スプリットで英語に親しむ
当日は中2生のスプリット授業を見学した。1クラスを半分に分けての授業だ。その一つ、青木奈津子先生の授業は視聴覚室で行われていた。授業はお祈りから始まる。「グッドモーニング ガールズ」「グッドモーニング ミズ青木 アイムファイン エンドユウ」。英語での挨拶だ。
導入部分では快活な「ヤンキー・ドゥ・ドゥル(アルプス一万尺の歌)」を英語で歌う。まず歌詞だけを読み、その後音楽に合わせて歌う。気持ちが和らいだところで復習。『How+形/副+疑問文』の文章構造を青木先生は説明する。次々と例文を上げ、生徒全員に質問をしていく。「東京タワーの高さは?」「琵琶湖の水深は?」など。いつあてられるか、生徒は緊張感のなかで集中する。
その後が楽しい。ゲーム感覚の授業だが設定はこうだ。ある先生の赤ちゃんが誘拐され、それを3人の救世主が助けにいくというもの。生徒たちは6人1チームになり、その3人を応援する。黒板には救世主の写真が掲示されていて、チームごとにそれぞれの写真を選ぶ。「私は林先生、私はシスター」と元気な声と笑い声が飛び交う。どうやら、その人物は同校の先生のようだ。ルールは、Howを使ってチーム内で一人一人が質問・解答を繰り返す。同じ質問は×。全員クリアすると手をあげるが、それも時間との戦いだ。一番早く手をあげたチームが赤ちゃんに近づくことができる。
3回ほど繰り返すと優勝チームが決定した。「やったぁ」と緊張感から解放された声が教室中に響きわたった。英語を自然と修得していくという考えられた授業だ。
シャワーのごとく降り注ぐ
もう一クラスの山元翠先生の授業は普通教室で行われていた。内容は同じだが雰囲気が違う。山元先生はフラッシュカードを取り出し、英単語の勉強に入っていた。カードをめくる早さはスピーディーだ。英訳・和訳と交互に進め、体で覚えさせる。まるでシャワーのごとく単語が降り注ぐ。「発音には注意をしてね!」と山元先生。生徒はそのテンポが心地いいのか、リズムよく大きな声で答えている。
英語を身近に感じさせてから、教科書に入るという流れのようだ。教科書は「プログレス21」という難易度の高いものだけに、導入部分の役割は大きいといえる。
授業は新しい単元にはいるが、すぐには教科書を使わない。それに沿ったプリントで授業を進める。新たに出てくる文法の確認だ。その後、教科書を通じて、読み・書き・聴き・訳すと続く。豊富な授業内容に時間の経過を忘れるほどだった。
同校では賢明ファミリーという表現がいろいろなシーンで使われているという。それほど、先生と生徒の距離は近い。山元先生と青木先生は本校の卒業生だと聞いた。このアットホーム感が納得できた取材だった。
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