京都の景観にマッチした新校舎
去る12月16日、ブラスバンド部の華やかなファンファーレとともにテープカットが行
われた同校の新校舎は、府内随一の豪華さを誇る。外観は、国宝の東寺の敷地内にあるため景観に合うように礎石、瓦を使ったデザインで、壁のタイルは東寺の壁と似せるための特注品である。
ホテルのような高級感あふれるエントランス、廊下は従来の1.5倍の広さがあり、教室も大きく作った。地下は従来の3倍の広さの食堂、2〜3階は図書館、4階には教室と庭園がある。中庭はウッドデッキ、地下も光庭があり、たっぷり自然光が入るように設計されている。
仏教がベースにあることから、弘法大師の少年の頃の像が新校舎を見守る位置に作られ、庭には菩提樹、沙羅双樹が植樹され、エントランスや校舎内にも曼陀羅をデザインしたアート、蓮の花・飛天の絵などが飾られて厳かな雰囲気をかもし出している。
「場所柄新しい建物をつくることに関しては様々な制約があり、いくつもの許可をとらなければなりませんでした。地域の2500世帯を対象に説明会を開いたり、特に東寺と外観を合わせなければならない点は大変で、鎌倉時代のものに似せるようにうまくデザインしていただきました。無事完成し、入試は新校舎で実施できることになり、喜んでおります」と柴垣弘巖校長は話す。
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宗教を通して「心の教育」を
「立派な校舎に見合うような中身をつくっていかなければ」と柴垣校長は謙遜するが、同校は約600人中400人余りが国公立大学へ進学し、クラブ活動も全国大会出場を果たすなど文武ともにトップレベルにある有名校である。その秘密は、「宗教教育に基づいた生活指導」だと柴垣校長はきっぱり言う。
「単に厳しく指導するだけでは、トップにはいけない。そこには、宗教を要とした心の教育が必要なのです。生徒には身装を端正にし、礼儀作法とけじめを身につけ、温かい心と自立心を持たせるように指導しています。学習はそれらができてくると必ずついてくるのです」。
同校では毎週1回宗教の授業、毎月21日には宗教行事があり、校長が法話を行い、「親の成長なくして、生徒の成長はない」と年5回の保護者会でも話す。最近の法話では、挨拶の大切さについて語っている。
「キリスト教の国の信条の第一は『愛』、儒教の国は『親孝行』というように国によって信条が異なりますが、日本人の信条の第1は、『和』です。阪神タイガースの星野監督が母親の死を誰にも言わず、葬儀にも出ずに試合に臨んでいたことをほめたたえる人が多かったことが、それを示しています。今後も日本は和をはかり、全体で生きていくしかなく、その第一歩は挨拶なのです。本校の部活動でも強いクラブは、必ず全員挨拶をしますし、そうでないクラブは挨拶ができていません」。挨拶は教師が指導することで、生徒はできるようになると考える。
「最近は教師から頻繁に挨拶することで生徒がするようになる、と言われる学校もありますが、私は礼節を持った師弟の関係を良しと考えています。けじめある学校らしい学校づくりを今後もすすめて行くつもりです」。柴垣校長は有名校ならではの重みある言葉で締めくくった。
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