国立大学医学部から芸術系大学まで
今春、同校は第10回目の卒業生69名を送り出した。そのうち20名が国公立大学に合格。早慶上智には7名、関関同立には63名が合格した。また神戸大医学部を始めとする医歯薬系大学の合格者も24名を数えた。重複合格を除いた実人数でも、関関同立以上の大学合格者は卒業生の約7割にも上る。開校から16年とまだ新しい学校ながら、同校は毎年ハイレベルな大学合格実績を上げている。
週刊ダイヤモンド4月15日特大号『息子・娘を入れたい学校』特集では、関西圏で関関同立の合格率第1位として同校の実績を紹介。中学入試は比較的「楽」で、大学合格率が高い「お得」な学校と高く評価している。
同校は高校からの募集を行わない完全中高一貫制。6年間をかけて生徒たちの学力を大きく伸ばしている。それを可能にしているのが、1学年60名で1クラス20名編成という少数精鋭教育である。
広報・進路部長の岡田干毅先生は「国立大学医学部から芸術系大学まで、生徒の目標に応じたきめ細かな学習指導を行っています」と話す。
コース選択は本人の志望最優先
教育システムは、中学・高校の6年間を生徒の成長段階に合わせて2年間ずつ区切った3ブロック制。効率的なカリキュラムにより「基礎」「応用」「発展」へと無理なく学力を高めて行く。
中学1・2年次では、読み・書き・計算の基礎学力を徹底強化。
中学3年次からは、「総合」と「医歯薬」コースに分かれる。
「医歯薬」は、医学部入試の理科3科目化を見据え、早い段階から準備を進めるため2003年度に新設された。一方「総合」では、文系・理系を問わず幅広い進路希望に対応できる自由選択科目制度が用意されている。
コース選択に当たっては、「本人の希望と、中学3年からの4年間で私たちがどこまでサポートできるかを考え合わせ、個別に進路ガイダンスを実施しています」と岡田先生。
したがって成績による選抜を行わない。進級時にコース変更も可能だ。高校2年次からの「発展」段階では、それぞれの進学目標に対応した数多くの選択講座が用意されている。そのため「総合」コースから医歯薬系を目指す生徒も少なくない。
自由と自主性
岡田先生は「本校の特色は自主性の尊重。勉強を無理強いすることはありません」と話す。
基本方針は「自分で目標を見つけ、実現させる」。
そのため、中学入学時より生活・学習の両面において自主性を育てる指導が行われている。
例えば、制服や授業の開始終了を告げるチャイムもない。規則で生徒の行動を束縛しないよう、校則は社会の一般常識に則ったゆるやかなものとなっている。その分、先生方は生徒たちを注意深く見守り、必要に応じて何度でも話し合う。
「管理されているのではなく、自分の判断で行動しているという自負が自信につながり、意欲や集中力を高めます」。
学習面においても指名補習などを行わず、個別に課題を与え、生徒の方から質問させるよう仕向ける。自ら勉強に取り組む姿勢を身に付けさせるためだ。生徒が気軽に質問に来れるよう、広い職員室ではなく教科ごとの研究室を設けている。
広報副部長の山中太二先生は「少人数で先生と生徒の距離が近く、気軽に質問できる雰囲気です」と話す。
受験勉強が本格化する高3になると、目標大学の入試問題集を持参し、先生に採点してもらう生徒も多い。
こうしたきめ細かな個別指導が、生徒の自主性を支え育てている。
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英仏2ヵ国語の海外研修
「真の国際人の育成」を目指す同校では、コミュニケーションツールとしての語学の習得はもちろん、多様な文化や価値観を学ぶ国際理解教育にも力を入れている。
英語は授業時間数を多く確保。英会話にも重点を置く。その結果、中学3年終了時点で生徒の約8割が英検準2級を取得している。
また、学外のスピーチコンテスト参加も奨励。昨年度は、中3生が「高円宮杯全国中学校英語弁論大会兵庫県大会」で第3位に入賞。中央大会に兵庫県代表として出場した。高校生の部では「近畿高等学校英語スピーチコンテスト」優勝を始めとして「兵庫県高校生英語スピーチコンテスト兵庫県大会」優勝、「全国高等学校生徒英作文コンテスト」入賞など、数々の輝かしい実績をあげた。
英語に加え、フランス語も週に1時間の授業を設けている。これは、基本会話の習得と文化的な違いに興味を持たせることが目的だ。
例えば家庭科との合同授業を設定し、フランス語のレシピを使ってフランスの家庭料理をつくったりもする。
高校1年次の4月には、全員が3週間のニュージーランド語学研修に出かける。現地では1人ずつホームステイし、国立大学の語学研修所において英仏2ヵ国語の研修を受ける。
この海外研修が動機付けとなり、在学中に海外留学する生徒やアメリカやフランスなど海外の大学に進学する生徒もいる。
「海外研修で一層『神戸国際生』らしくなるともいえます」と山中先生。
不慣れな外国で互いに助け合わなければならないため、新たな友人関係が生まれ、連帯感も強まるからだ。
少人数の同校では、性格も目標も異にする生徒たちが交わり、時にはぶつかり合いながら人間関係の距離感を学ぶ。そして互いの違いを認めたうえで相手を尊重できる人間へと成長していく。これは同校が目指す国際人の前提条件でもある。
岡田先生は「生徒を型にはめ込まない、個性と能力を伸ばす教育が基本です。明るく前向きなお子さんにぜひ入学していただきたい」と話す。
神戸国際中学校・高等学校では、多様な個性を輝かせるオーダーメイドな教育が用意されている。
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