【中学】
入学後の習熟度別授業で 生徒に良い教育的刺激を
滋賀県草津市に男女共学の中高一貫教育校として創立した17年前より、様々な改革を行いながら成長を続けてきた光泉中学校・高等学校。中学校では本年度より、既存のコース制を廃止し、新たな一歩を踏み出した。
「入学後の学力伸長が著しい生徒、じっくりと指導した方がよい生徒など、生徒の伸びにも個性がありますので、入学時の成績でコースを決めるよりも、生徒の習熟度に合わせて授業を進める方がよいと考えたのです」。
馬場勲校長の話すのは、英・数・国の主要教科において行われる習熟度別授業(他授業はHRクラスで指導)。入学後、1学期までは全員がHRクラスで授業を受け、夏期休暇中の補習からは、1学期の成績および入学試験時の成績を基に発展コースと標準コースに分かれる。このコースは2年進級時に再度考慮され、新たに編成されるため、一度標準コースと判断された生徒や発展コースに編成された生徒も、高いモチベーションを持続できるようになっている。
また、中学3年になると平常の学習成績と実力テストにより、12月までに高校のコース分けがほぼ内定する。さらに中学時代の基礎・応用学力の定着時期として大切な3学期をより充実させるために、3年間の総復習や高校課程の予習などを行い、外部入学生と同じ入試を受験させるのも、光泉の特徴である。
「高校の一貫コースは完全独立ではなく、外部生の優秀な生徒もある程度混合したクラスになります。そうすることで絶えず教育的刺激を与え、生徒の精神的な活性化を図っているのです」。
土曜日授業も従来通り4限設定(月1回休日)、50分授業の週35時間のカリキュラムが組まれており、3年間で授業時間は公立校と比較して約735時間も多い。さらに平日の放課後には必要に応じて補習も行われており、充実した授業内容が組まれている。
|
|
【高校】
充実したコース制に 3類人文コース誕生
光泉中学校・高等学校の基本指導方針は知力・体育・徳育のバランスのよい成長を促すことである。なかでも知力では各々の希望進路や習熟度に合わせた実力をつけるため、高校では全5コースのコース設定が行われている。
光泉のテニス部やバスケットボール部は県外でも好成績を幾度も上げており、また陸上部ではインターハイで棒高跳び全国2位という実績を持つ生徒がいるなど、スポーツで充実した学生生活を送りたいという生徒も多い。1類・普通コースと2類・特進コースはそういったクラブ活動を十分に行えるコースで、無論、国立・私立大学への進学も視野に入れることができる。
3類は7時限授業を含めた週38時間のコースで国公立・難関私立大学を目指す。3類中高一貫コースには内部進学生を中心に、外部生も若干名入れている。内部生は中学時代に先取り教育をしているため、外部生には1学期中にその分の補習をしている。また、3類には既存の理数コースに加え、来年度からは人文コースが設定される。
「女子生徒や一部男子生徒のなかにはもっと文系科目を重点的に学びたいという声が多く挙がっており、その声にこたえたコースです」。
こう語る馬場校長は医歯薬理数系大学への高い合格実績を基に、今度は人文コースで文系大学への合格実績向上につなげたいと続けた。
このほか、有名予備校講師による冬季特別補習やセンターテスト直前補習(センターテスト受験生以外は希望制・2年生も受講)などの通常教科特別補習を実施している。修学旅行は、現地高校との交流、異文化理解や生きた英語を体験するため今年度からオーストラリア修学旅行が実施される。また、来年度よりニュージーランドへの1年間長期留学の計画が進められている。
生徒による授業評価制で
授業内容や職員の研鑽を図る
授業・クラブ活動ともに充実した内容で指導を続けている光泉のもう一つの指導目標が、建学の理念にもある「地の塩、世の光」となる心豊かな若者の育成である。このために設けられているのが、スクールアワーと呼ばれる時間だ。
これは総合的学習として読書の時間とともに取り入れられており、洗礼を受けている教員が併設のチャペルでキリスト教の教えを話したり、校長・教頭が様々な人生の指針を語る時間となっている。活発な生徒もこの時は静かに落ち着いた状態で語りに耳を傾け、自分の内面を省みるそうだ。
また、生徒の学力向上や充実した授業を目指して、教員も常に資質向上し、授業内容を精選していかなければならない。このために、今年度より全教員に対し、生徒による授業評価を導入している。アンケートには、生徒を自己評価する項目もあり、教員だけでなく、生徒自身の授業態度も見直せるようになっている。この結果を総合的に分析し、研修会を行って、生徒・保護者の信託にこたえる教育を目指していく。
「滋賀県全域から通学生がおり、地域に貢献する開かれた学校を目指しています。そのため、親との連携も大切にしているのです」。
この方針に共感し、教育を受けたいと願う生徒は多く、今年度の入試は定員280名に対し、2,230名の受験生が殺到した。それでもまだ改善したいことは様々にあると語る馬場校長。今後のさらなる発展と生徒の人気向上など、多方面の関心が寄せられる注目校である。 |
|