「皆で一緒に行こう」が合言葉。
オープンキャンパスへ、そして大学受験も
入学して約2ヵ月、京都大学農学部食料環境経済学科の今村祐里さんと大阪大学経済学部の橋緑さんは、今の心境を「友達がすぐにできるのだろうかと不安でしたが、自然と気の合う仲間ができて大学生活を楽しんでいます」と晴れやかな表情で口を揃える。中高一貫教育を受け、長い歳月をかけ育んだ友情のかけがえのなさを知るがゆえ、友達づくりに慎重なところがあったようだ。謙虚で可愛らしい雰囲気の彼女たちに本校生の気質を垣間見るようだ。
オープンキャンパスは受験大学を絞る上で大きな手掛かりとなるが、橋さんは行くなら皆で楽しくと、京大・阪大・神大・市大等、家から通学できるエリアの大学に友達と繰り出した。
「オープンキャンパスや学祭は大学の雰囲気を肌で感じられます。実際、京大で学ぶ自分の姿はイメージできなかったですが、阪大は、とにかく“楽しい!”と感じました」と振り返る。
一方、今村さんは同じクラスの仲間と共に受験することで、不安な気持ちを和らげた。入学当日は志願者全員が揃って京大の受験会場に向かったという。橋さんも今村さんの言葉に頷き、「受験の不安を打ち消すために、学校から与えられた課題を夢中でこなしていた気がします」と、現役合格した2人にも、当時のプレッシャーが相当なものだったことをうかがわせる。
一人だったら乗り越えられなかったかもしれない受験というハードルを、団体戦で挑戦する、この素晴らしさが本校の進学校としての躍進を支えているのかもしれない。
入学の動機、課題、行事、クラブ活動に
6年間の学校生活
だから今があると思える
2人の中学受験は、実は本校が第一志望ではなかった。橋さんは学校説明会に参加した母親が強く後押ししてくれたこと、自宅からの交通の至便さが決め手となった。また、今村さんは通っていた個人塾の先生の進路指導により、本校は4教科を受験するが、理・社のうち得意な教科を有利に評価するシステムを取っていることを知り、受験を決めた。また、2次試験の出願者で、受験しなかった場合は受験料が返還されるというのも魅力だったと笑う。
しかし、本校の教科指導の徹底ぶりを実感するのは入学してからのこと。
「とにかく課題が多かったですが、中学ではこれくらいが平均的と思っていました。でも、大学の友人に話を聞くにつけ、ダントツに多かったことが判った!」と橋さん。今村さんも「夏休みの宿題を溜めていて、最終日に朝の4時までかけて仕上げた思い出があります」と苦いエピソードを語った。しかし、授業の分かりやすさ、個人の目標に合わせたきめ細かな指導のお陰で克服でき、同時に達成感も味わったそうだ。
また、本校の教育の柱として導入されている行事の多さも特徴的だ。中学では3ヵ月に2回の頻度で、教科の指導とも結びついた行事が催されている。 |
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「中学生活での一番の思い出は、中3の卒業行事の夜間歩行です。途中で食べたお母さん方手作りの豚汁の美味しさは忘れられない」と橋さん。夜間歩行は、夕方から翌朝まで一晩かけて卒業生全員がしまなみ海道(約43キロ)を歩くという一大イベントだ。
さらに、クラブ活動にも熱心に取り組んでいた。今村さんはソフトテニス部で後衛を担当。試合が上手く運ばなかったときは悩みもしたが、引っ込み思案な性格が改善されたという。橋さんはクラシック音楽部の金管パートのリーダーを務め、後輩からは「勉強もできる憧れの先輩」と慕われていたと聞く。
本校の教育目標は徹底した人間力の養成にある。自分の限界に挑戦して、新たな自己発見、自己確立を目指す教育だ。
「開明の6年間は忙しくて時に弱音をはきそうになったけれど、それをこなせるようにもなるし、経験は確実に身に付くという自信にもなった」という今村さんの言葉に、本校の教育指導の成果が集約されている。
母校で芽生えた夢を大学で育み、
仕事へと開花させたい
動物好きで、生物の研究に関心を持つ今村さんだが、大学で目標を明確にしたいと抱負を語る。一方、クラブ活動で広報業務を経験した橋さんは、将来は広告宣伝の仕事に就くことを考え、資格を取得したいと積極的だ。そんな2人の話を傍らで聞く入試広報部長・海原直之先生は、「入社テストでは、入社動機だけでなく5年後、10年後の長期ビジョンまで問われる。難関大卒の肩書に頼る就職活動ではなく、また大企業にこだわらず、自分の望む専門職につける企業選びが大切になります」と、一般企業での職業人経験を持つ先輩としてアドバイスをした。
本校も100年の伝統を未来へと繋ぐ挑戦が始まっている。そして、新校舎もまさに未来への夢が詰まった建物に変身を遂げようとしている。建設コンセプトは「100年もつエコ建築」。ライトブラウンを基調としたモダンな外観に、シンボルツリー、正門レリーフ、校訓の石碑などもキャンパスに受け継がれ、伝統と進取の気風が表現された学び舎が完成する予定だ。
「来年、創立100周年を機に、新しい教育環境のもとで国公立大学への進学実績のグレードをもう一段階上げたい。それには教職員のモチベーションも今以上に高めなければいけない」と希望に満ちた学校像が語られた。
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