大人気で生徒層にも変化
東洋高等学校には、今年も驚くべき2,104名の受験者が集まり、定員の350名を大幅に超える438名が入学した。平成13年、JR水道橋駅前に未来志向の校舎としてインテリジェントビルを新築し、改革を行ったときから、追い風が吹き続けている。
勢いの止まらないその人気の要因について、高橋徹教諭はこう説明する。
「駅前という立地の良さ、ハイテクキャンパスという斬新さに加え、年々進学実績が上がっていることが好感度を高めているのだと思います。また、生徒たちは明るく、勉強にもクラブ活動にも積極的に取り組み、校内は活気にあふれています。この雰囲気をそのまま伝えようと意図して工夫した説明会も受験者を増やす大きな力だと認識しています」。
受験者数の増加にしたがって、「特進コース」を希望する生徒が増え、現在は5クラス200名が学ぶ。入学者の学力レベルも年々上昇、自主的に学習する生徒が増え、目標とする大学のランクも違ってきた。
昨年の大学進学率は69%、今年は69.8%と数字の上ではさほどの伸びはみられない。しかし、早稲田大学4名をはじめ、青山学院、上智大学、東京理科大学、立教大学など難関私立大学、有名私立大学への合格者数が着実に伸びている。そこで、創立101年目の今年、新しい校長とともに、「“新生”東洋」として進学実績を伸ばし、さらに魅力ある学校づくりへの取り組みを始めた。
3コース制から、新2コース制に。
「大学進学のニーズは、受験者数増に比例して、年々高まってきています。今後は、国公立大学への進学実績を増やすことが“新生”東洋として必要条件であり、実現させなければならないことだと考えています」と高橋教諭は語る。そのために今年同校が着手したのは、今のコース制を見直し、進学により比重を置いた指導を行うことと、進学校として期待される教職員らへの意識改革である。
コース制に関しては、平成21年度から、今の3コース制から2コース制に変えると同時にカリキュラムも変更。現在は、難関大学現役合格を目指す「特進コース」、海外留学制度などを通じ、語学・国際系大学への進学を目指す「国際コミュニケーション(IC)コース」、基礎学力の充実した習得で、多様な希望進路へ対応する「文理コース」の3コースを設けている。これを平成21年度からは、「特進コース」と「総合進学コース」の2コース制に再編、「国際コミュニケーション(IC)コース」は「特進コース」に含まれる。また「特進コース」の上位の生徒は、「スーパー特進コース」として、首都圏の国公立大学進学を目指すクラスになる。
「グローバリゼーションや英語の力は、生徒が進学し、社会に出るには必ず必要なものです。あえて国際コースを作らず、国際化の力をつけていこうという趣旨で、2コース制にしました。コース名はまだ仮称で決まっていませんが、新コースのもとで、首都圏の国公立大学へは30名は入れたいと考えています。」と力強い。
21年度の新コース設定に向けて、平成20年度のICコースの募集はせず、特進コースでもすでに上位クラスを1クラス設けて、指導している。
新校長のもと切磋琢磨する教職員
新校長の野間一夫氏は就任後、常に身近な存在でありたいと、校長室の廊下に面したドアや職員室とを隔てているドアを開放。ドア自体もスチール製からすりガラス入りに変えた。「和を大切に、一致団結して、101年目の今年から新たな東洋高等学校を作ろうという趣旨だと思います。新校長になって、教師集団がいい意味で競争するような、活気あるいい雰囲気ができています」と高橋教諭。
例えば、進路指導部から模試の科目ごとの全国平均点を出してもらい、教科担任同士で達成度について話し合う。互いに点数をあげようと、授業の創意工夫にも熱を入れる。また、模試の前の特別補習を一人の教員が行えば、他の教員も行うというように、生徒の学力向上のために切磋琢磨するエネルギーが職員室に溢れている。「そういったエネルギーは、生徒にすぐに伝わり、いい影響が出ています。子どもを変えるには、先生が変わらないとだめなんです」と高橋教諭のことばに力が入る。来年度に向けて、教員たちはそれぞれ個別研修にも参加する。 |
受験者を増やす舞台、「説明会」
受験者数は5年間右肩上がりで、非常に注目されている同校。その秘密は、受験者やその保護者のニーズに応えた説明会を企画している点にある。同校の説明会は5日(ただし、午前・午後と行う日が2日あるので、計7回)あり、1回に700〜800人が参加する。12月には会場に入りきらず、別の会場が用意される。リピーターが多いのも特徴で、のべ約5,000人余りが来場する。「校長や教頭が出てきて、まじめに固い話をしてもおもしろくないし、本当に知りたいことはあまりわからないでしょう」と説明会を企画し、数年間司会進行を担当していた高橋教諭はきっぱり言う。
その説明会では、まず吹奏楽部の迫力ある演奏とともに幕が上がる。生徒の制服のファッションショーあり、来年新1年生(予定)担任の紹介あり、生徒と先生のアットホームな会話、1年生へのインタビューなど、会場は何度も爆笑の渦となりながら、ありのままの元気な「東洋」が見える。
「いわば1つの舞台。でも、簡単な進行は説明しても一切台本はなく、アドリブです。生徒たちの飾らない姿が見えて、うけるのです」と高橋教諭は自信あり気。また、次回は過去問題について解説するなどと興味をそそる予告をしてリピーターを増やすしかけも怠らない。説明会に来た生徒や保護者のハートをつかみ、「受験したい」学校になり、「併願」を「単願」にさせることも少なくないという。
大好評の説明会。“新生”東洋に会いに、ぜひ足を運んでみたい。
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