受験生からも短大からも
注目を集める保育コース誕生
最寄り駅から徒歩1分。大阪市内から京都南部まで、幅広い地域からの通学生を有する四條畷学園高等学校。同一敷地内に幼稚園から大学までを併設、内部進学者も多いが、多様なコース設定で外部からの入学希望者も年々増加している。その人気を支える一端となっているのが、一昨年より実施されている様々な新改革だ。
四條畷学園高校の学園改革は、時代にあった現代的な教育を行って学園を活性化、発展させることを目的としている。そしてこれを担うのが、山光夫副校長を代表とする教育改善委員会だ。発案された新コース・クラス設定などは既に実施されており、多方面から注目を集めている。
その中でも、多くの入学希望者を集めたのが、今年度より新規導入された『保育コース』である。
「今年度より始めての入学者を迎える新規コースでありながら、定員35名に対し、専願受験者数55名、併願受験者でも100名を超える応募があり、そのためたいへん狭き門となりました。残念ながら希望通りのコースへ入学できなかった生徒は、総合コースへ入学し、短大の保育学科進学を目指すことになります」
山副校長の語る保育コースの魅力は、机上の授業の充実だけでなく、習った技術をさらに実践で磨くことができるという点である。併設している四條畷学園短期大学には保育学科があるため、短大の講師による、保育技術や子ども文化などの一歩踏み込んだ授業が受けることができる。また、隣接する四條畷学園幼稚園では実際に幼児に触れて、小さな子どもたちの感性や心の動きを知ることができるのも、四條畷学園高校の保育コースならではの特徴だ。現在は一学期に2度程度の総合学習の時間を使った実践授業だが、長期休暇中などにボランティアとして幼稚園の様々な行事に参加したいと希望する生徒には、連携の強さを活かし、即実践が可能である。短大で保育を学び、幼児に触れる機会が多くなっても、高校時代から経験を積んでおけば戸惑うことなく、より確かな保育技術を身につけることができると、生徒の注目度も高い。
一方、保育教育に欠かせないのが、ピアノ授業である。短大の教員が授業を受け持つが、生徒は習熟度レベル別に5人程度のグループに分かれて指導を受けるため、全くピアノに触れた経験のない生徒も充実した指導のもと、技術を磨くことができる。この他にも、実際に四條畷学園高校から併設短大の保育学科へ進学し、幼稚園の教諭になっている先輩を招いて、より生徒に身近な存在から、現場での話を聞くという時間も設けている。
四條畷学園短期大学の保育学科は40年を超える歴史を基盤にした、豊かな知識と技術を学べると人気のある学科である。意欲があり、基礎教育をしっかり学んでいると判断されれば、四條畷学園高校の保育コースから、この人気学科への優先的入学が約束される。短大側もこれまで以上に資質の高い生徒が入学してくれるであろうと、大いに期待を寄せている。
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充実した環境と授業内容も
80周年を迎えさらに飛躍を目指す
今年度創立80周年を迎えた四條畷学園では、現在学舎の改築・新築も急ピッチで進められている。今秋竣工した短大の学舎は、体育学科と介護福祉学科(認可申請中)の学びの場として、大きく丈夫なガラスを壁面に使用。採光と通風に優れ、現代的な雰囲気と最新の防災設備を整えた建物へと生まれ変わった。生徒の安全と安心を得ながら、四季を通じて快適な学習環境を保てるこの校舎内には、高校保育コースの一環として使用できる2教室も配備されており、高短連携をさらに深めていくことになる。また、この校舎竣工後には、即時高校の校舎も改築が進められることになる。限られた敷地内を有効利用するために7〜8階の中高層階建ての校舎を計画、順次現在の校舎を改築・新築し、平成20年には全ての学舎が竣工の予定だ。
「新しい校舎内には様々な新設備も整う予定です。これらの設備を有効に使用し、自らの道を切り開いていく生徒が入学してくれることを希望しています」
そういった生徒を入学させるには、校舎外観やコース設定だけでなく、充実した授業カリキュラムが必要だと山副校長は話す。
特に重点を置いているのが、総合コースのより一層の充実である。このコースでは、『勉強もクラブ活動も両方充実した学生生活を送りたい』『社会に出てからのはっきりとした目標をまだ立てていない』という生徒たちが、様々な体験の中から自分の将来を模索できるようにカリキュラムが組まれている。特に総合学習や土曜講座では、四條畷学園短期大学ライフデザイン総合学科の約140にものぼる講義科目の一部講座や、四條畷学園大学のリハビリテーション学部の一部講座などが受講でき、どの授業も非常に人気が高い。
また、さかんなクラブ活動の中でも、吹奏楽部は多くのコンクールで受賞経験を持つ実力あるクラブである。学校行事への貢献度も高く、部員の意識の一致を重視するために、吹奏楽部員を中心とした吹奏楽クラスがあるのも、四條畷学園の特徴である。もちろん、他クラスに所属していても吹奏楽部へ参加することは可能なので、現在では3学年を通じて120人の部員を抱える大きなクラブとなっている。
こういった様々なかたちで、着々と実績を上げている四條畷学園高校だが、『改革はさらに続けていく』と語る。
「この数年で現コースは確定しましたが、各コースで充実した内容の教育を続けて行くには、常に時代の変化やニーズを見極めて改革・改善を続けていく必要があります。そうして、多くの知識や技術を身につけ、社会でいきいきと活躍できる生徒を、いつの時代にも育成していくことが、われわれの目標なのです」
今後は特進コースの男子生徒を増やしつつ、さらなる発展をめざし、目的意識を持った意欲ある生徒の入学を積極的に受け入れていきたいと語る。幼稚園から短大・大学までを連携とした幅広い教育を実践する未来型教育現場の改革は、まだ始まったばかりだ。
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