安全面に配慮した
幅広の廊下と階段
新校舎は鉄筋コンクリート造り4階建て。外壁をベージュ系の2色のタイル張りに、階段エリアを全面ガラス張りにした外観は、明るく落ち着いた雰囲気だ。延べ床面積は約3025平方メートル。円形校舎と比べると約2倍の広さがある。
開放的なエントランスホールは中庭に面し、芝生の緑が目に優しい。1階に高校女子職員室と自習室、2階に中学女子職員室と会議室の他に相談室を配置。3階と4階は中学女子1年と2年の教室がそれぞれ6教室ずつ並んでいる。
廊下や階段は幅広いスペースを確保。生徒が余裕をもってすれ違うことができる。階段を降りてくる生徒と上がっていく生徒が出会い頭に衝突しないように、壁の一部を磨(す)りガラスにしてお互いに姿が見えるようにした。手すりは細めで、身体の小さな中学生も握りやすい。細部にまで生徒の安全面を考慮した配慮が行き届いている。
職員室・質問コーナー・
自習室がひとつながりに
1階と2階の職員室前は、帝塚山伝統の質問コーナー。手元を照らすデスクスタンドを置いた長机が数脚並ぶ。廊下の反対側にはベンチを配置。この日も何人もの生徒が教科の質問や進路相談に訪れていた。
同校の教員数は非常勤を含めると約190人にも上る。そのため職員室は、これまで校内6ヵ所に分散していた。新校舎完成により他の校舎にもスペースの余裕ができたことから、男子英数コースの職員室を13号館に集約。新校舎の職員室2ヵ所を含めて全体で3ヵ所にまとめることができた。これにより、同じコースを指導する教員同士の情報交換や連携が密になるだけでなく、中学の担任は高校まで見据えた指導がしやすくなった。生徒も、用件ごとに広い校内のあちこちを訪ね歩かなくてすむ。
また、以前は専用の自習室がなく、図書室のブース席を利用していたが、1階職員室の向かいに80席の広々とした自習室が誕生した。高校2・3年生は20時まで利用できる。よく利用するという高校2年の女子生徒は国立大学志望。「静かなので勉強に集中できるし、分からないことがあれば、すぐに向かいの職員室に質問に行けます」と笑顔を見せる。
2階の職員室の向かいは150人収容の会議室。用途に応じて2部屋に分けることもできる。講演会や生徒の集会に使えるようにプロジェクターを設置し、防音を施している。
ICT教育も
さらに充実
教室も円型校舎のときと比べて広くなった。4階の教室で談笑していた中学2年の女子生徒が口々に「すごく快適」と言いながら、教室の設備を見せてくれた。後方の黒板は開閉式の棚になり、教材などを収納できる。さらに、個人用ロッカーも完備。教科書や学習用具がきれいに収まる。コート用のクローゼットも備え付けられており、教室内に余分な物は見あたらず、すっきりと片付いている。
今年8月には、さらに設備が充実する。新校舎の全教室と理科実験室にプロジェクターが導入されるからだ。昨年、各教科の代表によるICT委員会を立ち上げ、ICTの効果的な活用について研究を重ねてきた。新校舎に導入後、3年をかけて全校舎に順次導入を予定している。これによって既存の黒板に電子黒板の機能を付加することができる。また、タブレットを用いた授業も可能になる。 |
図書室を拡張
居心地の良さも倍増
新校舎建設に伴い、3号館の図書室も従来の1.5倍に拡張できた。蔵書数は約5万冊。面積が広くなったことで、生徒の手の届かない書架の最上段にまで本を並べる必要がなくなり、本を手に取りやすくなった。
教室3つ分を横に並べたような細長い図書室には、何本もの書架の他に大きな円テーブルや長テーブル、自習用のブース席などがバランスよく配置され、それぞれ異なる雰囲気のスペースとなっている。一番奥の書架に囲まれた大テーブルでは、高校1年の女子生徒がひとり勉強中だ。「ブース席よりも落ち着きます」と話す。司書教諭によると、昼休みや放課後に多くの生徒が訪れるが、それぞれお気に入りの場所が決まっているという。
新校舎完成からすでに半年あまりが経過。生徒たちは新しい学習環境にすっかり馴染み、自分のスタイルで学習に取り組んでいる。帝塚山中学校高等学校と共に歴史を刻んできた円型校舎から新校舎へ、施設の充実とともに学習意欲という大きなバトンが渡されたようだ。
【今春の主な進学実績】
東大1、京大19、阪大15、神戸大15、北大4、東北大1、名大1、九大2、一橋大1 など、国公立大学225(過去最高)
奈良県立医大10、滋賀医大2、京都府立医大1など
国公立大医学部医学科28(過去最高)
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