「国際社会で仕事をしたい」「スポーツ選手になりたい」「社会に貢献できる福祉の仕事に就きたい」等々、此花学院高等学校では、生徒一人ひとりの夢を育てる5つのコースを用意している。
「各コースに校長がいると考えてください」。平井周校長が言うように、どのコースも経験豊かなコース長のもと、独自のカリキュラムで指導し効果を上げている。
ハードなカリキュラムの「特進コース」
「中学校では普通の成績だった生徒を、国公立大学、早慶、関関同立など有名大学に現役合格させます」と言い切る。
従って受験指導は徹底している。週35時間の授業のほかに、毎朝8時から30分間の0時限目、終業後も平日は夕方6時までの90分間特別授業を設定している。進路目標に応じて、「センター試験の各科対策」や「大学入試問題演習」など、入試に直結した指導が重ねられている。
入学当初はハードなカリキュラムに戸惑う生徒も、夏期進学合宿(5泊6日)などを通じてモチベーションを高め、目標実現のために自分のペースで学習を進めていくようになる。
進路を見出す「標準コース」(旧「文理コース」)
生徒一人ひとりの個性に応じて、進路を大学進学・専門学校・就職など自由に選択できるコース。
進路に迷う生徒には、自分の生き方や可能性を見出せるように親身になって指導に当たる。
大学進学を目指す生徒は、1年生の段階から希望により放課後補習(英語・国語)を受講することができる。2年生からは進学クラスが新たに編成され、文系・理系別に放課後特別授業を導入。大学進学を確実なものとしている。さらに、指定校推薦制度を利用して、クラブ活動と大学進学を両立させることも可能だ。
また同校においては、入学後のコース変更が認められているため、審査をパスすると標準コースから、特進コース、スポーツコースなどへ移ることもできる。もちろん、他コースから標準コースへの変更も認められている。
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異文化に挑む「長期留学コース」(旧「IFC《国際・留学》コース」)
2年次に実施される長期留学は、語学研修にとどまらない。異文化の中に身を置き、自分の考え方や生活態度を見つめ直す研鑽の場としても位置付けられている。そのため、留学先には日本人の少ない学校が選ばれる。
現在の留学先はカナダやニュージーランドの提携19校。平井校長自らが現地に赴き、趣旨に共鳴してくれる学校を選出。生徒は2〜3人単位に分かれて各校に留学する。慣れない環境と乏しい語学力。生徒たちが遭遇する困難は想像を超える。
それゆえ1年後に帰国した生徒たちは、大きな自信を得て驚くほどに成長している。他者を尊重しつつ自分の考えを主張する。授業中も積極的に発言し、「時には教師も対応できないほど質問攻めにされます」と、平井校長は目を細める。
英語力も格段の進歩を遂げる。帰国後、外国人教師による授業では、海外の情勢などについて英語で語り合える。また英検準1級合格のほか、TOEFL・TOEICなどのテストでも好成績を収めている。
コミュニケーションの心とスキルを磨く「国際・福祉コース」(旧「IFW《国際教養》コース」)
ボランティア体験学習を取り入れて、「他人を思いやる心」や「公共のために尽くす心」を育成するコース。
体験学習の一環として、土曜日に学内で「ふれあい喫茶」をオープン。来店してくれた地域のお年寄りや子どもたちに飲み物と茶菓子を提供し、共に語らいのひとときを過ごす。
その他、幼稚園・保育所を定期的に訪問する実習もある。老人ホームではなく幼稚園や保育所を選ぶ理由を、平井校長は「小さな子どもはお年寄りと違って、生徒に気を遣って話しかけてくれるようなことはありませんから、真に交流を深めるためには相手の心に届く思いやりが求められます」と説明する。
さらに、社会貢献やビジネスに必要とされる実践的な英語能力も養う。ECC外語学院と提携し、口頭練習とTOEIC対策の時間を設けている。
卒業後の進路は国際関係・福祉系を中心とした文系大学への進学をめざす。
総合的に学べる「スポーツコース」(旧「IFSコース」)
スポーツの技能や技術を高め、体育系大学や文系大学などへのスポーツ進学を目指す。
同校は以前から、優れたスポーツ選手が数多く集まる。クラブ活動においても、ハンドボール・バドミントン・ダイビングなど多くの部活動で、全国大会レベルの見事な成績を収めている。
しかし平井校長は、生徒たちに「さらに可能性を広げてほしい」と願う。そのため授業カリキュラムには、水泳・スキー・スキューバダイビング・乗馬・小型船舶操縦など、幅広い種目と講座が用意されている。また、SAJスキー検定・PADIスキューバライセンスなど、関連して取得できる資格も多い。
「選手として活躍するだけでなく、各種スポーツ部門における専門知識と技術を習得し、将来は生涯スポーツの牽引役になってもらいたい」。
同コースでは、日本のスポーツをリードする人材を育成しようとしている。
全コースに共通しているのは「個性」と「こころ」を大切にすること。
平井校長は「生徒それぞれの進路は異なっていても、社会の中を自分らしく確かな足取りで歩める心を育てたい」と語る。
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