「和魂洋才」の建学精神
和洋国府台女子中学校・高等学校は、「和魂洋才」を建学精神とし、「明朗和順」の徳性を養い、社会に有為な日本女性を育てることを目指し教育を行っている。 「和魂洋才」とは、日本の伝統文化を大切にしながら、海外の優れた文物があれば学び取り入れるという意味である。
具体的には、日本の文化を尊び、やまと心を学ぶため、「礼法」という時間を週1回設け、校内に特別に建てた日本家屋で、茶道をよりどころにした礼法指導を専門の講師が行う。
中学3年次には琴の授業も実施し、行事の一つとして、ひなまつりや七夕には茶会も催される。伝統文化を学ぶ意味で、毎年「百人一首大会」を開催し、選手権等にも参加する。
一方「洋」の教育では実践的な英語力を養うだけではなく、国の歴史や文化を理解し、国際感覚を身につけるために、海外研修や留学プログラムを用意している。また昨今は女子にも理系が人気だが、高等学校の理科実験室は各科専用にあり、かなりの充実ぶりだ。化学実験室では一人1つずつの実験器具が用意され、生物実験室ではクリーンベンチがあり、バイオ実験が行われている。そして、これら学習を総合的にバックアップするのが、新しくできた図書館である。
蔵書6万冊、無線LANが整備
一昨年完成したメディア棟1階には、蔵書6万冊にも及ぶ図書館とその隣には100名が収容できるAVホールがある。図書館はガラス張りで、非常に明るく、広い。中央には数台のパソコン、壁側には自習用の長いカウンターが備えつけられており、カウンターには、ノートパソコン用のインターネット回線・電源の設備も整う。
「図書館というのは、その学校の文化的レベルを表していると思います。蔵書6万冊がある学校というのは、この辺りではあまりないでしょう。学校見学の時、図書館を見て気に入り、受験した生徒もいるのですよ」と図書館情報部長の平井喜信先生は胸を張る。隣室のAVホールでは、生徒の調べ学習の発表や、映像中心のわかりやすい授業等が行われている。
この最新の図書館を生徒に役立つようサポートするのは平井先生他5名のスタッフ。特に若い室橋真紀子先生と司書の最首さんは、手作りの栞を作ったり、書店などを参考にし、日々様々な工夫と努力を重ねている。栞は図書館の使い方等がわかりやすく説明してあり、入学後のオリエンテーションで使われる。
「本は、進路を決めてしまうほど影響を与えるものもありますね。できるだけいろいろな本に出会ってほしい、興味を持ってほしいと思い、新着図書のコーナーや、修学旅行の前の調べ学習に役立つ本のコーナーなどを作っています。新着図書は今は源義経関連です。調べ学習のテーマに沿った本などは、貸し出しが殺到するときもありますね。」と室橋先生。
また最首さんは、教師ではないため、生徒にとって身近な存在でありたいと話す。「私はお姉さんという立場で生徒とのコミュニケーションをとることを第一に考えています。生徒にはなるべく多く声をかけるようにして、気軽に相談してもらえるようになることが目標ですね」。
校内どこででもインターネットができ、系列の大学の図書館とも無線LANでつながっている。情報に関することでは最新で専門的なものが得られる充実した環境を実現している。
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受験用サテライト授業もスタート
高校では希望する進路を実現させるために、多様な希望に応えるカリキュラムを設定して進学をサポートしている。進路によって普通科特設(国公立大学への進学を目指す)、普通科(私立の4年制大学を目指す)、被服科の3コースに分かれる。外部生は1年次は内部生と別クラスだが、2年次より進路によってクラスが分かれるため、共に学ぶことになる。
進路指導もきめ細かく実施しており、まずスタートとして総合学習では「女性の生き方と進路」をテーマに講話、グループ別課題学習、職業リサーチやディスカッションなど自己実現にむけての活動を行っている。
進路説明会、個別ガイダンス等も開催して、自分らしい進路を選択するよう指導し、受験指導では校外模擬試験の活用や、夏期・冬期の受験講座の開催、3年次では入試対策指導の他、推薦入試のための模擬面接や小論文指導等も実施して個々に合わせたサポートを行っている。
さらには今春より予備校等のサテライト講座を導入した。授業料は学校が負担し、生徒はテキスト代だけを支払えばよい。CAL教室と呼ばれるコンピューター室で受講することができるが、希望者が多い科目についてはAVホールも使用する予定だ。建学の精神に沿って、ハード・ソフト両面で努力を続ける同校では東大に進学できるレベルの生徒も育つ。
「ですが、男子とは異なり、力に見合った選択をしない。私は東大は嫌い、と上智の推薦入学を選んでしまうのですよ」。チャレンジ精神や冒険心をいかに養うかが今後の課題だと平井先生は締めくくった。
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