教員・仲間がともに未来を創る
ライフクリエーション教育
昨年度も星陵高等学校には多くの人が訪れた。6月には富士・富士宮地区最大の文化祭・星陵祭に約5,900人が来場。完成度でしのぎを削るクラス別展示や、県代表の実力を持つ演劇部の公演、吹奏楽部ミニコンサート、アイデアとサービス精神を尽くした生徒の「おもてなし」が、来場者を魅了した。
在校生の保護者は「何事にも一生懸命になれる素晴らしい学校」と出会えた喜びを語りながら「学業と行事、友達とのかかわりもすべて『星陵生の生活』と自覚しているようです」と子どもを見つめる。渡邉一洋副校長も、星陵祭を取り仕切る生徒たちを賞賛する。
「地域の一大イベントを自分たちの手で創り、やり遂げる。その団結力と自信は大きな意味を持ちます」
それを裏付けるように平成26年度卒業生も安定した進学実績を残した。東大・東北大ほか、国公立大学89名、早慶上理・GMARCH・関関同立99名合格。
最終19時発のスクールバス(20ルート)で帰宅する生徒は、受験へのモチベーションをどのように高めていくのか。
「星陵生は、学習面・行事面で支え合います。受験も『団体戦』だとわかっている。最後の一人の進路が決まるまで、皆で励まし応援し合う。それは入学直後の宿泊研修での友達づくりに始まり、高1の1学期には中学の勉強の穴を埋めるために教え合う。そんな『星陵生になる』ための初期指導から、緻密に積み重ねられてきた賜物です」
卒業式では答辞を読んだ生徒が、万感の思いをこめて「私は星陵生で良かったです!」と述べた。我々にとって最高の評価ですと渡邉副校長は語った。
ワンランク上の夢をつかむ
諦めない心を育む星陵生
11月に実施する中3対象「得点力パワーUP講座」は、英・数・国各50分授業を3コマ行い、2週間後にフォローアップする全2回の講座だ。前回を上回る参加者を集め、評判を呼び、2回目は参加者が倍になったと、伊藤雅之入試広報課長は手応えを語る。
今春入試では応募者数も伸び、県内屈指の競争率となった。成長が期待される新入生たちだ。彼らも双方向授業やキャリア教育、国際交流など、星陵ならではの豊かな「実体験」を積み重ねながら、自ら進む道を探究していく。「大事なのは高校を卒業した後です。基礎基本は授業でしっかり固めますが、プラスアルファの学びを大切にしたい」と伊藤先生。働き方も生き方も多様な時代、生徒一人ひとりの夢や希望に細かく対応するため、2学科6コースを設定している。
「英数科」は総合、英数、中高一貫の3コース(中高一貫コースは、星陵中学校からの内進生)。国公立・難関大学進学を目指す。部活動を謳歌しながら有名私大を目指す「普通科」は進学、高・専一貫、普通の3コース(2年次に選択)。高・専一貫コースは法人内専門学校(ICT・デザイン系)とのWスクール制が充実している。就職希望者への指導も手厚く、学校推薦による就職内定率は100%を毎年達成している。すべての科・コースにおいて、静岡理工科大学との連携による「高・大一貫プログラム」が行われており、大学の講義も受講でき、大学レベルの研究を先取り学習する。
「授業」と「放課後進学講座」のスタイルが日課だが、星陵生は年間通してアクティブな探究型学習を行う。そこで養われた力が入試の追い込みで発揮される、と渡邉副校長。
「自ら学ぼうとする意欲が高く、ワンランク上の夢を最後まで諦めない生徒が増えました。フィールドワークや研究を体験して磨かれた学問的カンや粘り強さで、踏ん張りが効くようです」 |
異文化、自己の探究から
確かな進路へとつなぐ教員力
星陵独自のキャリア教育「ライフクリエーション教育」は、高1で「星陵新聞」制作に取り組む。関心ある職業分野の知識、社会への問題意識を深め、情報の収集方法や真偽を見分ける目を養う。高2では理系文系ともに興味のあるテーマで課題研究に挑戦。関係教科の教員の研究指導を受けながら思考・発表技術を磨き、半年後のプレゼンテーションに臨む。
ユネスコスクール認定校の同校では、グローバル・プログラムも強化、推進している。豪州春季語学研修、中期・長期海外留学に加えて「アメリカ短期語学研修」を昨年からスタート。世界遺産研修・現代アメリカ社会文化探究など、星陵らしい探究型学習も盛り込まれている。
これら日々の活動で、実に多くの教員が生徒一人ひとりにかかわっている。進路担当・教科担当・担任・保護者が、多方面から潜在的な可能性を生徒から最大限に引き出し、「自分のやりたいこと」を具現化できる最適なプランを分析・提案する。この個別対応のきめ細かさが「勉強だけではない」星陵の強みだ。卒業生の保護者が「一人として同じではない子どもの未来を、学力と人間の成長の両面からしっかり受けとめる体制がハイレベル」と語る星陵の教育。その深みに引かれた人々もまた多い。ALTを勤め、母国の大学院を修了後、再び星陵に戻ってきた外国人講師、バイオ研究第一人者の東北大学元教授、企業で業界最先端の商品開発に成功した研究者。
「皆さん、星陵が描く夢に感銘を受けて、教鞭を執りたいと本校に来てくれました。建学の精神に共感していただき心強いです。すべての根底は教員の教科指導力。基礎を土台に生徒自ら思考し、行動する力を大切に育て、日本の未来を担う『人をつくる』。それがこの地で教育に携わる我々の使命です」と渡邉副校長は語った。



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