「特進」「英進」の2コース
来春開校する中学校は、1学年の定員が2コースで80名。教師陣には若手を中心に意欲あふれるメンバーが揃い、学年団を編成し、生徒が高校を卒業するまで責任をもって指導にあたる。「一人ひとりを、6年かけて丁寧に指導していきます」と小澤輝郎校長は意気込みを語る。
入学時に「特進」「英進」コースのいずれかを選択する。どちらも6年一貫カリキュラムにより、英語や数学など習得に時間を要する科目を徹底的に強化。
そのうえで「英進」コースは、より高い英語力を育成。国公立・難関私立大学への進学をめざす。「普段から英語でコミュニケーションできるように、ネイティヴが担任する可能性もあります」。
一方「特進」コースは、目標を国公立大学に絞り、センター試験に対応できる幅広い学力を養成する。
両コースとも、隔週5日制で平日は7時限、土曜日は4時限の授業を設定。総時間数や学習進度に差はない。ただし土曜日の内容は「英進」コースが英語演習や英会話、「特進」コースは主要5教科の演習が中心。「特進」コースは、各教科をより深く理解するカリキュラムが組まれている。
入学後のコース変更は、高校2年進級時までは可能。高校2年からは各コースごとに文系・理系へと分かれ、志望大学に的を絞ったきめ細かな受験指導が行われる。
「1ランクも2ランクも上の大学を目指せる学力を育成します」と小澤校長は言い切る。
英検取得と長期留学
同校は中学入学当初より「家庭学習の習慣づけ」に重点を置く。主要5教科の家庭学習用教材を用意し、教科間で調整しながら適切な量の宿題を課す。毎朝、前日の宿題をチェック。学習が滞った場合は家庭と連絡をとり、適切なケアを施す。
さらに1単元終了ごとに宿題の範囲内で「達成度テスト」を実施。学力の定着をはかる。「毎日少しずつ勉強した成果をテストで確認できますので、自ら学習する面白さに気付きます」。
それに「中学時代は学校に残って勉強するよりも、家庭で夕食をとり、家族の団欒を大切にしてもらいたい」という思いもある。
また、すでに高校で効果を上げている教育内容を中高一貫コースにも採り入れ、学習の幅を広げる。例えば、高校の「英語」コースで蓄積されたノウハウを活かし、中高一貫の「英進」コースにおいても「長期留学」を可能としている。
また高校の「英語」コースは、卒業までに全員が英検2級を取得している。その指導方法を「特進」「英進」コースにも活用し、中1から準備を始め、中学終了時に準2級、できれば高1までに2級、卒業時には2級以上を目標としている。
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ICT教育など豊かな6年間
学習だけでなく、バランスのとれた豊かな人間性を育むために、仏教精神を根幹とした情操教育や躾教育を重視している。日常的な指導のほかに時間割の中に「礼法」の授業を1時間設定。中学1年次は、礼儀作法や相手に対する心配りなど基本的な事柄を学び、2年次以降は倫理や自分の生き方について考える。
行事も多彩だ。まず中学1年から高校1年まで、学年ごとに体験学習中心の宿泊行事を予定している。中1では兵庫県・竹野海岸でシュノーケリングなど臨海実習。中2は上高地自然学習。穂高トレッキングやラフティングも体験する。中3は北海道ニセコスキー研修。そして高校1年で、修学旅行として3週間のカナダ語学研修に出かける。「現地ではホームステイしますので、この旅行に向けて英検2級取得を目標とします」。
同校は、中学を開校するにあたり、全国各地の中高一貫校を視察した。「中学3年から高校1年ごろに、中だるみが生じやすいようです。本校では6年間を通じてテンションを維持させる工夫を凝らしています」。高1でのカナダ研修旅行もその1つである。目標があれば、英語学習へのモチベーションは持続される。
中3の「卒業研究」にも同様の意図が込められている。生徒は自由にテーマを設定し、1年間をかけてマルチメディア作品を制作。DVDに記録する。作品づくりは、ビデオ映像やCG、アニメなど動画編集や音楽などの音声処理の手法を用いる。そのため前もってPCやソフトの利用方法を指導。生徒が自由に使用できるPCも用意している。
「楽しみながら技術を習得できる、コミュニケーション能力も高まる、ICT教育の良い機会です」。
さらに、学校生活に変化をもたせ、生徒の関心を広げるため様々な「1DAYイベント」も実施する。文字通り、1日中テニスを楽しんだり、歴史探訪や自然観察に取り組む。多様な体験が、生徒の世界を拡げる。
さながら都会にある「山の分教場」
新キャンパス「青谷学舎」は今年11月に竣工予定。本学舎から徒歩数分ほどの距離で、神戸市バス「青谷」停留所からも近い。
校舎は鉄筋コンクリート2階建てだが、外観は桂離宮をイメージした和風のつくり。室内は天井や床に木をふんだんに用いて、落ち着いた雰囲気をかもし出す。廊下は教室並みに広く設計され、テーブルやパソコンコーナーも配置。生徒が自由に使えるオープンスペースとなる。小講堂や多目的実習室、図書コーナーなど設備も充実している。
校舎の背後には摩耶山の緑が広がり、教室の窓からは眼下に神戸港を一望できる。中庭は芝生を敷き詰め、昼休みに生徒たちが輪になってお弁当を広げることもできる。
「中庭から摩耶山に続いていますので、日常の授業に自然観察や登山を組み込むこともできます」。
同校は、都会でありながら自然に恵まれた「山の分教場」のよう。少人数で伸び伸びと過ごせる学習環境が用意されている。
小澤校長は「学習も体験活動も楽しみたいという、好奇心あふれる元気なお子さんを歓迎します」と語った。
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