創立者の心を今に生きる
一昨年同校では、設立母体である幼きイエズス修道会創立者生誕200年と、大阪信愛女学院創立者婦天100年を記念して種々の記念行事や式典が行われた。
この諸行事に引き続き、創設120周年を迎える今年度は、「創立者の心を今に生きる」というテーマのもと、ハード・ソフト両面の改革が行われ、より充実した学校づくりへと前進している。
理事長でもある縄田、子学校長は、『創立者の心』について次のように話す。
「創立者の心とは、人間すべてに対する深い愛情を持ち、優れた女性を育てることによって、社会と人の幸せを願う、というものです。もし、創立者が現代におられたなら、どのようにお考えになり、どのようなことを実行されるだろうか、と考えをめぐらせながら、より積極的に創立者の心を実践に移そう、120周年を機に新たに出発しようと考えて、テーマを決めました」。
大阪信愛女学院は、広大な敷地内に幼稚園から短期大学まであり、それぞれにサブテーマを掲げ、実践目標としている。
中学校は「5つの心の実現」であり、「祈る心」「学ぶ心」「奉仕する心」「和する心」「賛美する心」という教育目標をさらに実現していく。高等学校のサブテーマは「優しい心をみんなの中に」。生活における争い事は「優しい心」の欠如から来るものであり、相手の身になって考えられる優しい心を持つことで、解決できる。生活の中に、言葉の中に、「優しい心」をこめることを日々の目標にしている。
新聖堂が完成
キリストの教えにならい、聖母マリアを範として女子教育にあたっている同校にとって、聖堂はなくてはならないものである。今春、120周年記念として新しい聖堂が完成し、ハード面においてすばらしい再スタートがきれることになった。
新聖堂は、建築面積656,7u、26.2mのカリヨンタワーがシンボリックな重厚な建物である。外壁はれんが造りで、水が流れる回廊に沿ってエントランスに入る。回廊にはマリア像が立ち、聖堂の周囲には、聖書に出てくる木々や草花が植えられている。
2階の展示スペースは、光に満ちたステンドグラスが美しく、水と風と光が響き合い、静かに神と語り合うことのできる憩いと安らぎの場所となっている。
「2階には故大阪大司教区司祭・元本学院短気大学教授の前田朴神父より寄贈された多くのマリア像を展示しています。これらを見て、旅行などに行って素敵なマリア像を見つけたから、と寄贈してくださる保護者もあります」と縄田学校長はほほえむ。
朝8時、正午、夕方6時の1日3回、カリヨンタワーからは「アヴェマリア」の鐘の音が響き、「心が癒される」と地域の人々にも親しまれている。 |
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ソフト面の改革
同校では「ソフト面での絶えざる研究点改良が欠かせない」と、これまでにも教育改革を行ってきた。それらの努力により、昨年は国公立大学に13名、関関同立に130名が合格した。120周年を機にさらに充実させようと、来年度よりいくつかの改革を実施する。
まずは中学、高校共に進路によってコース制を敷いているが、「総合コース」を1類、「文理コース」を2類と名称を改める。2類は国公立や難関私立大学をめざすコースである。1類は広く4年生大学から専門学校までを目指す。1類・2類ともに高校2年次で文系・理系に分かれる。
そして、新カリキュラムを導入するが、その授業時間数は、中学校で34時間、高等学校で35〜37時間と3〜5時間増える。そのため現在の週5日・2期制を変更し、週6日・3学期制にする。
「週6日制の実施については、保護者にもアンケートを取り、意見をお聞きしながら決め、説明会も開催しました。生徒たちも今は講座などで土曜日はよく登校しているため、抵抗はほとんどないようです」と松尾誠教頭は話す。
この他、入試制度も変更し、従来中学は4教科型だったが、2教科型を導入し、高校では5教科型だったものに3教科型を加え、選択制にした。
また、カリキュラムばかりではなく、教員たちの自己点検も常に行い、「建学の精神に基づいて教育ができているか。どのような点を改良しなければならないか」を明確にする目的で5年前より点検表を導入している。
「変わるべきものと、変わってはいけないものを見極め、変わるべきものは停滞することなく変革していく。それが『創立者の心を今に生きる』ことなのです」と縄田学校長は静かに語った。
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