「勉強としつけ」をベースにブレない中学の教育方針
年3回行われる中学校説明会では年々参加者が増えて270名の会場が満員、立ち見も出る盛況ぶりだ。今年は80名の定員に対して94名が入学した。定員ではなくレベルで切るので14名オーバーは人気の高さを表していると言える。
募集盛況の要因を分析して、足立誠校長は「ブレない」をキーワードに挙げる。平成4年の中学開設以来「勉強としつけ」に重点を置き、定員の充足は意識せずに入学者に一定のレベルを求めている。入学した子どもたちにはどこよりも「面倒見の良い学校」を念頭に、指導を継続してきた。これが16年間「ブレない」ことだという。学校におけるしつけの意義が広く世間に意識される以前から、生徒一人ひとりにきめ細かく寄り添ってきた自信が伺える。
しつけ面では仏教精神を基本に、挨拶がきちんとでき、校内清掃活動なども自発的に行うよう、教師が軸となって指導している。「5分前精神」で心に余裕を持ち、互いに協力する「グループ行動」を通じて社会的ルールを日常身につけさせる。学外でも同様であるが、ルールが守れない、つまらないことで「大成らしくない」行動をとる生徒への指導は厳しい。このように学力だけでなくしつけの面でも生徒・保護者の満足度が高いことが口コミで伝わり、人気を集めている。
学習面では英語・数学・国語を中心に理科に重点を置く。月曜日に英数国各30分の確認テスト、学習が未習熟の生徒には火・木に英・数の補充を行いながら、わからない所を区切って理解させている。テスト前には希望制で夜8時までの弱点強化ゼミを設け、定期考査対策の核心に迫った補習授業を行っている。
学力別のクラス編成で、テストも習熟度別に行い、各々のクラス上位者の結果を発表する。テストの点数がそのまま学力を測るものではないが、定着度や伸び率を知り、やる気を引き出す仕掛けとなる。また、土曜日は隔週登校で総合学習の一環として小論文を課している。結果を出すことに重点を置くので海外語学研修も物見遊山でない、きちんと成果の出るカリキュラムを組むという。
中学は5年前から男女共学化しているが、生徒数を増やす方針からではない。男子レベルの「勉強としつけ」について来られる女子、男女平等で真剣に勉強したい女子が進学できる学校をという要望に応えて実現したもので、兄妹で同校へ通わせたいという要望もあった。
高校の完全共学化と学習集中のスタイル
平成19年度国公立大学合格実績はステューディア(特別進学・6年)コースで26名、特に理系合格率が上昇。ラトナディア(特別進学・3年)コースで35名、そのうち現役は34名。普通進学(3年)コースで2名。コース全体での4年制大学合格者率では96%、進学者の割合も90%を超えた。個々のコースで生徒の目標をかなえており、特に4年制大学進学の希望は満足のいく結果が出ていると言える。
高校はラトナディアコースを6年前に共学化して、大成高校のスタイルを受け入れ、学力をつけたいという女子に門戸を開いた。平成20年より普通進学コースも共学になり完全共学化するため、今までラトナディアコースへの進学が難しかった女子でも普通進学コースで「大成の生徒」として学べる枠が広がる。ただし合格基準は下げない。
学校生活でも学習に集中できるスタイルが高1の早い段階から確立され高3まで持続する。月〜金までは6時間、土曜4時間のカリキュラムで、授業重視の方針。チャイムと同時に始まり、居眠りもできないほど内容の濃い集中した授業が続く。結果として補習授業がほとんどいらないそうだ。
放課後、月・水・金は「勉強の日」とし、水・金はクラス単位で90分の自主学習時間がある。教師がそばにいるのでわからないことを質問・予習・課題学習ができ、疑問を自分で解決する力が身につく。わからないまま家に持ち帰ることはしない。部活参加者は火・木・土の「部活の日」に活動し、その分メリハリのついた生活スタイルができる。
普通進学コースは土曜日に授業は開設せず確認テスト、補充授業など臨機応変に対応するほか、高1、2は月1〜2回「家庭学習の日」がある。普通進学コースも、現役の4年制大学進学率が9割を超えた現在ではラトナディアコースと同様、全コースに「勉強をする学校」という意識が浸透している。 |
第2学習寮竣工教師が力を発揮する
通学時間の長い生徒や、メディアで全国区として紹介されて以来増加した遠隔地からの入学者に対応するため、中学・高校共通の第2学習寮が平成19年8月に竣工された。勉強を見る先生も寝泊りして学習と生活両面をフォローする恵まれた環境が用意されている。さらに通学生の利便を図り、平成20年春からはスクールバス岩倉駅ルートの開設も決めている。
生徒や保護者の声を聞き、方針に合うと判断すれば対応がすばやいのが大成の特色で、部活では生徒の要望に応えて硬式野球部の復活が決まった。
教員配置もきめ細かい。状況によっては1学年68名を3クラスに分けることもある。過去には生徒のためにと、保護者サイドの意見ではなく、学校サイドの判断で、学年途中での担任交代もあったそうだ。
ブレない指導方針が定着して効果が上がってきたことと、若手中堅の教師が率先して企画し頑張っていることが大成の力になっている。常に生徒との接点を増やすことを心がけ、普段の生活でも教師から生徒に声をかけ、信頼関係を築いている。教師が一生懸命指導にあたり、成果を上げられる環境が、プラスの相乗効果を生み出しているのだ。
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