いは、誰もが清々しい。
この後、優等賞、皆勤賞、併設高等学校奨学金授与などの賞状授与が行われた。優等賞は学業優秀で品行方正、他の模範となるべき生徒を表彰するもの。今回授与されたのは16人(昨年より5人増)。10段階評価で平均評定8.0以上。しかも3年間の欠席日数が10日未満という生徒が表彰された。また、併設高等学校奨学金授与には、和洋国府台女子高等学校への入学試験で上位に入った生徒が選ばれる。今回の選出は3人。在校生の励みになればと、今年初めて卒業式で発表された。
感謝の心を忘れずに、成長し続ける人間に
橋邦昌校長は式辞にて、「ご両親、友人、和洋で過ごした3年間、そして日本という社会にも感謝してください。感謝のできる人間は人のために役立つ人間になろうと努力できる人です。豊かな時代であっても感謝の心をエネルギーとし、自分を大きく成長させてください。その尊い努力が、ご両親への恩返しになるのです」と述べた。
続いて、和洋学園・金田幸三理事長の祝辞や来賓の方々の紹介、祝電が披露された。在校生の「送辞」および卒業生の「答辞」は、共に学園生活での楽しい思い出や感謝の気持ちを素直に込めた内容で、心に響くものがあった。
最後に、卒業生が「仰げば尊し」を、在校生が「蛍の光」を斉唱。式の締めくくりとして、同校の吹奏楽部の演奏をバックに卒業生が退場した。
2時間もの長時間にもかかわらず、生徒たちは礼儀正しく、式は静けさの中、粛々と進んだ。そうした生徒の折り目正しい態度に心が洗われた卒業式だった。
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卒業生と保護者の声
まだ感激の余韻が残る卒業式後、卒業生とその保護者の方に感想を伺った。
ある卒業生は、「なかなか送られる実感がわかなかったのですが、送辞と答辞を聞いているうちに卒業することを身をもって感じることができました」とコメント。クラス代表で卒業証書を受け取った生徒は、「間違えなくて良かったです。緊張で手が震えました」とホッとした様子。同じクラスの卒業生は「中学の校舎と別れるのは寂しいけれど、みんなと高校に行っても会えるので、嬉しいです」と満面の笑顔だった。
代表生徒の保護者は「やっと義務教育を育てあげた、という実感があります。今は他の曲を歌う学校も多いと聞きますが、伝統ある『仰げば尊し』『蛍の光』を歌ってくれたのでジーンときました」と語った。
全国レベルで活躍している水泳部の生徒の保護者らは、「皆勤賞の生徒が43人もいて、素晴らしいと思いました」「想像したより厳かな式に驚きました」と感激した様子。これから高等学校に進むにあたっては「自分の目標に向かって頑張ってほしい」「高校時代にしかできないことに挑戦してほしい」という言葉が寄せられた。
同校の太田陽太郎教頭は今年の卒業生を評して、
「時間を守って行動できる生徒たち。また、短歌コンクールで文部科学大臣賞を受賞する生徒や、水泳や卓球などのクラブ活動でも全国大会で活躍するなど、勉強以外のことも最大限努力し、成果を挙げてくれた学年でした。和洋のよき伝統を下級生に示してくれたと思います」と語る。
同校は橋校長就任後、さまざまな改革案を打ち出しているが、平成21年度からは宿題の出し方を変えていくという。教科ごとにバラバラに出すのではなく、全体の量を考慮し、より意欲的に学習に取り組めるよう、各生徒に合わせていく。また、高等学校の特設コース(国公立・難関私大進学を目指す)を希望する生徒向けに、特訓講座を夏休みから行っていたが、希望者の増加に伴い、今年は1学期からスタートしたい考えだ。
全員4年制大学進学を目指している同校の取り組みが、生徒たちのやる気を喚起し、着実に実を結んでいることがうかがえた。
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