スーパー理進コースを新設して
中学のコース別入試を2008年度実施
これまで開智中学はコース分けをせずに一斉指導を行いながら生徒の学力を引き上げるきめ細かい指導で大学合格実績を積み上げてきた。
その中学が2008年度から2つのコースを開設する。名称はスーパー理進コースと特進コース。
スーパー理進コースは6年一貫で、東大・京大・阪大の理系学部および国公立大学の医学部・医学科への進学を目指す。国公立難関理系に狙いを定めた学習カリキュラムを組み、中4からは理数系科目の授業時間を増やし、現在は1日6時限授業のところを、週3日は7時限授業とする。
特進コースは今までの開智中学のクラスを引き継ぐコースで、国公立大学や難関私立大学を目指す。理系文系分けを中5時点で行い、従来は中4で分けていたものを生徒の適性を十分に見極めながら指導して実績につなげる改革だ。途中、義務教育課程の中2・中3でも本人の適性成績を踏まえ、コース入れ替えを指導し、中4の時点では、特に特進コース上位者で理系進学を強く希望する数名については、スーパー理進コースへの転入を認める予定だ。
コース分けに踏み切る理由を「私学に求められる、社会に有為な人材育成の多様なニーズの変化に、より適切に対応していくためのものです」と土井和正法人本部長は語る。和歌山で進学実績の高い他の私学では、すでにコース分け入試が実施されている。国公立大学、医学部を目指すといった明確な目的を持った保護者からみるとコース分けがなく、習熟度による区別のない指導法は時として不安材料と思われることもあったようだ。
さらに今年は、県立中学の5校目が新たに開校する。少子化の中で県立中学が増えれば優秀な生徒が県立志向になることも考えられる。中学受験で着実に生徒の能力を伸ばし、それぞれの進路を実現させている開智を選んでもらい、一層の実績をあげるためにコース化に踏み切ったのだ。
もちろん、ただ分けるだけではない。
開智中学入試の合格ボーダーラインは駸々堂テストで偏差値51とされ、中間層の生徒が入学しやすい学校と言われている。しかし、国公立大学等の合格者は去年が148名、今年は卒業生が50人減少したにもかかわらず128名の実績がでている。こうした実績は中間層の生徒の能力を伸ばし、高め、それぞれの可能性をいかに引き出すかを常に考え続け、的確な進路指導ときめ細かなサポートによる結果であり、このノウハウと教師の活力が、「コース制の導入でさらに成果を出せるはず」、というゆるぎない自信になっている。スーパー理進コースは1クラス男女約30名の募集、特進コースは3クラス男女約130名の募集を予定している。
高校も2008年からカリキュラム変更及びST類の新設
高校の募集定員は2007年からT類U類各2クラスの160名になっている。総定員が決まっているので、中学入学者が増えれば高校の募集を減らさなければならない状況だ。T類は国公立大学志望コース、U類は難関私立大学志望コースであるが、U類からでも総合力をつけて国公立大学への合格をめざせるよう、2007年からカリキュラムを変更している。高2で文系・理系にコース分けするが理系2クラス、文系2クラスになると予想している。2008年度入学者は、高2の時点で習熟度を加味したクラス編成に変わる。同時に、東大・京大・阪大の理系学部や国公立大学の医学部・医学科を目標にしたST類を設けて、上位大学をめざす生徒をさらに伸ばす方針だ。
すでに京大、阪大へは現役合格者が出ているが、より上をめざすため、今年はじめて高2生を対象に「東大へ行こうプロジェクト」を設置した。全統記述模試70以上の希望者10名をこの夏に2泊3日で東大のオープンキャンパスに連れて行き、東大の魅力を知ってもらう。あわせて特別講習も用意している。生徒だけではなく教師も徹底した研修を受けて東大の過去問題を分析し、生徒の能力を最大限伸ばす努力を怠らない。
国公立大学をめざす方針を鮮明にした背景には、大阪での府立高校の学区統合で、私学一本より遠くの公立高校に行こうとする機運があり、この春大阪府からの専願者率が下がった現実がある。「変化にあわせてはっきりした教育目標やシステムを打ち出すことが、私学に求められている」と土井和正法人本部長は分析する。昔はコースを細分化した時期もあったが、これからはわかりやすくシンプルにしてゆく。私学に預けることによる経済的負担はあっても、それを上回るメリット、すなわち適切な指導で国公立大学へ進学できればという思いを反映させている。
一方、私学に生徒を通わせる保護者の中には、関関同立など難関私立大学へ子どもを進学させたいと望む気持ちもある。まじめに学校の試験でこつこつ勉強するタイプの生徒には、学校指定校推薦で難関大学に進むルートが多く用意されていて希望がかなえられることも、開智への満足度を高めている要因だろう。 |
アクセスの良さと恵まれた環境が
学校生活をバックアップする
JR阪和線の快速停車駅「六十谷」から徒歩5分というアクセスの良さは、和歌山市に在りながら大阪・天王寺からでも1時間ちょっとで通えるほど利便性が高い。堺以南は完全に通学圏で、実際に生徒の約4割は大阪府下から通っている。
特筆すべきことはアクセスばかりではない。学校施設の充実ぶりもすばらしい。「生徒が来たくなる、ずっといたくなる」学校を目指して、1万2千坪の緑ゆたかな敷地に中3までの義務教育課程と高校課程(中4〜6、高1〜3)は別々の施設を持っている。校舎はもちろんのこと、体育館、ホール、職員室も別にある。学校行事や生徒会活動も分かれているので中学生、高校生それぞれが活躍する場も確保されている。
勉強一筋の学校と思われがちだがクラブ活動もさかんで、今年から中学に女子バスケットボール部、女子バレーボール部、サッカー部が創設された。中学は火・木・土をクラブ活動日、高校は補習優先ではあるが充実した学校生活が楽しめる。これだけ恵まれた環境に身を置いて開智の生徒は日に日に自分の能力を伸ばしてゆくのである。
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