園田学園中高は、梅田・三宮・伊丹から乗り換えなしで通学でき、阪急線・塚口駅から徒歩5分という至極便利な立地にある。周りは、静かで落ち着いた高級住宅街。この上ない学習環境だ。
高等学校は、運動部・文化部ともに強豪が多く、全国大会でもすばらしい戦績を誇る。特別進学・進学・総合の3コースがあり、特進コースでも、部活動と勉強の両立が可能になる体制をとっているのが特徴だ。その一例が「特別講座」。月〜金曜の7時間目は同講座の時間だが、部活動に参加する生徒のために、同内容の講座が午後7時から8時間目として設けられているのだ。
今回は、特別進学コース3年5組の漢文演習の授業を見学した。
問いかけに
生徒たちは進んで発言
チャイムが鳴り、生徒たちの挨拶で、漢文演習の授業が始まった。担当は、同組の担任でもある川ア由貴子先生。教室に、先生のよく通る大きな声が響く。今日の内容は「孔明臥竜」。まず、前回までに学んだ内容を復習するため、全員で漢文を音読する。そして、1文ずつ現代語訳を確認していく。川ア先生は時々、「孔明は自身のことをどのような人物だと考えていた?」「この場面の人物とは、誰のこと?」など、内容について、生徒に質問する。すると、指名されなくても生徒が自主的に答える。また「劉備が孔明の元を訪れた目的とは!」「そこで話した内容とは?」という質問には、ムードメーカー的な生徒が「結婚!」と答え、先生がすかさず「結婚の申し込み?この大変な時に男同士で?」と言うと、教室中に笑いが広がった。
今日、新しく学ぶ内容に入ると、川ア先生が範読し、生徒たちがそれに続く。そして、本文中の内容から生まれた故事成語や格言を板書して説明。これは、ただ語句を暗記するのではなく、ストーリーを使うと覚えやすいという川ア先生の考えによるものだ。説明の際も生徒への問いかけは続き、生徒は自身の意見をそれぞれに発言。全員が授業に参加しているという印象だ。雑駁なムードになりかけても、先生が手綱を締める感じで、授業はスムーズに進んでいく。 |
|
身近なものにたとえて
わかりやすく
今日の授業で学んだ内容の理解を深めてもらうため、川ア先生がプリントを配布した。「三国勢力図と主な登場人物」等が載っている。
ここで、先生は、クラスを魏・呉・蜀の3つの国にグループ分けした。そしてそれぞれのグループに「このクラスの中で、他の国を倒し、一番になるためにどんな手段を取りますか?」と疑問を投げかけた。生徒たちは様々な案を出し合い、魏のグループから「蜀と手を組んで呉を倒す」という意見が出た。そこで、先生が、孔明が蜀と呉が手を組んで魏を倒す作戦を考えたことを説明。「その戦いの名前を知っていますか」と聞くと「関ヶ原の戦い」という珍答も。ほかの生徒が「まず国が違う」とつっこみ、笑いが渦巻いた。ある生徒の「赤壁の戦い」という答えに、先生が「おっ!」。生徒たちから「すごい」と感嘆の声があがる。
そのあと、川ア先生は赤壁の戦いでの孔明の作戦を紹介し、生徒は三国志についての興味を募らせた。そして、「死せる孔明、生ける仲達を走らす」という格言で締めた。実に楽しい授業だった。
今春は、バドミントンで全国2位になった生徒が筑波大学に合格したほか、関学大、関大などにも合格者を輩出した。手厚くきめ細かい指導体制で成果を導き出す同校の今後に期待が高まる。
|
|