充実したカリキュラムを持つ
6年一貫制クラス編成
六甲山脈の自然がまだ残る山麓にある神戸龍谷高等学校の本学舎。それより少し離れた場所に、昨年立てられたばかりの神戸龍谷中学校青谷学舎がある。前身であった静かな屋敷のたたずまいを残すその学舎は、仏教系の学校であることを差し引いても、和の雰囲気を持った美しい建物である。
「建物全体として、桂離宮をイメージして建てられています。昨年、1期生を迎えたばかりで、まだ大きなイベントは開催していませんが、今後は、周辺の自然環境を活かした総合学習も行っていきたいと考えています」
中田孝司中学校教頭が語るように、周辺は緑が多く、野生のタヌキやイノシシが姿を見せることもある。眼下には神戸の街が一望でき、都会に近いながらも、自然との一体感が得られる構築となっている。
神戸龍谷中学校は昨年1期生を迎えたばかり。実績はまだこれからの学校だが、昨年の入学生の成長が周囲に良い印象を与えたためか、受験者数は予想通り、定員に近い新入生を受け入れることができた。
コースは2コースあるが、ともに中高6年一貫制。国公立大学を進路目標に置き、基礎から実力をアップしていく特進コースと、ネィティブによる英語力強化で世界に通用する語学力を付け、難関私立・国公立大の語学系学部に目標を合わせた英進コースである。
ともに、一日7時間授業と隔週土曜日授業、夏期休暇の短期設定(3週間)を実施、授業時間数を十分に確保した上で、中学2年までに中学の全課程を修了する。その後、高校1年までにセンター試験の1次課程を修了、高2でセンター試験2次課程修了、高3で各志望校の受験対策を行うカリキュラムが組まれている。このため、高校になっても高校からの入学生と混じることなく、独立した6年一貫コースとなる。また、6年一貫教育は、高校受験がないと言うことから、中学3年前後で精神的な中だるみになりがちであるが、それを回避するために、高校入試に変わる何らかのイベントを現在企画中である。また、両コースとも、高校1年まではほぼ同じスピードで進むため、コース変更は可能だが、比較的早い時期から目標を定めた授業が進められるので、高校2年からのそれぞれの専門課程では、迷いのない選択ができるようになっている。
これらの取り組みの中に、一貫して取り入れられているモットーは、『他には無い学校作り』だ。特に生徒との信頼関係の形成には心を砕いている。学校に関わるすべてのスタッフが、生徒全員の顔と名前を覚え、声をかける際には必ず名前を呼びかけようという取り組みもその一例で、生徒は校内に自分を知ってくれている大人が多数いることで安心し、落ち着いて学校生活を送ることができるのである。昨年春の入学式と同時にスタートしたこの取り組みは少人数の大きなメリットであると言えるだろう。
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将来を考えるための
様々な体験授業実施
授業は一斉授業。習熟度別授業は通常授業においては行っていないが、その分生徒個々へのフォローは細かくなされている。また、英会話の授業は一人ひとりにしっかりとした意味をつかんだ発音を行わせるためにも少人数制を導入。1クラスを2つに分けて実践されている。これらのことをすべて昨年一年生が実践しているために、今年の一年生には、その中から余分なものは省き、またよりよくなるように新しいものを取り入れたカリキュラムが組まれている。
「本人が何になりたいかを選択し、それを実現するための道を示してやらなければなりません。まだ考えが決まらないという生徒には、色々なことを体験させてそこから考えるように指導します。6年という長い時間がありますから、教科も人間育成も、しっかりとした指導ができるでしょう」
企画室広報部長の高橋利光先生はそう話す。その体験授業が、普段の授業や総合学習とは一線を画す様々なイベントである。
1年では竹野臨海合宿へ出かけ、シュノーケリングを体験。初年度と言うことで、生徒とともに教員も色々な体験をし、そこからどのような指導をしていけばいいかを学んだという。そして今年、1年は昨年と同じ竹野へ行くが、2年生は上高地でトレッキングを行い、自然学習をする予定になっている。また、高校1年次には3週間のカナダ語学研修を控えており、これに先だって、中学3年次には、英語以外で話してはいけないイングリッシュキャンプの開催も計画されている。この他にも「1dayイベント」と称して、1日だけのイベントが数多く企画されており、生徒の期待を集めている。昨年は海遊館での課外学習を実施したが、その際、生徒だけで現地集合とし、どのように電車を乗り継いで神戸から大阪までいくかを本人たちが自分で考えて行動したということもあったそうだ。
「上に学年がいないせいかも知れませんが、生徒が明るく、楽しそうに毎日通学しています。のびのびとした環境の中とはいえ、無論、叱られることもありますが、挫けず、まっすぐに育っていることがわかります」
中田教頭はそう語る。
以前、4〜5名程度の少人数しか参加しないつもりで行った希望者補習に、20名以上の生徒が集まるなど、積極的な生徒が多いのも同校の特徴である。楽しく、積極的になれる学習環境の中で今後の実績が期待される。
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