充実の4コース(高等学校)
3年前、同じ松原市内の高見の里への移転と同時に学内設備を充実させた同校は、ソフト面でも共学化や中等部創立、制服のモデルチェンジと次々に改革を遂げてきた。常に見直すべき点を着実に見直す姿勢が、この春、生徒の進路をかなえるうえで大きな飛躍に結びついた。現役生の和歌山大学、京都工芸繊維大学、大阪府立大学、兵庫県立大学への合格である。関関同立へは50名(全75名)が現役合格を果たした。卒業生304名に対する大学進学者は252名で、その率は82.9%に上っている。
進学指導は4つのコースごとに生徒の目標、適性に応じたカリキュラムに基づき行われる。授業時間数は最も多いコースで、公立学校より週8時間多く確保している。
▽ 数英コース 理系科目と英語の時間数を大幅に増やした週40時間のカリキュラムを実施。国公立大学および関関同立など難関理系大学への現役合格を目指す男子のみのコース。生徒の希望に応じ2年次から国公立大学受験者向けに週2時間の古典演習を受講できる。数・理・英の主要3教科は3年間同じ教員が担当することを原則としており、目標大学にあった計画的指導を重視している。授業時間数が多いが、一部練習時間に制限はあるものの、部活と両立も十分可能である。
▽ 国英コース 1年次に英語を中心に週40時間のカリキュラムを組んでいる。2年次からは英・国・地歴に重点を置き、効率的学習指導で関関同立をはじめとする難関私立大への現役合格を目指す共学コース。春・夏・冬の長期休暇に受験への実践力をつける講習を実施。日頃の講習と長期休暇中の講習の時間数の総和は3年間で1500時間にもなります。
▽ 国際コース 英会話をはじめ、イタリア語、中国語、フランス語、韓国・朝鮮語と外国語科目を充実させた共学コース。国際理解教育やコミュニケーション能力、プレゼンテーション能力の養成を主眼とし、1年の春休みに海外研修として、全員がニュージーランドでホームステイ、異文化交流を体験する。進学先は関関同立、関西外大、近畿大、四天王寺国際など。留学先ではトランスパシフィック大学、FLSインターナショナルシトゥラス大学がある。
▽ 総合コース 部活との両立にバランスの取れた週32時間のカリキュラムを実施。生徒の希望により週4時間の演習を受講できる男子のみのコース。2年次にテストと面接を受け、数英コースや国英コースへの編入も可能。阪南大学への「特別推薦システム」*により希望者全員が同大学へ進学できる。進学先は関関同立をはじめ、近畿大、佛教大,桃山学院大など、多数。就職先としては大阪府警、大阪市役所、モビーリック、センコーなど。(各コースの進学先などはすべて2004年度卒業生実績)
*「特別推薦システム」により阪南大学へ入学する生徒は入学金が全額免除される。
コースにより自由に演習授業を選択することができるが、同校では自主学習のための設備も充実している。メディアセンター(図書室)には、コンピュータコーナーのほかに、読書にも自主学習にも利用できる豊かなスペースが確保されている。さらに同センター奥には個別ブースが並ぶ自主学習ルームが完備され、夏休みなどの長期休暇にも開放されている。これら快適な学習環境が進学指導をサポートしている点も見逃せない。
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無理なくスムーズに高度な学習(中等部)
同校中等部に42名の新入生が初めて入学してから満3年がたった。第1期生の中等部卒業生は、この4月、同高等学校の6年1貫コースへ進学した。中高一貫教育の利点は効率的カリキュラムにより早期に高等学校の学習内容に移行し、余裕をもって受験対策を練る点にある。同校でもその点は同様だが、カリキュラムの効率化以外に週当たりの授業時間数を公立学校より4時間増やし、さらに、春・夏期に全員に補習授業を行うことで、スムーズに教科学習の理解を深めることに努めている。そのため、数、国、理、英の4教科については中学3年の夏ごろから高等学校の学習内容に移行していく。
特に数学は検定教科書のほかに、「体系数学」(数研出版)という教材を使用し、自然な流れに沿った学習を進めることにより、高等学校進学後の理解度を高めている。
国語は中学校段階で基礎古典文法の学習に入り、高等学校で習う古典を読み親しむことを始める。また、漢字検定の全員受験や「朝の読書」の実践は日々の学習意欲を高めている。
理科は中学3年の1学期に中学校での学習のまとめを行い、それ以降は理科総合、物理、化学といった高等学校の学習内容に移行する。
英語は中学3年次の1学期には教科書を終了させ、英文法、長文演習により多くの時間を割く。また、生徒全員に実用英語検定の受験を奨励し、中学3年生で3級〜準2級を取得することを目標としているが、昨年は中学2年生で準2級を取った生徒もいたという。オーラルコミュニケーションでは中学1年次よりネイティヴスピーカーの教員が指導する。
社会では歴史的分野において高等学校の学習内容と重複も多く、中学段階で一足早く高等学校の内容について話を進めることもあり、6年間を通して効率的な理解を得られる内容となっている。
恵まれた教育環境
3年前の移転に伴い全面的に校舎を新築し、最新の設備を整えた同校は、ある学力テストの受験会場となっている。受験のため、たまたま訪れた中学生が緑あふれる中庭や、いわゆる“学食”のイメージとは程遠いおしゃれな食堂を目の当たりにし、入学を希望するケースもあるという。前述のメディアセンターや自習室のほか、体力づくりに一役買うトレーニングルームも体育系の部活に熱心な生徒には魅力的だろう。
正門横にはガードマンの詰め所が設けられており、常駐のガードマンに行き先を告げてから校内へ通されるのも、保護者にとっては安心できる。家庭より学校で過ごす時間が長くなる中等教育期において、学校に来ることが楽しみになるような設備環境は、生徒にとって学校選択のひとつの基準になるだろう。
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