全校生徒がひとつになった
創立105周年の学園祭
初日の2日(土)は絶好の学園祭日和。続々と訪れる保護者や来賓へ、生徒たちは元気よくあいさつし、積極的に呼び込みや展示の説明をしていた。
創立105周年を迎えた今年の学園祭テーマは「麹町統合(105)」だ。校舎2階へ上がる階段には、マンガ研究会が考えた今年の学園祭キャラクター「ヒャクゴン」が描かれ、注目を集めた。
独自の進学プログラム「みらい科」での中学1年生の職業調べの展示に始まり、射的やストラックアウトなどで縁日を再現した模擬店や、手作りの小箱200個を並べてのドミノ倒しなど、来校者に楽しんでもらおうという企画が目白押し。中でも、中学2年生のクラスが制作した、創立者・大築佛郎氏と相川忠洋理事長の肖像画モザイクアートは、ペットボトルの蓋約2万個を組み合わせた大作で、多くの来校者が足を止めて見入っていた。
女性らしい教養や感性の育成に力を入れ、華道や茶道、琴などの課外講座を設けているのも同校の特長。日頃の練習の成果を示す生け花の展示が、来校者の嘆声を誘ったほか、茶会や琴の演奏会が人気を呼んだ。
また、アーチェリー部や水泳部など、実績があるクラブをはじめ、部活動が活発な同校らしく、水泳部のシンクロ、ダンス部や吹奏楽部の踊りや演奏なども元気いっぱい、学園祭を盛り上げた。
同校の主要行事やクラブ活動は中・高合同。先輩が後輩に手本を示すという伝統が受け継がれている。学園祭も、両生徒会が力を合わせ、夏休みから準備を進めてきた。
小澤友紀子高等部会長(2年)は、今年のテーマについて、「節目の年に、一人ひとりが麹町学園の生徒としての自覚と誇りを持ち、みんなでまとまってひとつの行事を作り上げることを目標にしました」と話す。
きれいな学校と優しい先輩に憧れて入学したという岡本彩高等部副会長(2年)は、同校について、「イベントが充実していて楽しい。女子独特の、のびのびした雰囲気があり、学園祭や体育祭になると、みんなすごく燃えます」と笑顔を浮かべる。
「こうした行事を通し、みんなで力を合わせることの大切さを体験してほしい」と話す上野校長だが、その期待通り、同校の生徒は大きな友情や信頼関係で結ばれ、将来への夢をしっかり育んでいると感じた。
学園祭の印象について、上野校長は、「体育祭もそうですが、生徒たちが非常に積極的で感心しました。これまで指導してきたあいさつやきちんとした言葉遣いが、来校者に対して自発的にできている。うれしいですね」と顔をほころばせた。
「基本トレーニング」で
授業に向かう姿勢を徹底
「毎日の授業こそ、すべての中心。シラバスより、生徒が授業の内容をしっかり受け取ってくれているかのほうがずっと大事です」と断言する上野校長。あいさつや言葉遣いなどの日常生活のしつけを、授業でも徹底していこうという取り組みが、この2学期から始まった「基本トレーニング」だ。座り方など授業中の姿勢を正す、ノートの取り方を教えることなどで集中力を高めるなど、6項目を掲げ、全校生徒に浸透させるとともに教員の指導を徹底させている。
「生徒が指示を待つ状況を作ってはいけません。自主的に授業に向かう姿勢を身に付けて、初めて進学について考えることができる。そのためのトレーニングです」
特に力を入れているのが、復習の習慣付け。知識の定着を図るため、生徒にその大切さを教え込むとともに、教員が生徒の疑問にすぐに対応できる体制を整える。「つまずいたところはその日のうちに教え、生徒に『わかるようになるんだ』と感じさせることが大切です。職員室がいつでも、相談コーナーになるべきだ、と考えています」。
ユニークなのが、教室後部の戸を開け放った授業体制。来校した保護者や来賓が、自由に授業を見学できる。1日2時間は授業を視察して回る上野校長だが、教室の開放で、生徒たちに授業に臨む緊張感が生まれたと手応えを感じている。 |
各教員が専門家になり
受験への意欲を高める
生徒に授業に臨む姿勢を徹底させる一方で、教員の進学指導力を強化する取り組みも進んでいる。全教員に昨年の難関私立大学の受験問題集とセンター試験の問題集を配布し、提出を義務付けた。さらに、担当科目の過去10年分の問題集にあたるよう、指示している。
「受験生全員が、GMARCHクラスの大学を一般受験するような学校を目標にしています。生徒が自信をもって受験に挑戦し、困難に立ち向かう意欲を持つためには、まず、各教員が『この大学だったら自分に任せて』と言えるぐらいのエキスパートになる必要がある。熱心な教員には、生徒もついていきます」
教室同様、開放された校長室には、毎日大勢の生徒が息抜きや相談に訪れる。授業の改善や進学指導の強化はすべて、この生徒たちの未来のため。
「生徒が10人いれば、10通り道がある。それぞれにどういう対応をしてあげるのか、生徒主体で取り組んでいきます」
|