同高校の新入生対象のアンケートで、受験動機として多かったのは「進学実績」と「美しい校舎」だった。
築3年目の校舎は上品なブラウンを基調とし、落ち着いた雰囲気を醸しだしている。どの教室からも見える中庭には、枝垂れ桜や黄金メタセコイヤ・モミの木など種々の樹木が四季を彩り、「季節ごとに変化する庭景が目を楽しませてくれます」と高井秀樹副校長。
施設・設備も充実し、パソコンを自由に利用できるメディアセンター(図書室)、個別ブースを設けた自主学習用のルーム。トレーニングセンターは、最新の機器を揃える。国際試合にも公式使用できる広大な体育館なども用意されている。
7時限目の個別指導
今春、中等部は開校3年目を迎え、3年生までの全学年が揃った。
「新入生アンケートでは『先生も先輩も優しくて学校生活が楽しい』との声が目立ちます」。入試広報部の大西時政先生は目を細める。
同校では、各地から入学してきた新入生が1日も早くクラスになじめるように、入学式翌日から1泊2日のオリエンテーション合宿に出かける。行き先は近江八幡国民休暇村。生徒たちは化石のレプリカづくりや数々のゲームに熱中するうちに、自然に打ち解けるようになる。
「毎年、行きのバス内では緊張していますが、帰りはすっかり仲良くなって会話も弾みます」。さらに「教師と生徒も仲良くなれます」。
スムーズに学校生活に溶け込んだ生徒たちは、学力も順調に伸びる。
年2回、英検と漢検を実施。両検定とも3年終了時に3級合格が目標。第1期生である現3年生は、2年終了時で3名が英検3級を取得。8名が漢検3級以上を取得した。
また、週6日制により充分な授業時間を確保。主要5教科は、中学3年次から高校の学習内容に進む。数学では、6年一貫用の教科書を使用。じっくりと深く掘り下げて学べるように、カリキュラムされている。
学力の定着を図るために、週4回、6時限目終了後に小テストを実施。その結果に基いて、7時限目の個別指導により理解を徹底させている。
6年一貫教育のため、高校進学後も、外部中学からの入学生とは別クラス編成となる。高校2年進級時に理系・文系を選択。3年生から国公立や難関私大など志望に応じて、よりきめ細かな学習指導に入る。
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3年間で1500時間
外部中学からの高校入学生には、進路志望や適性に応じて、「国際」「国英」「数英」「総合」の4コースが用意されている。
「国際」は男女共学で、外国語系・文系大学をめざす。選択科目にはイタリア語・中国語・フランス語などの語学科目が充実している。指導はすべてネイティヴスピーカー。1年生の春休みには、16日間のニュージーランド海外研修を実施。ホームステイしながら現地の学校に通う。
「国英」は、昨年度に男女共学へ移行。今年度はさらに女子が増え、半数近くを占めるようになった。関関同立をはじめとする文系難関私大の現役合格を目標としている。
「数英」は男子のみのコース。国公立や関関同立、難関理系大学をめざす。そのために理系科目を徹底強化。
数学を指導している高井副校長は「深い内容まで踏み込むと、生徒は数学のおもしろみに気付き、また難度の高い入試問題に対応できる学力も身につけていきます」。
なお「国英」「数英」の両コースでは、補習時間が3年間で1500時間を超えるなど、難関大学への合格を確実にする指導体制が敷かれている。
「総合」も男子のみ。ゆとりある学校生活を楽しみながら、大学・専門学校・就職と多彩な進路にフレキシブルに対応できる。2年進級時に「数英」・「国英」への編入も可能。
また併設の阪南大学へは学校長の推薦があれば、希望者全員が進学できる。さらに、入学金も免除される。
幅広い人間教育
同校の通学エリアは、地元松原市を越えて大阪市・堺市・羽曳野市、遠く離れた東大阪市など広範囲にわたる。しかし、全生徒の半数以上が自転車で通学しているという。
「東大阪や堺からも1時間以上かけて通ってきます」。高井副校長は生徒のバイタリティを誇る。
クラブ活動にも熱心に取り組んでいる。人気はサッカー部。部員数は80名を超える。「部員数が多くとも、練習試合を多く組むなど、どの生徒も活躍できるようにしています」。
なお、どのクラブも勉学優先。学習がおろそかになっている生徒は、レギュラー選手でも試合に出場できない。クラブの先輩が後輩に伝える形で、この原則は守られている。
「勉強が充実しているから、クラブ活動も楽しんで続けられます」。
クラブ活動をしている生徒は成績も良く、退部もほとんどないという。
サッカー部や野球部は全国的な強豪ひしめく大阪府で、ベスト16に入る実力。バレーボール部やバスケットボール部も健闘している。
文科系では軽音楽部の活躍が目立つ。昨年度は「軽音楽の甲子園」と呼ばれる「We are Sneaker Ages」グランプリ大会へ出場を果たした。
スポーツ大会や芸術鑑賞などの行事も数多く組み込まれている。
高校2年の3月に出かける修学旅行では、毎年、超一流ホテルに宿泊。ホテル側が基本的に団体客を受け入れていないため、生徒は個人客として迎えられる。レストランでの夕食などは、自分で予約しなければならない。当然ながらマナーも問われる。
「一流ホテルでも堂々と振舞えるように、事前に時間をかけて指導しています」と高井副校長は胸を張る。
一人ひとりの志望進路に応じた指導体制と快適な学習環境。充実した学校生活が、幅広い人間教育をも提供している。
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