宮城で一番受験者数が増加
創立以来初の医学部医学科
現役合格者も
この春、昨年より400人以上多い1,707人が受験し、宮城県で一番受験者数が増えた私立高校となった仙台城南高等学校。「どうしてもこの高校に入学したい」と願う受験生が続出し、推薦や前期・後期を含めて2回、3回と受験した生徒も150人以上。なかでも、科学技術科は人気で1クラス増の5クラスになった。
「多くの方々に本校を支持していただいて本当に嬉しかったですね。科学技術科が増えたのは、震災を経験したことで、社会の役に立つ技術を身に付けたいと考える生徒が増えたからだと思います」と久力誠校長。
今年の1年生はモチベーションも高く、高校全体がさらにいい雰囲気になってきた。
「4月に実施した『学びの合宿』では、例年以上に積極的に手を上げて発言する生徒の姿が見られました。勉強する時も落ち着いて集中して取り組んでいます。高校全体がピリッとしたよい緊張感に包まれていますね」
こうしたスムーズな校名変更の背景には、「東北工業大学高校生として過ごしてきた在校生が、『城南は自分たちがつくる』という意識の下、昨年からさまざまな行事に取り組んでくれた力が大きい」と久力校長は話す。文化祭のテーマは「Restart」。オープンスクールも生徒たちの手で企画・運営した。昨年1年間の活動があってこそ、違和感なく新入生を迎えることができた。
「しかも、東北工業大学高等学校最後の卒業生が、創立以来初の医学部現役合格を達成してくれました。さらに東北大学工学部にも2人合格と、最後に劇的なプレゼントを残してくれたのです」。卒業生から最高のバトンを渡された新入生。伝統が息づく校舎は今、フレッシュな活気で満ちあふれている。
iPadで情報を使いこなす
大学までの7年間を目的に
同校の特色は「3つの学校」ともいえる3学科にある。
難関国公立や難関私立大を目指す「特進科(普通科)」は平日7時間授業。土曜日も授業を行い、年44単位を取得する。さらに新入生には新しい試みとして、4月中は英・数・国のみの授業に限定した。しかも、午前中は教員が教え、午後はその授業の自習をするスタイル。勉強の仕方を徹底的にマスターし、ベースとなる基礎学力を付けることが目的だ。
「どんなに勉強時間を増やしても、生徒自身が消化できなければ意味がありません。知識を積み上げる土台をつくりたいと思いました」と特進科長の大友秀典先生。
この春、医学部・東北大学合格者が出たことで、特進科の生徒は一層気合いが入っている。
「国公立合格を目指し、特進科が一丸となって頑張る姿勢はこれまでと変わりません。今後は難関と言われるような私立大学を希望する生徒にも結果を出せるようにしていきたいですね」
宮城県で初めて設置された「探究科(普通科)」。1年生146人全員がiPadを持ち、週2回の探究学習の時間を中心に活用している。探究科長の千葉俊哉先生は「調べ学習から探究、そして研究へと発展させ、成果を発表するプレゼンテーション能力も身に付けさせたい」と語る。
現在は文献やWEB検索、アンケートやインタビューなどの手法を学び、テーマを掘り下げる準備をしている。「探究学習を通して、課題を発見・解決する力も伸ばしていきたい」と千葉先生。iPadで情報を使いこなす力も付けてほしいと考えており、大学や社会に出た時、探究科での経験が大きな武器になればと考えている。
iPadを使った先進的な授業は、10月16日に中学生を含めて一般に公開される予定だ。 |
今年人気を集めた「科学技術科(工業科)」。科学技術科長の奥田昌史先生は「2年次から4つのコースに分かれ、東北工業大学の関連学科と接続して授業を行っていくのが大きな特徴です」と話す。コースは「メカトロニクス」「情報通信」「情報デザイン」「電力技術」の4つ。高校〜大学の7年間の学びを目的に、大学進学後、スムーズに勉強が進められるようカリキュラムが組まれている。
「大学の設備をお借りして、実習をしたいとも思っています。また企業の方とも連携し、生徒の視野が広がるような指導をしていきたいですね」
進路指導部長の佐々木啓充先生はiPadを使ったAО入試対策など、学科の特色を生かした進路指導をしたいと考えている。
「東北工業大学に高2の後期から半年間研修に行く『アカデミックインターンシップ』も企画中です。大学の研究室に通うことで、大学とのつながりを深め、普段の勉強にも良い刺激を与えられたらと思っています」
学年別に「進路の手引き」も作成。生徒の夢の実現に万全のバックアップ体制を整えている。
探究科は2年生で中国語
台湾、シンガポールで
国際交流
さらに同校が力を入れているのはグローバル教育だ。2年生の研修旅行先は探究科と科学技術科が台湾、特進科がシンガポール。アジアの国際都市の現状に触れる体験をしてくる。さらに探究科は2年から中国語が選択可能。すでに卒業生の1人は台湾の大学に留学を決めている。トライリンガルを目指し、台湾の大学から世界に飛び出すチャンスをつかもうとチャレンジするのだ。
「今後はICT教育をベースにした、グローバル教育に力を入れていきたいと考えています」と久力校長。「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」、さらには世界で活躍する人材育成に力を入れる「スーパーグローバルハイスクール(SGH)」の指定を目指し、さらなる飛躍を目指している。
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