中学、高校ともに
関西大との連携強化
6月9日、リーガロイヤルホテル堺で開催された浪速中学校高等学校の塾対象学校説明会には、例年を上回る415人の塾長らが参加、同校に対する注目の高さを示した。というのも、同日に調印式が行われた関西大学との連携協力締結により、中学校に「関大コース」が新設されることになったからだ。これに伴い、来春より中学校名を「関西大学連携浪速中学校」と改称し、浪速の校歴に新たな1ページが追加されることとなった。
「関大コース」(35人2クラス)は、6年一貫コースで高校からの外部募集は行わず、関西大学への進学が原則保証される。ただし、中3進級時に本人の希望と成績状況により、従来の「特進コース」(35人2クラス)へのコース変更の余地も残している。さらに、高2進級時に再度、進路確認が行われるが、コースを変更する生徒はごく若干名と見られる。
これは同コースの学力レベルを一定水準以上に保持するための措置である一方、国公立大等への進路希望の変更を妨げないためのもの。そのため、「関大コース」では、センター受験が可能なカリキュラムが組まれ、総合的バランスのとれた教科学習が行われる。
一般に関西大学各学部の一般入試での合格平均偏差値は、おおむね「60」だが、同校の岡田成二入試広報室長は「関大コース」の合格ラインの目安を五ツ木・駸々堂の模試で国、算、理、社がそれぞれ「50」程度と予想している。「これまでも6年間で『10』程度は伸ばしていますから、(関西大学への入学者として)十分な学力をつけられると思う」と、一貫教育の成果に自信を見せている。
高校では関西大学との連携強化により、「高大接続パイロット校推薦入学制度」を導入。これは生徒の適性に応じ、同大学各学部より与えられた事前学習課題に取り組み、その結果、一定の基準に達した生徒の推薦入学を許可する制度だ。これまでの指定校推薦制度に比べ、生徒の希望する進路に適った学部合格が高校在学中に決まり、大学側も学生本人と学びたい分野のミスマッチを防げるというメリットがある。
関西大学は千里山キャンパス以外に、2010年4月には高槻ミューズキャンパスを新設し、社会安全学部を設置(認可申請中)するほか、堺市内に新キャンパス設置も決めるなどマンモス大学への布石を打ち続けている。地元関西圏の学生を多く抱える大学だけに、同校との連携強化は特に大阪南部地域での注目を集めている。
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週末合宿のスケジュール
目白押し
金剛山の麓、千早赤阪村に郊外宿泊学習施設「多聞尚学館」(120名収容)を開設したのは、実に多彩な目的からである。そもそも村立の小学校だった校地と施設を同校が購入、宿泊学習施設として改装したもので、教室、体育館、調理室、浴場、保健室、ホールなどが完備されている。学習合宿はもちろん、クラブの強化合宿、金剛登山のベースキャンプ、中学生のフィールド体験や教職員やPTAの研修まで幅広い活用を見込んでいる。
すでに3月から週末を利用した2泊3日の特別学習合宿、通称「週スペ」に毎週のように利用されている。たとえば4月の利用例では、高1を対象に中学時代の苦手科目の克服合宿を実施した。夏期休暇中には難関私立大学文系を一般入試で突破するための「トップインテンシブセミナー」が3泊〜4泊の日程で組まれるなど利用スケジュールは過密だ。
合宿で授業を担当するのは同校教員で、参加希望者はチャーターされたバスで現地に向かい、食事代、寝具リース料、バス代の実費を負担するだけで負担が少なくてすむことから、今後、多くの利用者が見込まれそう。
「週スぺ」のほか、高校での新たな取り組みとして、通常授業から独立した特別授業「土曜講座」(100分2コマ)にも取り組んでいく。各講座は1回で完結する、教科単元ごとまたはテーマごとに的を絞った授業が特徴。全員参加制だが、どの講座を選択するかはコースにもよるが、原則的には生徒の希望による。高1では数、国、英と体育、芸術があり、高2からは理科、高3からは社会の講座も追加される。
さらに、放課後の課外講座として「実力アップ講座」も昨年4月から開講されている。大手予備校のDVD教材等をもとに、同校教員が各講座を担当、「理数科」は週4日、「T類」は週3日、「U類」「V類」は希望制により受講している。岡田入試広報室長によると、今後は予備校講師による授業も取り入れる用意があるという。
2005年の共学化から一気に加速した改革は、ここにきて関西大学との連携強化や新たな取組みの数々によってとどまることなく継続している。そうした動きに対し、「これまで本校に受験生を送っていなかった地域の学習塾から問い合わせが寄せられたり、通塾生の保護者向けの説明会に来てもらえないかといった声をいただいている」と反響の大きさを受けとめる岡田入試広報室長。今後も注目を集める学校の一つだろう。
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