新カリキュラムを導入
2005年の新校舎完成に向け、建設が始まっている同校。ソフト面でも確実に改革が行
われている。
今年度スタートした「新カリキュラム」は、「授業時間を減らさないこと」を第一に考え、授業の充実に細心の配慮がなされている。
6カ年の教育期間を「2−3−1システム」とし、最初の2年間を「基礎期」として英語・数学などは先取り学習を行う。次の3年間を「充実・発展期」、残りの1年間を「進路期」と体系づけ、一貫した指導を行っている。各教科の新しいシラバスも作成中だ。
「中学、高校の6年間は、友人との出会いにしろ、進路を決めるにしろ、人生を左右する大切な時期です。生徒たちには、夢や目的を持ってほしいし、持てる学校でありたいですね。夢があれば、努力することもがまんすることもできるでしょう。高校3年生になってから将来のことを考えるのではなく、中学1年生から考えるような機会を与えたい」と齊間文也校長は「進路ノート」を中学1年次から採り入れている。
これは、自分の夢、将来について高校3年次まで記入するもの。また進路指導システムとして、進路指導担当の教員や予備校の外部講師によるアドバイスも受けられる。
生活上の相談については、21名の「インテーカー研修」を積んだ教員や専門のカウンセラーが、生徒だけでなく保護者からの相談に応じている。
ユニークな道徳の授業
中学校では、道徳の時間は「スポーツ、華道(女子)、書道(男子)」を行っている。マナーやルールといった「社会規範を守る心」を喚起させるとともに、日本の伝統文化を理解する心を育成するのがねらいだ。
「導入して数カ月ですが、予想以上の良い効果が出ています。生徒たちは心が落ち着き、楽しいと言っていますよ」。
「戦後、たった60年で日本は衣食住は満たされるようになり、個人の主張や権利ばかり主張するようになった。このままでは、地球はどうなるのか不安に思う時がある。生徒たちには身のまわりのものを一つひとつ大切にする気持ちを忘れないでほしいと思っています」。このように齊間校長が話すその願いは、生徒たちにも通じているようだ。生徒会が率先し、校舎の美化運動が行われているのである。
「今は古くて汚れもある校舎ですから、きれいにしないと新しくなってもすぐに汚してしまう、とやることになったそうです」と齊間校長は微笑む。 |
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明るく楽しい学校
平澤里奈さん(中学1年生)
学校説明会の時には、授業時間数が多く、厳しそうな学校だなと思いました。でも、入学してみると、授業は丁寧でわかりやすいのでおもしろいし、男女も仲良しで、明るくてすてきな学校です。友達もたくさんできました。
私は吹奏楽部に入り、今は定期演奏会にむけて毎日7時頃まで練習しています。クラリネット担当で、最初は変な音しか出ず困りましたが、先輩が優しく教えてくれ、やっと自信を持って演奏できるようになりました。
道徳の「華道」は、初めての体験でしたが、心は落ち着くし、家で生けると両親や祖父母が喜んでくれるのでうれしいです。
将来の夢は大学の史学部の教授。ピラミッドの謎や、文化がどんな風に発展したか、などを研究したいです。
温かい校風
同校は、中学校・高校と区別することはせず、校舎や食堂はひとつで、クラブ活動も一緒、教師もどの学年でも教える。生徒たちはひとつの学校の1年生〜6年生として共に育つ。
「中学1年生は、とにかくすごくかわいがられてますね。先輩がよく面倒をみてます。中学生を高校生がお兄さんお姉さんとして温かく見守っていたり、助けてやる姿をよく見かけますよ」と広報担当の伊東忍教諭は話す。また、教員の生徒への面倒見の良さも自慢できる点だという。
「私は転勤してきたので、すごくわかるのですが、教員が生徒の立場に立って考える習慣が伝統として自然にできていて、生徒たちもそんな教員たちに信頼を寄せているんです。各学校行事も教師が指示するのではなく、生徒のやりたいことを応援しながら一緒に作り上げていくんですよ」。
その他良い関係は、地域や予備校など専門機関にも及ぶ。教育は、もはや学校だけではできず、家庭と学校と地域社会の連携が必要だと考える。予備校の協力を得て、「サテライト学習」を行ったり、日本大学の教授陣を招いて教養講座を行い、地域にも公開したりしている。
生徒たちが夢を持ち、ゆっくり時間をかけて進んでいくのを見守り、導くために日々努力し、改革を進める同校。その実践は7月10日午前10時より塾対象の説明会で公開される。ぜひ来校したい学校だ。
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