40回を数える創作舞踊発表会
40回目の記念大会となる今年も、例年と変わらず多くの見学者が参加し、開始前から程よい喧噪と緊張感が漂っていた東京文化中学校・高等学校の創作舞踊発表会。体育祭を行わない同校では、1学期から体育の授業でこの創作舞踊に取り組み、夏期休暇を使って練習や衣装・小物を作成した成果を発表する一大イベント。中学と高校各学年で優秀賞が決められ、全体で最優秀賞が決定する。創作舞踊は文字や言葉をほとんど使うことなく、曲に乗せた体の動きをグループで合わせることで、自己を表現するというものなので、採点基準は踊る一人ひとりの呼吸がいかに合っているかが要となるため、生徒全員が一丸となって取りかかる必要がある。さらに今回は40回の節目として、ダンス部をはじめとするOG参加による演技がプログラムに折り込まれた。過去に優秀な演技を見せた諸先輩の前とあって、緊張を表情に張り付かせた生徒も多く、発表会開始前からグループで衣装や小物をチェックしたり、互いを励まし合う姿もあちらこちらで見られていた。
プログラムは高校3年の桑原春香さんの「40年目の記念になるこの発表会、各々の思いを胸に悔いの残らないように全力を尽くしましょう」という抱負の言葉で幕を開けた。続いて森本晴生校長も「毎日の練習の成果を問われる日です。一人ひとりが実力を発揮し、頑張って演技をしてください」と言葉をかけ、生徒たちは大きく頷いて、決意を新たに演技へと向かっていった。
ダンスのテーマは体育委員の話し合いで決定される。中学1年は入学間もない取り組みということで2年と合同、毎年既成作品「花のように風のように」のアレンジにとどまるが、年々レベルの向上を感じさせる出来映えとなっているそうだ。また、高学年も自分たちが数年前に踊った作品とあって、披露時には大きな歓声と拍手が会場を覆った。中学2・3年のテーマは「激」。なかでも、『戦争ー枯れた世界に平和を』と題されたダンスを披露したクラスは、溌剌とした中学生らしい演技の中に、テーマとメッセージが盛り込まれた内容として高得点を獲得、優秀賞を受賞した。続いて高校1年の「時」、高校2年の「輪」と続き、学年が上がるごとに完成度も高く、衣装デザインも感性の豊かなものになっていく。高校3年は最終学年となるためにテーマは自由とされ、思い思いの願いやメッセージを込めたダンスが披露された。
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エキジビション作品のプログラムも充実
「体育のカリキュラムの一環ではありますが、40年間続いてきた伝統ある行事のひとつです。舞踊という動きの中で、自己主張を行いつつ、手や体の動きを鍛えるという体育的な育成や、他人との協調を学ぶという精神的な育成などの多くの教育的な要素を含んでおり、生徒の成長にも大きな影響を与えていますね。また、衣装なども自分たちで手づくりしますので、個人差はあるものの、特徴的な衣装が多く、参加するだけでも十分に楽しいイベントになっています」とは森本校長の談。
午後の優秀作品発表前にエキジビションのダンスを発表したダンス部部長は、「40年目の記念の発表会で踊れたことをとても嬉しく思います。今回のダンスは校歌の一節を採り入れ、信頼を大切に明るい気持ちで何事も乗り越えていくことをテーマとしました」と述べ、見事な踊りを披露した。卒業生演技は、卒業年度もバラバラな有志が集い、過去の演技をアレンジしたダンスを踊るという特別企画で、在校時と変わらない出来映えのダンスを見せ、在校生の歓声を上げさせた。
また、高校3年生による「花のように風のように」の演技や、午後の部での校長や保護者も加わった東京文化中学校・高等学校伝統の文化踊りなど、優劣を争わないプログラムも多く含まれており、例年にない盛り上がりを見せる発表会となった。
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