入試センターの成果が現れ、
大学合格実績アップ
神戸港や神戸の街を一望できる高台に位置する神戸龍谷中学校・高等学校の校訓は、「和顔愛語」(なごやかで人を包み込むような表情と優しい言葉)。教育の根本は、「心の教育」と「自ら学ぼうとする真の学力」。国際人としての力を高めることを目指している。
平成14年に男女共学化、17年に中学校を再開した同校では、様々な教育改革に積極的に取り組んできた。平成23年に校長に就任した岡田万里先生の発案で始まった数々のサポート体制も改革の一環である。例えば、入試センター。生徒全員の入試から学校の授業、模試の結果まで、すべての成績データを統合して一元管理し、それらを分析して各担任にフィードバック。担任は、学習状況や成績の変動を把握したうえで、的確な学習方法・進路等の指導を行うというものである。
「従来の進路指導は、水平的にその時点、その時点でのアドバイスをするという形でしたが、今では生徒一人ひとりの学業成績の推移や欠席数、現在の志望校までの流れを把握できるようになりました」と副校長・入試センター室長の中田孝司先生は語る。教頭・進路指導部長の森 功先生も「従来はどちらかというと安全策をとっていましたが、今は、過去のデータを見て、生徒の背中を押すことができます」。過去の成績を根拠として、頑張ればさらに上の大学を目指せると指導することが可能となったわけだ。すでに成果は現れ、昨年19名だった国公立大学の合格者は今春29名。飛躍的に伸びている。
しかも、同校の進路指導は大学受験にとどまらない。「将来の夢、目標を描き、それにどうやってはしごをかけていくか、それが進路指導と考えています」と中田先生は説く。高校の入学式の前日に生徒が集合する時からキャリア教育は始まり、自分の生き方、人生の展望について考えさせる。さらに、進路講演、大学見学など、多くのプログラムが用意されている。
多彩なコース展開
留学制度も充実
神戸龍谷中学校・高等学校では、昭和60年に他校に先駆けて英語コースが誕生。英語教育のパイオニア的存在だ。
現在の中学校のコースは、数学に重点をおく「特進コース」と、英語に力を入れる「英進グローバルコース」。中高一貫教育を行っており、両コースとも高2から理系・文系に分かれ、国公立大、難関私大を目指す。
高校のコースは4つ。クラブ活動と両立しつつ有名私大を目指す「進学GRコース」(女子のみ)、難関私大を目指す「特進文理コース」、国公立大を目指す「特進文理Sコース」、英語力と国際性を磨く「特進グローバルコース」で、進学GRコース以外は共学だ。
多彩なコース展開で、様々な学力レベルの生徒に対応しているのが同校の大きな特色で、指定校推薦、特別推薦、スポーツ推薦、AO入試を利用して進学する生徒も多い。
特筆すべきは、留学制度が整っていること。英進グローバル、特進グローバルコースでは、交換留学(長期留学、1年間)、セメスター留学(3〜6カ月)、短期留学(1カ月)の3つの留学制度があり、全員が1回は留学を経験する。交換留学の場合、試験に合格すると親善大使として留学し、その国の高校に入学する。自費留学の3分の1程度の費用ですみ、しかも留学中に取得した単位は、そのまま神戸龍谷の単位として認められるため、3年で卒業できる。
「交換留学制度がある学校は少なく、関西圏では、本校だけです」と中田先生。最近では、毎年30名ほどの生徒が交換留学生となっている。 |
自学自習できる
生徒を育てたい
さて、同校のサポート体制は、入試センター以外にも、勉強合宿、自習室、特別講習、龍谷ゼミ、eラーニングなど、多種に及んでいる。勉強合宿は、中学校では3学年全員参加で8月末に、高校では特進文理・特進文理Sコースを対象に8月初めに実施されるもの。自習室は、40人収容。予備室も用意されており、チューターが常駐している。特別講習は、さらなる学力向上を図るためのもので、放課後や長期休暇に開講されている。龍谷ゼミは、受験対策の課外講習で、約20講座が揃っている。昨年からeラーニングも導入しており、情報処理室や家庭で利用できる。
「これらはいずれも、自学自習の習慣をつけるためのものです」と森先生。学校挙げて、そのバックアップに努めている。例えば、龍谷ゼミの講師は外部に委託。担任は教室に在室し、いつでも生徒の質問や相談に応じる。
「生徒の中には、『先生のどなたか数学、教えてください』と言って職員室に来る生徒もいます」と森先生は笑顔で話してくれた。それほど、どの教員にも質問しやすいということだろう。森先生は「そこが一番本校らしいところだと思います」と続けた。放課後、質問に来る生徒が多いため、昨年、職員室前の廊下にカウンターを設置した。対応時にテキストや資料を置くためである。
万全な体制かつ、こまやかな配慮…。神戸龍谷で学んで良かったと実感する生徒が多いのも当然だろう。
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