埼玉栄中学・高等学校は今年、中学校第7回目、高等学校第35回目の入学式を迎えた。
平成12年の開校から順調に志願者数を伸ばしてきた中学は、今春の入試で昨年の倍近い2,926名の出願者を集めた。いまや県内有数の人気校である。入試を突破した204名の中学生は、高校生794名とともに体育館に整列し、緊張のなかにも晴れやかな表情で入学式に臨んだ。
国歌斉唱の後、それぞれのクラス担任の先生から一人ずつ名前が読み上げられると、「はい」という元気な声とともに次々と起立。佐藤栄太郎校長から入学許可を受けた。
続いて、佐藤校長が式辞を述べ、新入生に「一人ひとりが個性を生かし特性を伸ばすことが『学び』。全力を尽くし、今日より明日へと、成長していく努力をしてほしい」と呼びかけた。
また、金子善次郎衆議院議員ら来賓の方々からも激励の言葉が送られた。
このあと、中学新入生を代表して、スーパーセレクトクラスの山口真由さんが「私たちは今日から、本校の建学の精神である『人間是宝』をいつも心にとどめ、校訓の『今日学べ』を胸に、勉強にスポーツに精一杯努力します」と力強く宣誓した。
続いて、高校新入生代表の普通科・篠本健人君と保健体育科・石井杏梨さんが一緒に、「本校には、国内はもとより、世界的に活躍している先輩方が残した数限りない栄光の足跡がある。私たちは先輩方に負けないよう努力し、一生懸命に挑戦していきます」と誓いのことばを述べた。
最後に、中学・高校それぞれの新入生全員が、声を合わせて校歌を歌い上げ、合同入学式を終了した。
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「伸ばす栄」を第1期生が実証
今春の入試で、埼玉栄中学校の志願者数は、昨年の1,570人から2,926人へと大きく伸びた。この増加数は、ある大手進学塾のデータによると、武蔵工業大学付属中学、かえつ有明中学に次ぐ、3番目に高い数字である。特に県内の志願者増が目立ち、地元での評価の高まりを示した。
入試広報センター長の本間一行先生は、大幅増の要因のひとつとして、「学校説明会のシリーズ化」による来校者数の増加を挙げる。全13回開催した説明会では、毎回、中学入試の様々なノウハウや三大模試の結果など最新情報を提供した。
「続きを聞きたいと思っていただけたようです。なかには、全回参加された方もおられました」。
何度も足を運び、説明を聞くうちに同校のファン層が広がっていったと考えられる。実際に、同校を第一志望とする志願者が増えているという。
その一方で、姉妹校の栄東中学との併願も増加傾向にある。栄東は、毎年東大に現役合格者を出している県内屈指の進学校だ。
本間先生は「偏差値のみを基準に学校を選ぶのではなく、佐藤栄学園の教育にご賛同いただけたのだと思います」と話す。
もちろん、埼玉栄に対する進学面での期待も大きい。今年3月、中高一貫の第1期生49名が卒業。埼玉大や早稲田・東京理科大・学習院・中央・明治・星薬科大などに合格を果たした。
「1期生は専願入試を実施していましたので、学力レベルの高い生徒が集まったわけではありません」。
きめ細かな指導により、6年をかけて確実に学力をアップさせてきた。
1期生の中で東大理科を受験し、惜しくも合格にあと一歩及ばなかった女子生徒は、中学入学時点では東大受験など思いもよらなかったという。
本間先生は「本校のキャッチフレーズは『伸ばす栄』。伸ばす教育に自信があります」。
しかも、「詰め込み」ではない。先の女子生徒は、高校2年生の3月までウェイトリフティング部で活躍。本格的な受験勉強に入ったのは、3年生に進級してからだった。
「もう少し早い段階で受験勉強を開始したり、あるいは文科を受験していたら、合格したかもしれません。しかし、担任やクラブの顧問とも話し合い、本人がよく考えたうえで選んだ道です」。
生徒の希望を尊重し、アドバイスをしても、コントロールはしない。その方針が、生徒の充実感や満足感につながっている。同校に兄弟姉妹が多いのも、満足度の高さを表す。志願者の大幅増は、在校生らによる口コミの効果とも言える。
今年度から、東大を視野に入れ難関国公立私立大学を目指す「スーパーセレクトクラス」がスタート。近い将来、校門から徒歩3分の距離に、JR埼京線の新駅「西大宮」が開業予定と好材料がそろい、埼玉栄中学の吸引力はさらに強まると予想される。
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