「知育」、「徳育」、「体育」の3領域にバランスのとれた人材を育成
和歌山市内を一望できる高台にある近畿大学附属和歌山高等学校・中学校は、緑が豊かで、校舎がレンガ造りのため一見すると大学のキャンパスのように見える。敷地面積は14,7万平方メートル、甲子園球場が3つは入る広さだ。四季折々の草花が美しく、まわりは非常に静かで学習環境は抜群である。
ここから今年424名が卒業し、215名が国公立大学に進学した。私立大学においては併願も含め、618名が合格。そのうち関関同立には、300名以上が合格している。
「開校して数年は、国公立大学に50名を入れよう、などと目標を掲げていた頃もあったのですよ」と情報企画部の遠藤隆部長は苦笑するが、現在は常にトップを走る。
校訓は、「人に愛される人、信頼される人、尊敬される人になろう」。「知育」、「徳育」、「体育」の3領域にバランスのとれた人材を育成することを目標におき、 調和のとれた人間性を育む教育を実現している。
少人数制による中等部6年一貫教育
中等部6年一貫教育は、高等学校で外部生と交わることなく、理系難関大学を目指す「数理コース」と「学際コース」に分かれ、6年間を見通したゆとりある教育課程のもとでレベルが高く無駄のない授業が展開されている。クラスは少人数制で、1〜2年では基礎学力の養成をはかるとともに、校外学習や音楽発表会など多彩な学校行事でさまざまな体験をさせることを重視している。
5年間で高等学校3年次までの教科内容を終了し、最後の1年間は志望大学の合格にむけ、主に演習問題に取り組む。早期より志望大学を決定し、合格にむけた学習を行うことで、国公立、私立大学を問わず超難関大学に合格する生徒を多く輩出している。今年度は昨年よりも大幅に中学校の受験者数が増えた。その理由を遠藤部長は「広報関係を行う専門の部署としてこの情報企画部ができ、塾等にPRしたためだと思います」と話す。同校には大阪からも1/4の生徒は通学しているが、まだ存在を知らなかったり、通学圏内ではないと思い込んでいる場合が多々あるという。
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3つのコースで現役合格を目指す高等学校
高等学校では、難関国公立大学を目指す「新ADコース」と有名国公立大学、私立大学を目指す「ADコース」が設けられている。また、「ADコース」では選抜クラスがあり、各コースは、さらに2年次で文系・理系に分かれ学習が進められる。
「新ADコース」は週38時間授業のため、クラブ活動に参加したい生徒は週36時間授業
の「ADコース」に所属している。
施設面では、LL機能とコンピューターを備えた「マルティメディア教室」を完備。また全館無線LANが走り、授業や放課後の学習などに使用されている。
ところで、クラブ活動では、昨年4回目の県代表として全国選手権大会出場を果たしたサッカー部や、全国大会出場の剣道部、柔道部をはじめ、体育・文化系クラブが多くの実績をあげており、生徒一人ひとりが精力的に活動している。
この他秋に行われる「光雲祭」は、文化祭と体育祭が一緒になった3日間の大イベント。2日間は展示や模擬店などで賑わい、最後の1日(土曜日か日曜日)は約1,000名の来場者があり、迫力ある体育祭で盛り上がる。
「準備も含め、光雲祭のある週は、学校全体がひとつになって、非常に盛り上がります。卒業生の一番の思い出になっているのではないでしょうか」と遠藤部長。
To the next stage(次のステージへ)
実績を伸ばす同校の大きな特徴の1つに、生徒も教師も「授業を大切にする」ということが挙げられる。教師は工夫を重ねた質の高い授業を行い、生徒たちは塾等には行かず、熱心に授業を聞き、教師を信じてついていく。そして、高校1年次から「個別添削」という個別指導を実施していることが合格へ導く大きな要因であるという。
「各大学に合格するにはどういった問題ができなければならないか、各教科ごとに教員の中でノウハウが蓄積されているのです。例えば東大のある学部に合格するには、この時期にどういった問題をマスターしていなければならないか、など教科ごとに細かいレベルでわかっているので、生徒に個別に手作りの問題を渡し、添削するのです」。
個別添削も含め、補習指導も充実させており、夜7時頃まで教師と学校で勉強している姿もよく見られるという。
遠藤部長に次の目標についてお聞きすると、70%以上を追求することよりも、東大など超難関国公立大学に合格させる生徒数を増やすことだと返事が返ってきた。
「『To the next stage』というキャッチフレーズを掲げて全教員でがんばっています。ノウハウがありますからきっと実現できると思いますよ」。
遠藤部長の自信あふれる言葉から、近い将来、超難関国公立大学の合格者数が増え、さらにナンバーワンの地位がゆるぎないものになるのは確実だろう。
同校は、和歌山市内とはいっても、アクセスが良く、大阪からでも十分通学できる。堺市や泉大津市からも通学している生徒もいる。JR和歌山駅からはバス(約20分)だが、門のすぐそばにバス亭があり専用通学バスもある。国公立大学に進学希望であれば、ぜひマークしておきたい学校である。
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