アクセス至便でしかも好環境
JR新下関駅から南東へ徒歩10分、小高い丘を登り切ると東亜大学の広大なキャンパスが現れる。周辺には学生用マンションが立ち並び、飲食店が多く、スーパーやコンビニエンスストアといった下宿生に不可欠な店舗が揃っている。門を入ると、気さくに挨拶を投げかけてくる学生がキャンパスの印象をすがすがしいものにしている。
1966年の創設以来、国際的視野に立ち、技術を習得し、他人のために汗を流せる人材を育成するという建学理念を継承。総合大学として社会のニーズを先読みし、学部学科の改編を重ねてきた。現在、人間科学、医療学、デザイン学の3学部・6学科で各分野におけるスペシャリストの育成に教員が一丸となって取り組んでいる大学である。
下関ならではの観光文化コースを新設
(人間科学部)
豊かな観光資源を持つ下関は、一方で本州と九州を結ぶ要所でもあり、さらにアジアへ向けた玄関口という側面をも併せ持っている。古来より朝鮮半島との交流が盛んに行われてきた地域であり、現在も韓国との関わりは深く、異文化への憧れ、交流への関心は高い。
大学が今年度から人間科学部に「観光文化コース」を新設した経緯は、これら立地的、歴史的背景によるところが大きいが、もう一つ重要な設置動機があることを伝えなければならない。それは「癒し」としての観光需要の高まりである。時代はすでに高齢化を迎え、数年内には団塊の世代がその域に達する。彼らが手にする自由な時間の中で、一斉に生きがいや癒しを求める時代は到来間近である。そうすれば、観光は単にsight seeingのみならず、歴史や文化と結びついた好奇心を満足させる「感行」であり「歓光」であることが求められるだろう。
そんな読みに大学が確信を得たのは2007年度にさかのぼる。下関の歴史と文化、民俗学的な観点から「下関学」なる公開講座を立ち上げたことが契機だった。受講者は想定通り、地元シニア層の参加が多く、「興味関心の幅が広がった」や「次年度以降も開催を望む」といった声が大学に寄せられた。
翌年には学びの成果を試そうと「下関学検定」を実施したところ、“下関の達人”を目指し約80名が受験したという。地域、文化、歴史を深く味わいたいという需要は確実に高まりつつあり、それに応えられる人材の育成が求められていることを裏付けた。
「地域に生き、グローバルに考える」をスローガンに国内外に通じた観光の達人を育成すべく、同コースでは異文化コミュニケーション論、比較文化論、観光人類学などを習得。その上で、海外語学研修、ゼミ旅行、模擬国際会議などを通して海外での実践力を高めていく。国内観光では下関学、地域の方言、歴史、文化を体験的に学び、地域振興や観光に関する情報収集と発信、広告、映像記録といった観点からも研究を進めていく。
言語の習得では韓国、中国、英語をゼロから学習し、英語でプレゼンテーションができるレベルまで能力育成を図る。キャリア教育の最終段階では、ホテル、観光業界のインターンシップ制度による業務体験を行えるよう準備を進めている。取得可能な資格としては、中学校教諭(社会科)、高等学校教諭、博物館学芸員、旅行業務取扱管理者、自治体職員など幅広いのも魅力だ。
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「0歳児教育」という新分野に挑戦する
子ども発達コース(人間科学部)
同大学によると、従来の日本の教育学に「0歳児教育」という発想はなかったという。学べる年齢に子どもが達して初めて教育が可能になるという考え方が一般的であったためだ。それ以前の発達段階では、保育という接し方はあっても、教育というより能動的なアプローチはなされてこなかったというのだ。
ところが、アメリカでは胎児でさえ置かれた環境によって、さまざまな吸収を行っていることが証明され始めたのである。それなら命を育む母親の知的生活環境を整えることで、0歳児教育は可能になるのではないか。そんな発想から生まれたのが「子ども発達コース」であり、他大学における幼児教育、初等教育の専門課程とは一味違ったコースといえる。
少子化時代を迎えてはいるものの、教育分野を担う人材の需要は今後増えるというのが大学の見方である。それは、女性の社会進出が今後ますます進むことにより、学校はもとより真の教育力を備えた機関が求められること、および、母親の高学歴化で英才児教育が進むと考えられることによる。
同コースでは保育士、幼稚園教諭、小学校教諭の免許の同時取得が可能で、教育現場での体験活動を重視している点はもちろん、医学、健康科学、心理学、倫理学、栄養、スポーツ、アート、デザインといった領域から子どもの発達を分析、考察できる能力を育成する。これら幅広い領域の学習を可能にしているのは総合大学の強みだろう。
常に時代を読み解き、何が求められようとしているのかを察知すること。学生が描く将来像を具体的に形にし、スペシャリストを育成すること。この2本を柱に東亜大学は今後も動き続ける。
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