「では5分間、問題を解いてください。はい、始め!」
藤原庸子先生のきびきびとした声が教室中に響く。この日は、中間テスト後初めての授業。先生は授業開始のチャイムと同時にプリントを配布した。25名の生徒は一斉に問題に向かう。
5分経過。「はい、やめて」。先生は教室正面のデジタルボードにプリントを映し出す。答え合わせだ。問題の要点を次々と解説していく。口調は実にリズミカル。
「授業中、積極的にテストを課しています。学んだことを反復させ、定着度を高めていく。そんな工夫です」
中間テストの内容を再度確認していくことで重要個所を定着させていく。そのための小テストから授業は始まった。
リズミカルに進む授業
50分とは思えない中身の濃さ
答え合わせが終わると、すぐに次のアイテムへ。「grandchild」「community service」。今度はデジタルボードに日本語が映し出される。フラッシュカード、単語の復習だ。「孫」「地域奉仕」……生徒は元気な声で和訳をしていく。
デジタルツールの特徴は、瞬時に作業を切り替えられる点にある。ボードの上部にはインタラクティブユニットという装置が取り付けられており、ボード上の動きを感知し、映像や音声を自動再生する。文章の一部にタッチすると、該当の英文や単語が瞬時に流れ、板書をデータとして保存することも可能だ。デジタルツールを駆使した授業では、黒板を消したり、教材を準備する“移行時間”は皆無と言っていい。
続いて、またプリントを配布する。単語の和訳である。「はい、3分でやってください」。タイマーを片手に指示を出す。スピードとの闘い。生徒は懸命にペンを走らせる。書き終えたら、すぐに隣の人とプリントを交換。自主的に答え合わせをしていく。
「ペアになるのは誰とでも活動できるようにするためです。制限タイムを設けることで時間感覚を養い、集中力を高めていきます」
この後も単語フラッシュカードで発音練習。二人一組になっての定着テストなど、短時間のアイテムが続く。次から次へと課題が出て気を抜くヒマがないというのが取材をしての実感だ。
「中学生が集中力を維持するのは10分が限度です。様々な手法を繰り出すことで飽きさせない工夫をしていく。特に英語は反復することで、身体にしっかり叩き込んでいくことが肝要です」 |
ネイティブスピーカーの英会話授業
スペリングノートで日々の積み重ねを重視
金蘭会では、通常の英語とは別に、ネイティブスピーカーによるオーラルイングリッシュの授業も実施している。こちらは十数人の少人数制。また、生徒全員が英単語の反復練習としてスペリングノートをつけており、その到達度は一覧表として校内に掲示。成果の“見える化”を図ることで意欲向上に一役買っている。他にも、校内行事として英語暗唱大会も行うなど、語学関連の行事も盛んだ。
「語学の習得は、様々な方法を日々積み重ねていくことが大事。ひとつの手法にこだわるよりも、いろいろな手法をバランス良く取り入れていくことだと思います」と藤原先生は強調する。
デジタルツールの導入で密度の高い授業を行い、生徒の集中力を途切れさせない授業は、これから語学教育のスタンダードになるかもしれないと実感した。
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