来年度より、学習内容に「超」特化した
「特選クラス」を設置
かつてないスピードで変化し、先行きが予測できない現代社会。こうした社会状況だからこそ本校では、教育理念を単にスローガンで終わらせず、学習・生活・HR・行事・クラブ活動など、すべての教育活動の基軸に据え、教育理念に基づく人間形成教育に努めている。そして来年度から新たに、コースやプログラムに“新しい学びのカタチ”を導入する。
中高一貫教育を基盤におく学校改革は、まず入り口である中学に焦点が当てられた。従来の国公立・難関私立大学現役合格を目指す「特進アカデミックコース」のなかに、来年度は難関国公立大学現役合格を目指す「特選クラス」を新設し、先進的な学習指導にあたる。6年間の「合格ストーリー」が下敷きとなったシラバスは、中高課程の学習内容は5年で終了。高3時には徹底した大学受験対策が行われる。
高校課程には難関国公立大学への進学を目指す生徒に向けたプログラム「TOKKERS(トッカーズ)」が用意されているが、「特選クラス」は中学から「TOKKERS Jr.(トッカーズ・ジュニア)」として、放課後を使った特別なプログラムに取り組む。
「特選クラス」の設置について、入試委員長の住谷 研先生はこう語る。
「難度の高い学習内容に特化するだけでなく、実践的な英会話学習や表現講座を通じて、国際社会で通用する世界水準のコミュニケーション力を培うのが大きな特色です。中学課程の修了時には、卒業論文を書いてもらうことを検討しています」。
主体的に考え発信する
アウトプット能力を強化
日本人の美徳としてかつては評価されていた「謙虚さ」は、国際化が進む社会においては「消極的」と映り、短所ともなる。時代の価値観が変貌を遂げるなか、中高すべてのコースに、アウトプット能力(自己を表現するスキル)を養う講座を展開する。今までの科目別学習とは異なる新しい取り組みだ。
その代表的な授業が「表現講座」。自分の考えをしっかり伝える、発表する、ディスカッションする能力を養う。それには、まず知識の蓄積や体験(インプット)を通して主体的に考える力が必要となる。社会的な視野を広げるために、中学では朝日新聞の中学生版を教材として、毎週読む時間を設けたり、読書や体験を通して幅広い教養と思考力を身につける学習プログラムを展開。その取り組みは、高校の選抜コース(「TOKKERS CLUB(トッカーズ・クラブ)」)やT類・U類のコースで、知識と考察力、表現力を結びつけ、通常授業の枠を超えた多彩な内容の学びにつなげていく。
「生徒一人ひとりの目標に合った学習環境で、インプット学習とアウトプット学習を両輪に、自己表現のスキルを磨いてほしい」と谷川中学入試広報部長。学院全生徒に期待をかける。
英語力とコミュニケーション力で
国際感覚を養う
英語力と国際感覚を養うことに力を注いできた本校は、これまでも、少人数制の英会話学習、ベルリッツとの提携講座、イングリッシュキャンプ、中3のニュージーランド修学旅行でのファームステイ、高1・高2のオーストラリア夏期語学研修(希望制)などのプログラムを実践してきた。
来年度からはフィールドをさらに広げる方針だ。同じ敷地内にある追手門学院大学の留学生とフリーカンバセーションを楽しむイングリッシュルームを設置。また、今年から韓国の英語村への研修も先鞭をつけたという。
学院としては、昨年度、上海師範大学第二外国語学校と教育交流提携を結ぶなど、本校のキャンパスは益々海外の学びの場と繋がっていく。多様な価値観を受け入れながら、自信をもって自己表現できる国際人の輩出に期待が膨らむ。 |
学校評価を分析し
生徒と保護者の信頼に応える
本校は4年前から学校評価アンケートを実施し、公表している。アンケート対象は中高全生徒、全保護者だ。満足度は全体的に高く、結果が教育目標に反映されるので、さらに満足度が上がるのだ。一例を挙げると、以前、クラブの数やクラブ活動の練習時間が十分でないことが指摘された。その結果を踏まえ、運動系のクラブを増やし、クラブ活動の時間も見直し、練習時間を確保。また、高校のU類に「スポーツコース」を新設し、日本のトップレベル・トップリーグで活躍してきたコーチングスタッフが指導にあたるようにした。このような素早い取り組みを行うことで、クラブ活動に対する満足度も年々向上してきているという。
また、教育分野のシンクタンクに委託した学校評価分析でも、「保護者が薦める学校」という項目で高い評価を得たという。
「教育に対する教師の熱心さ、友達関係の良さなどが評価され、『安心して子どもを任せられる学校』と支持されたと思う」と住谷入試委員長は話す。
「教師力向上」も学校の重要なテーマとして掲げられ、研修制度、教員評価制度、学校評価を連携機能させた、学院の三位一体の教育改革が行われている。教員評価制度は、教科力・担任力の向上・育成を目指し、毎年新年度に一人一人が学校目標に沿った教育目標を作成し、教育活動シートに具体的な数値目標を設定。さらに目標に対してどんなアクションを起こすかを明文化する。期首・期中・期末の3回にわたってチェックし評価されることになるが、あくまで教員育成の観点で評価は行われている。
「教育力は教師力。生徒の学力、人間力を高めるには、教師自身のレベルを上げないといけない。それが学校の文化を向上させることになります」と住谷入試委員長は明るい表情で締めくくった。新しい時代に向かい学院がどんな文化を紡ぐのか、とても楽しみだ。
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