毎放課後の「進学講座」
同校は私立高校としては珍しく普通科・機械科・情報技術科・自動車科の4学科を設けている。このうち普通科は2003年度より、「進学選抜」「進学」「総合」の3コース制を導入した。
進学選抜コースは、おもに難関私大への現役合格を目標に、3年前のコース開設時より、徹底的な進学指導を行ってきた。その第1期生が来春、大学受験に臨む。
鳥井完教頭は「いわゆるMARCH(明治・青山学院・立教・中央・法政)レベル以上の大学に、二桁の合格者を出します」と自信を語る。
今年度からは、国公立を含めた難関大学への合格をより確実にするために、新カリキュラムを導入。進学指導を強化している。
「シラバスは、代々木ゼミナールの全面的協力を得て作成しました。新入生の学力レベルがアップしていることもあり、期待以上に成績が伸びています」。
今春の進学選抜コース入学者は25名。一定基準以上の成績をクリアした生徒たちである。授業や課題に対して意欲的に取り組んでいるという。
サポート体制も強化した。今年度から、主要5教科8科目の授業を到達度別に2クラスに分割。少人数クラス編成で、センター入試に対応できる実力を養う。平日は毎7時限目に「進学講座」を、土曜日午前中には「サテラインゼミ」を設け、質・量ともに進学指導を充実させている。
一方、進学コースは有名・中堅私立大学への現役合格を目標とする。進学選抜コースよりも緩やかなペースで授業を進め、英語は到達度により3分割、数学は2分割して確実な理解をはかっている。また、希望者には進学選抜コースと同様の「進学講座」を用意。「サテラインゼミ」受講も可能だ。
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将来の夢をはぐくむ専門教養
普通科総合コースは、同校の4学科3コースのなかでも受験生に人気が高いコースだ。その要因は2年次から始まる「専門教養(パッケージ)」講座にある。
「大学や専門学校進学など、まだ進路目標を定められない生徒に、自分の好きな分野や得意不得意を見つけさせることが狙いです」と鳥井教頭。そのために、工業系学科を有する同校の特色も生かしながら、「情報」・「ライフワーク」・「ライセンス」・「スポーツ」・「芸術」の5つのパッケージを用意。2年次で週に5時間。3年次では週に6時間の授業を設定している。
一番人気は「情報」。充実したパソコン施設を利用し、文書処理や情報処理を学ぶ。
「ライフワーク」は、社会福祉基礎や調理、衣服、住居設計など、専門学校のような実習教育を行う。希望者は「情報」の次に多い。同校では、以前より調理や福祉系の専門学校に進む生徒が多かった。そこで前もって実際に体験し、自分の適性を知ってもらいたいという思いから、このパッケージを設けた。生徒たちは調理やミシンがけの練習に楽しそうに取り組んでいるという。
「ライセンス」は工業系学科の実習教育に参加し、危険物取扱責任者を始めとする各種資格取得に挑戦する。
「スポーツ」は地域や社会のスポーツリーダーを養成。「芸術」は音楽・美術・書道の各分野でそれぞれ専門教育を行う。音大や美大を目指す生徒も多い。
このパッケージ教育は、3年前のコース制導入と同時にスタートした。「情報」を選択した生徒が情報系の専門学校への進学を希望するなど、生徒の可能性を広げ、将来の夢をはぐくんでいる。
総合的に学ぶ
工業系学科においても今年度、新カリキュラムが導入された。これまでは機械科・情報技術科・自動車科の各学科において、それぞれ専門教育が行われていた。
しかし生徒のなかには、工業系3学科を横断して学び進路選択の幅を広げたいと希望する者もいる。そこで各学科共通の「総合」カリキュラムを編成。今年の1年生から、2年進級時に「専科」または「総合」のいずれかを選択できるようにした。
「総合」に進むと、どの学科の生徒であってもプログラミング技術や機械設計、自動車整備など3学科の内容を総合的に学べる。各種資格も取得可能だ。ただし、3級自動車整備士のように一定期間の実習を必要とするものは「専科」に限られる。
鳥井教頭は「本校の生徒は学力も個性もさまざま。その一人ひとりの可能性をできる限り引き出していくことが、本校のアイデンティティです。今後も教育内容をさらに充実させていきます」と話す。
なお工業系学科から、同校の指定推薦枠などを利用して大学進学する生徒も増えている。
未来への可能性
幅広い層の生徒が集まる同校では、クラブ・同好会の種類も多く、活動も活発だ。
スポーツ系には強豪チームが多い。例えばバトミントン部は2004年度のインターハイと全日本ジュニアで優勝に輝いた。ボクシング部や馬術部、自転車競技部も全国大会レベルだ。自動車部は2002・2003年度「HONDAエコノパワー燃費競技全国大会」において優勝を果たした。
また、そば打ち研究会やUFO研究会、車いすを送る会など個性的な同好会もある。
クラブ活動には、進学選抜コースから工業系学科まで多くの生徒が積極的に参加している。それぞれ将来の目標もタイプも異なる生徒たちが、和気あいあいとクラブ活動を楽しんでいるという。
「互いの違いを認めたうえで、相手を尊重する。長年にわたって培われてきた本校の校風です」と鳥井教頭。 多様な生徒を受け入れ、幅広い教育を展開してきた小松原高等学校。いずれの学科・コースにおいても生徒一人ひとりの個性が尊重され、未来への可能性が探られている。
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