自主自立・清和気品を保ち
さらにレベルアップした女子校を目指す
城南学園中学校・高等学校 校長 生田 正春
男女平等社会と言われ、多くの私立女子校が共学校への道を歩み始めています。しかし、この時代だからこそ、風俗的な乱れなく安心して通学でき、現代女性としての自立心を促しながら、清和気品を保った人間教育を行う場としての女子校であり続けたいと考えています。その考えを基に、躾や礼儀作法を指導しながら、学力の更なるレベルアップを目指すため、今年度より中学校・高校を通じて大きな学校改革へと乗り出しています。現在、産近甲龍を中心とした大学への合格率は、同ランクの他校と比べて突出していると思いますが、改革後はこれをさらに底上げし、関関同立をはじめとする難関大学への現役合格を目指します。
具体的な改革法として、1年間を前期・後期に分けた2期制の導入や、教頭による個人面談、高校のコース変更(昨年までの進学コース・総合コースを一括し、総合選択コースとする)、生徒による授業評価など、多くの内容が考案され、来年度より実践されるべく、現在計画が進行しています。
このプロジェクトには私を含まない7名の教員がチームを作り、企画にあたっています。私は今年度より城南の校長として就任し、学校改革に着手したのですが、その発端としてまず教員の意識調査を行ったところ、教員の多くが当時の現状に危機感を持ち、新たな風が吹き込むのを待っていたという状況が浮かび上がってきました。そこで、彼らの意見をまとめ、力を合わせることでより大きな力を学校のために生み出すことができると考えて、プロジェクトチームを結成したのです。改革当初より数カ月が過ぎた今、若手教員を中心として改革はスピードを増しており、厳しいながらも細やかな指導で生徒との信頼関係をつないでおり、それにつれて生徒の学力も着々と上がりつつあります。
また、高校の幼児教育・福祉コースは城南の強みの一つとして残ります。大阪城南女子短大の総合保育学科や人間福祉学科に特別推薦制度で直結しており、高校・短大を合わせた5年間という時間の中で、ゆとりを持った資格取得への道が開けるようになっており、カリキュラムに関しても、最近は幼稚園などで導入されるようになった英会話や美術の授業を取り入れたり、併設の幼稚園や老人ホームで実習を行うなど、より実践に役立つ内容になるように、短大の教員の意見などを求めながら作成しています。卒業後の就職率は100%保証しておりますので、実社会の変動に惑わされることなく学習に集中できると、現在も人気のコースとなっています。
|
|
2期制の導入により
反復授業を含んだ ゆとりある授業展開を行う
城南学園中学校 教頭 泉岡 礼一郎
私が城南学園で教職に就いてから早20数年が過ぎますが、今年度から来年度にかけて導入される改革案は、今までで最も大きなものになると推測されます。
城南学園中学校に入学を希望する生徒は、模擬試験などにおいても、ハイレベルな成績を修めている人間ばかりではありません。しかし、彼女らとの関係を密接にし、信頼を確立し、基礎学力の充実した生徒を育てることで、誰一人切り捨てることなく6年間で目指す希望大学や進路に導いていこうと教員全体が同じ意識で今回の改革に当たっています。
最も大きな変革は2期制の導入でしょう。中学校では来年度より実践されます。前期が終わるのは秋の中頃で、その後が後期。それぞれの学期の中で2週間分の授業時間と毎週土曜日を反復授業の時間として当てるので、同じ箇所を約3回ずつ学習することになります。それでも不十分だと思われる生徒には、放課後の補習などで確実な理解へ導きます。これだけの学習時間を確保するために、夏期休暇は2週間と縮まりますが、その分ゆとりを持った授業を行えるので、非常に効率的なシステムになっているのです。
また、教頭面談も行っており、授業内容に対する悩みや担任には言いにくい話など、中学1年・3年と生徒と個人的に話すことで様々な問題点を浮かび上がらせていきます。授業内容については生徒や保護者など第三者にアンケート調査を行い、反省材料とするとともに、オープンな学校という印象を保護者の方々に持っていただき、安心感を抱いてもらうという目的もあります。
高校への進学時には、基本的には城南学園中学校卒業生は特進コースへ入学(外部入学生と混合)するのですが、保母や介護士になりたい、クラブ活動に力を入れたいなどという本人の希望により、他コースへの進路変更も可能としています。【特進コースは放課後補習や7時限以上の授業のため、基本的にクラブ活動は不可能】
改革では教員の意識にも変化を求めました。現在中学校の教員は平均年齢32歳と若いのですが、全員、反復授業やアンケート調査などに対し、熱意を持って挑める人材ばかりです。改革は始まったばかりですが、6〜7年後には、確実に生徒の実績を上げていくことのできる手ごたえをすでに感じています。数年後の城南学園にどうぞご期待下さい。
|
|