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中学・高校受験:学びネット

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駒込中学校・高等学校

 
  理念を日々の隅々まで、信頼構築で培う営業力 教育と経営の両面改革で人気校
高校生を対象とした夏休み入試説明会に千余名が集まる駒込の魅力とは。用意された枠に自らを当てはめるのではなく、無限の領域で知的要求を満たそうとする子どもたち。それを受け入れる懐の深さ、カオスの魅力だろうか。それとも高校から早慶上理をねらえるリベンジ性か。あるいは、経営面でリスクテイクを決断できる経営力か。理念の本質を探り当てようとする学校運営と市場原理を生かした学校経営。そのバランス上で改革を続ける理念体教育をリポートする。

校 長: 河合 孝允
住 所: 〒113-0022 東京都文京区千駄木5-6-25
電 話: 03-3828-4141(代)
交 通: 東京メトロ南北線「本駒込」駅から徒歩5分、東京メトロ千代田線「千駄木」駅から徒歩7分、都営三田線「白山」駅から徒歩7分
学生数: 中学校  324名
高等学校 1,208名 (2010.11.1現在)
ホームページ: http://www.komagome.ed.jp

 

小安に安んじず改革断行
スーパーアドバンス
入試までのプロセス

 駒込中学校は2011年度入試で2月1日午前入試を3年ぶりに復活させる。4年前まで、駒中は2月1日午前入試で8割の合格者を出していた。それは第一志望の受験者を手厚く迎える中学入試の「常識」であった。それを突如3年間中止すると、塾側からは猛烈な反発が起こった。

 だが、「3年間中止」はここ10年の改革のシナリオに沿った決断だった。抗議を寄せる塾側に河合孝允校長はこう説明した。「モチベーションの高い受験生を獲得するため、学校がつぶれるかもしれないという覚悟でやっている。ご理解を」。

 一般に、解禁日から遠ざかった入試日程ほど偏差値の高い受験者が集まる。それがわかっていても、中学入試は年々早期化、短期化する傾向にある。リスクテイクを嫌う学校が増えていることが一要因だろう。そうした風潮を逆手にとった決断を駒込中学校は改革の一環として行った。河合校長はさらに、「学校改革は教育面と経営面の両面で行うべきもの。塾の先生なら経営的改革をご理解いただけると思った」とも。

 一方で、学校側の営業力を見せつけるエピソードもある。大手模試では第1〜第3志望までの校名を記入するが、その第3志望欄に「駒込中学校」と書くよう指導する大手塾があるかどうか。あれば学校偏差値は確実に上がる。とはいえ、そう簡単ではない。駒込はこの点、大手塾との信頼関係構築にじっくりと時間をかけ、実現させている。企業では当たり前の市場原理を教育界に持ち込んだのだ。校長に教育者と経営者のふたつの顔が求められる時代であることを象徴するエピソードでもある。
かくして3年間で駒込中学の入学者の偏差値は5ポイント上昇した。これを機に、2011年度入試でスーパーアドバンス入試をスタートさせる。

 国公立、最難関私大合格のためのスーパーアドバンスコースは、高校では今年度入学者から選抜された32名ですでに立ち上がっているが、それを来年度は中高ともに募集段階から選択受験できるようにした。

 なお、2月1日午前入試は2科と4科の選択制。2科で判定後、4科で再判定し、合格者を出す方法がとられる。同日午後は従来のアドバンス入試も実施され、その受験者で成績優秀者はスーパーアドバンスへの合格も可能としている。

枠にはめない教育が生んだ
リベンジできるという魅力

 駒込学園は、教育面でもさまざま企画を打ち出してきたところであるが、元来、仏教の根本理念は「天上天下唯我独尊」(この世で一人ひとりの人間が最も尊い)であるから、個性を認め合う「異質の認知」が教育の根底にあることはいうまでもない。

 駒込というフィールドで運動能力を磨く者、芸術分野で頭角を現す者、ただ一心に本を読み、何かを見いだす者、天才的学力を発揮する者。一人ひとりの生徒は学校が用意した枠にはまることなく、自ら行動し、自分の中に湧きあがってくる知的要求を満たそうと集まって来る。

 「さまざまな層の生徒が集う、カオスの文化を創造できる学校でありたい。そのためにご縁のできた子どもたちを大事に育てていく」と河合校長はあるべき学校像を語る。

 枠に当てはめない教育の一端を紹介しよう。例えば、学習合宿では科目別グレード別授業が行われている。グレードは各科目A〜Eまであり、数学はAクラスだが、英語はEクラスという生徒は当然にしている。ひとまとめにできない理由はそこにある。得意科目の学力をさらに引き上げ、苦手科目を徹底補習するため、グレードに応じた授業は必要だ。

 駒込らしさが出るのは、その後、つまり毎日の授業の終わりに行われるテストである。その点数が合格ライン以上であれば、その場で「校長賞」が授与され、翌日は1段階グレードの高いクラスで授業を受けるのだ。つまり、グレードは存在するが、固定化させない。これが枠にはめない駒込らしさである。

 進学でも早慶上理をねらうには、中学段階から効率の高い授業を受けなければ困難という考え方があるが、これも子どもたちを枠に当てはめた一例だろう。中高一貫校に入学するには経済的に困難であった層の子どもたちも、高校から駒込でリベンジを果たしたいという生徒は少なくない。高校入試で圧倒的に女子の併願が多いのは、こういう受験生だという。

 そうしたモチベーションの高い受験生が、この夏の酷暑にもかかわらず、夏休み入試説明会に足を運んだと見られている。枠にはめられたくない受験生が、枠を固定化しない教育に期待した結果といえるだろう。

学校改革は生徒改革

 学校改革はエンドレスといわれる通り、駒込学園は30年間改革を続けてきた。最初の10年で内部改革を、次の10年で中学棟、高校棟建設を中心にハード改革を、そしてこの10年で、再びソフト面の改革に着手している。

 教育改革は言い換えれば生徒改革。生徒が変われば、教員が変わる。熱い生徒が朝練をしたい、朝学をしたいといえば、教員は進んで早く出勤する。管理職に命令されるより、生徒に乞われたほうが教員は熱心になる。そして、いつの間にか聖職者集団が形成される。それが駒込の改革なのである。

 
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