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中学・高校受験:学びネット

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智学館中等教育学校

 
  徹底した英語教育をベースに
一貫教育の強みを生かしたメソッドを実践
1998年の学校教育法改正後、全国に誕生している中等教育学校。脚光を浴びる新しい教育スタイルだが、2008年に開校した茨城県水戸市の智学館中等教育学校は、独自のメソッドで、6年一貫のアドバンテージを活用した教育を実現している。開校5年目を迎えた今、その成果は着実に現れている。

校 長: 石川 良一
住 所: 〒310-0914 茨城県水戸市小吹町2092
電 話: 029-212-3311
交 通: JR常磐線「水戸」駅「赤塚駅」よりスクールバス30分
学生数: 202名 (2012.5.1現在)
ホームページ: http://www.tokiwa.ac.jp/~chigakukan/

 

4学期制の独自メソッドで
生徒の向上心を育成する

 JR水戸駅からスクールバスで30分。のどかな田園の中に、目を引く建物が見えてくる。木造2階建て。欧米のカレッジを思わせる瀟洒なデザイン。

 取材に訪れた日は、折しも入学式。記者が校内へ入っていくと、生徒が大きな声で「こんにちは!」と声をかけてきた。当たり前のように交わされる自然な挨拶。悠々とした環境が人を育むというが、こんな素晴らしい学び舎で過ごせる子どもたちはうらやましい。それが同校を訪れた第一印象だった。

 2008年4月、学校法人常磐大学開学百周年記念として誕生した智学館中等教育学校。同校は高校入試のない6年制一貫教育制を採っている。独自の教育方針は、どれもユニークかつ未来的と言っていい。

 まずは4学期制。各学期55日から65日の短いサイクルで授業を進める。これは学習評価をきめ細かく行うことで、生徒の努力を後押しし、集中力を高めるためだ。

 そして、1クラス30人の少人数制。授業は1コマ55分。土曜日も授業を行う週6日制で、主要教科の授業時間数で見ると、公立中学の約1.8倍にも及ぶ。

 「授業量だけ聞くと、詰め込み教育を想像されるでしょうが、中身は全く違います。本校が教育の核としているのは、Global Mind,Scientific Mind,Social Mind、3つのMindです」と、石川良一校長は個性あふれる「智学館メソッド」を説明してくれた。

慶應大教授が監修した教科書で
世界で使える英語を徹底学習

 第一に掲げる「グローバル・マインド」は、世界的視野を意味する。その中心となるのが英語教育だ。Learning by Doing(実際に使うことを通して学ぶ)をモットーに考案された独自の教育スタイル。教科書は文科省指定のものに加え、慶應義塾大学環境情報学部の田中茂範教授が監修した独自の専用テキストを使用している。応用言語学のスペシャリストである田中教授は定期的に来校し、授業にも参加している。

 昼休みや放課後など、いつでも英語で会話ができる「コミュニケーションスペース」、LL教室・視聴覚教室・パソコン教室を集約して外部との遠隔授業もできる「CALL教室」など、eラーニング環境の充実ぶりにも目を見張る。また、英語の授業は、1年次の導入時期を除き、主として英語を用いて行うという方針も徹底している。

 「朝の校門ではネイティブの教員が生徒を迎えますが、生徒は自然に英語で挨拶し、会話しています。将来的には全教科を英語で授業を行えるようにしていきたい。そんな構想もあります」と、石川校長は英語教育の重要性を話す。

 系列校である常磐大学で開講しているTOFEL講座を受講するなど、より上位の資格取得を目指す生徒もいるという。

発想力を養成する
教科横断型のトピック学習

 授業でユニークなのは、教科横断型のトピック学習。一つのテーマを設定し、各教科がさまざまな切り口で行う特別授業だ。例えば、雪というテーマの場合、まず地学で雪が降る条件を科学的に解説。数学では雪の結晶をモチーフに正六角形の図形理論を学ぶ。生徒たちは作図の知識を身に付けながら、自分のアイデアを盛り込んだ独自の結晶図を作り上げていく。こういう具合に、一つのテーマを掘り下げながら、探究心を高めていく学習スタイルだ。

 「発想の切り口が開発され、物事の本質に迫る学習ができます。しかしその分、教員側の準備は大変です。常に全教科の先生が集まって、綿密な打ち合わせをやっています」

 単なる知識の集積で終わるのではなく、得た知識をもとに“自分は何ができるのか、何をすべきか”という考察力を育むことが目的だという。このトピック学習は、1、2年次の授業に取り入れられ、各学期に2回の割合で実施されている。

目を見張る実験・観測施設で
科学への探究心も高める

 第二の「サイエンティフィック・マインド」は探究する力。理科教育をベースに実験、観察する授業を意欲的に展開している。そのシンボルと言えるのが、高度な天体観測が可能なL型フォーク式直径30センチの天体望遠鏡を備えた天体観測室。これほどハイレベルな観測機器を備えた中学・高校は、他にあまりないだろう。

 また、化学、生物、物理・地学のそれぞれ3つに分かれた理科系実験室もある。実験効果を高める最新の設備のほか、視聴覚設備を完備している。

 最後の「ソーシャル・マインド」は、文字通り、社会性の涵養だ。

 「友達を大切に思い、コミュニケーションを取れること。それが人間の基本です。いくら言語ができて、世界に出ても、しっかりとコミュニケーションが取れないと、何の役にも立ちません」

個に応じた進路指導の充実

 同校には、いわゆる職員室というものがない。その代わり、教科ごとの教員室を設けている。教員はその部屋に常駐し、学習指導や授業・生徒の情報などを共有できる体制を整えている。教員室の入口は全面ガラス張り。隣には質問用のブースも設けてある。疑問が湧いたらいつでも直接教えてもらうことができる。教員と生徒の垣根を低くし、より密なコミュニケーションを取る工夫である。

 進路指導の面でも、一人ひとりの夢の実現に向けて、単なる偏差値を主体とした進路指導ではなく、本当に進みたい将来を見据えた進路実現の相談を行っている。海外の大学を目指す生徒や、国内の大学でもグローバル化に特化した進学先を目指す生徒など、いろいろな希望を実現できるようサポート体制を、個別指導の時間を豊富に取ることで、実現しようとしている。

 木の校舎が表しているように、そこかしこに人間の温もりが見られた智学館中等教育学校。給食は校内に厨房・カフェテリアを備え、できたての温かい料理を生徒全員が一緒に味わう。人間性を土台に、発想力や語学力といった、これからの社会人に不可欠な能力を養うことを重視した新しい教育の実践。再来年春には、第1期生が巣立つ予定だ。その動向から目が離せないと取材を通じて大いに感じた。

 
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