共学校への準備着々
同校は東大阪大学および短期大学部、付属幼稚園と柏原高等学校(東大阪大学柏原高等学校に改称予定)を有する総合学園・村上学園グループが経営する65年の歴史を持つ高等学校である。大学キャンパス内に立地しており、緑豊かでおしゃれな環境の学び舎と言える。
校内に一歩踏み入ってまず目を引くのが、空手道部の全国制覇を称えたいくつかの記念碑だ。中央校舎には柔道部の国体への出場を祝う横断幕も張られている。武道での「全国レベルの実力」は溢れんばかりの活気を伝え、一瞬、女子高であることを錯覚しそうになる。その上、来年度からの共学化で生徒間に新たな切磋琢磨の機会が増すことは間違いなく、“敬愛”の可能性がまた大きく広がりを見せるだろう。
校内では目下、共学化に向けハード、ソフトの両面から準備が整えられている。施設面では男子用のトイレ、更衣室の設置にはじまり、コーディネート自在の制服も決定済み。同校の筒井宣興教頭によると、制服は3年前のモデルチェンジの際、森英恵のファッションショーで吟味した逸品。この時、女子の制服だけを採用したが、図らずも"Boy's
Style"にも活躍の場がめぐってきたわけだ。
行事面でも男子生徒が力を発揮しやすいよう体育祭の種目の洗い出しから、新たな部活、サークルの設置に向けた準備が着々と進められている。
特に指導面においては、共学化に踏み切った学校から留意すべき点についてアドバイスを受けるなど余念が無い。ひと言に指導といっても男女の違いでその方法は大きく異なるという。筒井教頭は「例えば女子生徒を叱る場合は、(経験上)丁寧に時間をかけて言い聞かせるように指導してきましたが、男子生徒に対しては、まず叱る場を考慮し、手短に効果的な言葉で時間を長引かせないことが大切なんです」と説明する。そして、プライドを傷つけるので間違っても女子生徒の目前で叱ってはならないとも。このようなちょっとした心積りにも教職員の共通理解が図られ、新たな敬愛の第2次学校改革がすでに始まっている。
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「留学特進」「こども学」コース
で男子の需要を拓く
共学化と同時に「特別進学」と「こども学」の2コースを新設する。「特別進学」コースは平日の7時間授業に加え、土曜日に演習を中心とした補習授業を行う。また、夏休みに2週間、冬・春休みにはそれぞれ1週間の長期休暇補習を実施することで、国公立大、難関私大への進学を目指す。筒井教頭は「昨年度までに関関同立に合格者を出してきましたが、文系が中心でした。今後、共学化により理系への進学希望も増えると予想されることから、理数系授業にも力を入れていきたい」と語る。
「こども学」コースは併設大学である東大阪大学への進学が約束された(試験、入学金免除)大学直結コースだ。無論、他大学進学の選択肢も可能。近年、保育士、小学校教諭といった職業に男子学生の就職希望が増えており、教育現場での需要も高まっている。同校ではさまざまな職業に男女の住み分けがなくなりつつある状況に着目し、併設大学のスケールメリットを活かした「こども学」コースへ男子生徒の門戸を積極的に開いていく。早くも学習塾からの反応に手ごたえを感じているコースである。
これまで女子に需要が高かった留学特進の分野でも、「留学進学」コースへ男子を受け入れることで、敢えて男子の需要創出を図りたい考え。このコースでは基本的に「特別進学」と同じカリキュラムを組んでおり、特段、英語資格に関しては英検2〜準1級、TOEFL、TOEICでの高得点取得を目標としている。そのための対策授業も充実させている。留学は2年次に、3か月、6か月、1年の3タイプから選び留学する。留学中の単位は同校で認定されるため、3年間で卒業可能。
「介護福祉」コースは東大阪大学との連携がもっとも活かされるコースで、同大学の教授陣による高度な専門授業を受けながら、2年生までにホームヘルパー2級の資格を取得。3年次にはさらに介護福祉士の国家試験合格を目指す。2〜3年生は特別養護老人ホームや老人保健施設などでそれぞれ2週間の実習を積むが、3年次には全員がホームヘルパー2級の資格を取得しているため、実習先でも歓迎されている。
高校入学の段階で明確に進路を決めていなくても、多彩なジャンルの授業をきっかけに将来の進路を探っていけるのが「総合選択」コースである。1年次は基本的学習を徹底して身につけ、2年次からさらにコースが「総合選択」と「総合進学」に別れる。「総合選択」では2〜3年に週6時間の選択科目(パソコン、英語検定、ペン習字、トラベル英会話、服飾デザインなど20講座以上)を3科目まで選択できる。「総合進学」では国語、英語の力を十分につけ文系大学、短大受験に備える。
なお、全てのコースは2年進学時までコース変更が可能となっている。
“やりたいこと”を柔軟に後押し
サークル認定制度
「女子サッカーチームをつくりたい!」「アカペラ仲間よ集まれ!」など元気なヤル気を後押ししようと、今年新たに2つのサークルが誕生した。サークルはクラブ活動のように対外試合参加を主な目的とはしていないものの、学校施設を自由に使って好きなことを気楽に楽しむことができる。
すでにフォークバンドや点訳・手話、筝曲、ダンス、スキー・スノーボード、ゴルフなど19サークルが活動中。7時間授業の「特別進学」コースの生徒もサークルなら気楽にリフレッシュすることができるため、今後人気を集めそうだ。3人程度の仲間を募って学校からサークル認定を受ければ、すぐにでも活動ができるという。筒井教頭は「来年以降、男子向けのサークル認定で、どんな要望が出てくるか楽しみです。心配も無いわけではないですが」と本音で語ってくれた。
クラブ活動は陸上競技、テニスバレーボール、弓道、空手道、柔道、書道、美術、茶道、演劇、人権問題研究が活動中。
<お知らせ>
敬愛高等学校では下記の日程でオープンスクールと入試説明会を開催します。
オープンスクール 11月6日(日)
入試説明会 11月23日(祝)、12月4日(日)、12月23日(祝)
※時間はいずれも午前10時開始。施設見学会あり。当日参加も可能。
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